第6輪 囁くランタナ
千年女優を観たいんですけど、Amazon以外やってないんですよね。Amazonお金かかる。
目の前の彼?彼女?は自分のことをストックと言った。
「…男性の方なのですか?」
「は?違うけど」
「えっと‥女性の方?」
「違う!違う!ボクはね男でもないし、女でもない完璧な生き物なの!」
ストックさんは声高らかに言った。
何だかよくわからなかったが、今の私には理解しようとする程の元気がなかったので聞くのをやめた。
身体が異常に重く動かない。
何も考えられないのだ。
「ねぇ!オトメ!あなた大丈夫?」
「大丈夫です。」
頑張って起き上がろうと思うのだが、まったく身体が言う事を聞かない。
その時、部屋のドアが開く。
徐々に開いていって、開けた人が見えてくる。
黒い髪…
黒い目…
その姿はイチイだった。
「あ、あああ!…ッあ。…あ。」
イチイはこっちに近づいてくる。
「…ッいや。ッいや。‥もう、やめて。ああああああああああああああああああああああああ。っは、っはっは。」
息がうまく吸えない。
もうやめて..
やだやだやだやだやだやだやだやだやだ。
もう、すごく痛いのも。すごく気持ちいのも‥。
頭がおかしくなるから。
やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて――ッ!!!!!
「ああああ!こ、こな‥こないで!」
…アネモネ。…アネモネ。アネモネ。
頬に衝撃が走った。
「オトメ!しっかりして!…アリウム様に向かってその言葉。どういう事?!」
「…え?」
ビンタされた頬を擦りながら、その人物を見る。
片目、片乳がなく包帯まみれで黒いドレス。
確かにアリウムさんだった。
どうして間違えたのだろう。
「…あれ。イチイじゃない…です。」
「ボスと間違えたの!?…まぁ、二人は親子だし雰囲気は似てるけど!…」
え?…親子。
「ああ、あ、アリウムさんはイチイと親子なのですか?」
「………ええ、そうよ。あの子は私の息子よ。」
私はその言葉に驚き過ぎて一瞬、頭が真っ白になる。
まさか、なんという事だろう。
イチイやアリウムさんにそれぞれの面影を感じる事はあったけど、まさか…。親子だったとは。
じゃあ、アリウムさんってお幾つなのだろうか?
「ストック…。少し席を外してくれないかしら?」
「え?ど、どうして!アリウム様!…ボク邪魔なの?え!え!え!」
アリウムはストックの頭を撫でた。
「そんな事ないわぁ♡私はあなたの事…愛してるわぁ。だから、今だけよぉ♡」
「わ、わかったよぉ」
ストックは少し眉を下げて部屋から出て行った。
アリウムさんは早い動きで私のベッドに座り。目を合わせる。
いつもの笑顔だったが、どこか違って見えるのは私の気の所為だろうか?
「オトメちゃん。…イチイにされた事を話して。…大丈夫、ゆっくりでいいわ♡」
「…はい。」
私はアリウムさんに話した。
イチイとの行為は父とやった行為とは大きく違った。父とは触るだけだった。
でも、中に入ってくるのは始めてだった。
意味がわからなかった。
イチイとの行為は今までに経験のない程の痛みを伴った。
すごく痛くて痛くて痛くて。
でも、すごく気持ちよかったのだ。
すごく痛いのに気持ちよくて、私はただひたすらに意味がわからなかった。
気持ちいと感じる度にアリウムの顔が浮かんで心臓が刺されたような痛みがあった。
ただただ怖くて怖くて怖くて痛くて痛くて痛くて気持ちよくて…。
薄れゆく意識の中ずっと早く終われとばかり思っていた。
私はもうアリウムといた頃には戻れないんだろうな…と思った。
「そうなのね。それは辛かったわね…。」
アリウムさんは私をそっと抱きしめた。
「でも、どうしてかしら。イチイがそんな事したの始めてだわ‥‥‥。」
アリウムさんは何かブツブツと呟いていた。
それにしてもどうしてなのだろう?
どうして親子二人はここにいるのだろう?
どうして娼館に?
