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第5輪 白色のアネモネ

パーフェクトブルーを観た

圧倒された。

「オトメ!走るんだ!一分一秒でも速く!」


「はいっ!」


僕とオトメは森の中を駆け抜けていた。


僕はあらかたここはどこか検討はつけていた。僕の予想が合っていればそろそろ道が見えてくる。その道を沿っていけば町に着く。そこで汽車に乗って両親の元に行こう。


それから走って行くうちに道が見えてきた。


よかった。合っていた。


僕は立ち止まり、オトメに目を合わせた


「‥君の事は絶対に僕が守るから。一緒にブルースターを見に行こう。」


「はいっ!一緒に。」


ニコっと笑う。笑うと同時に身体が少し揺れて絹のような白髪が揺れる。太陽が反射して、