アリウムさんは耳元で囁く。
「可哀想な子。あなたの夢は何?」
夢……。
『しあわせになること。…アリウムに会いたい。』
そんな事が頭をよぎった。無理なのに。
もう無理なのに。こんな事になって。
アリウムはもういないのに…。
「復讐…。イチイに復讐する事です。」
「そうよね。じゃあ、強くならないとねぇ。強くて賢くて美しい女に。もう、あなたには戻れないわ。」
アリウムさんは私の髪を撫でる。
彼女の目は確かに私を見ているのに私じゃない何かを見ているように見えた。
「私のようになるのよ、生まれ変わるの。あなたは不気味な程に可愛らしい。その容姿なら大体の事はカバーできるわ。」
アリウムさんの話は続く。
「あなたに仕事が入ったわ。相手は幼女趣味で有名な資産家。いい?あなたは彼を魅了するの。そして利用するのよ。イチイはきっと
あなたを試しているわ。」
仕事。
思わずイチイとの行為がフラッシュバックする。私は無事にその仕事ができるのだろうか。
「辛いかもしれないけどやらなきゃ駄目よ。私はあなたの教育係。仕事のイロハを教えてあげる♡」
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気になる事は幾つかあった。
もちろんここは何処とか、僕はどうなるのかとか。オトメの事とか。
でも今気になるのは僕を撃ったと思われる銃だった。
僕の記憶ではまったく音がしなかった。
家での教育で武器関係もある程度教えられていたが、そんな銃は聞いたことがない。
コツコツ…。靴が響く音。
足音だ、誰か来るのだ。
僕は今どういう状況にいるのか全く理解できていないがハナズオウの話では僕は死ぬかもしれないそんなのだ。
明かりが僕のいる牢に射し込む。
「はぁい、ご機嫌よう。調子はどうかしらん。」
野太い声だった。
女口調に男の声。オカマ趣味の野郎なのだろうか。
男が持ってるランプだけがここでの明かりだった。
ランプは男の下半身だけを照らし顔はよく見えなかったが恰幅がいい男という事は分かった。
「アネモネきゅん。ご同行おねがいできるかしら。」
この状況で僕に拒否権なんてものはないだろう。
「わかりました。」
男は牢の鍵を開けると僕についてこいと言った。
特に拘束等はなくただただ僕は男の後ろをついていった。
なんだ、この扱いは。
「ああ、そうね。説明しないとぉ。」
男は立ち止まりランプを顔の方まで持ち上げた。
「アタシはイエローサルタンよ。長いからサルタンって呼んでね。アネモネきゅん。」
男の顔は厳つい顔だった。軍隊の総指揮官と言われても違和感のない顔。
髪型はオカッパで…なんだか色々と濃い男だった。
「…つ、つかぬことをお聞きしますが。僕はいまどのような状況なのでしょうか。」
「やっだぁ〜。そんな硬い口調つかわないでぇ。もっと砕けてよぉ。」
僕はなんだか拍子抜けした。
僕は命の危機がある状況にいるんじゃないのか?
「アネモネきゅんは錬金術って分かるかしら?」
「れ、錬金術?」
「あら、知らないの。今ね王族の間で流行ってるの。…確か、一ヶ月ぐらい前にね一人の女の子が召喚されたわぁ。」
「……。もしかして、その事と何か関係があるのかい?」
「勘がいい子ねぇ!今ね、この国は秘密裏にその女の子を探しているの。その女の子の名前はクレオミ。クレオミたんよ。」
「…クレオミ?」
「あら、貴方知らないの?。おかしいわねぇ。だって、貴方と一緒にいた女の子…
クレオミたんとそっくりだったのに。」
そっくり?そのクレオミという少女と?
オトメが。
「ど、どういう事だ。」
「えっとねぇ、部下の話によると奴隷市場にクレオミたんの特徴と一致する少女がいる!っていう情報が入って駆けつけたんだけど、その時にはもう遅かったのよ。クレオミたんを買った連中はお偉いさんとベッタリだから簡単には手を出せないし…。そこで貴方に目をつけたのよ。」
「僕に?」
「商人の話によればアネモネきゅんって彼女と同じ牢にいたんでしょ?それに恋仲だって。」
「こ、こいなか。」
「そこで教えて欲しいの、クレオミたんの事。そして、探すの手伝ってくれないかしら?あ!いっとくけど拒否権はないわよ!」
サルタンはニッコリと言った。
なるほど、とりあえずだが今の僕の立場は理解した。
分からない事が多すぎるが、とりあえずクレオミ?(オトメ)を探すという目的は一致している。
「なるほど、わかった。しかし、どうして僕は命の危機があると言われたんだ?」
「ああ!アタシ達ね錬金術の生贄として奴隷を買っていたからだと思うわ!」
……。
とりあえず協力するが(そもそも、拒否権などないが)この連中をあまり信じ過ぎないようにしよう。
オカマはお好きですか?




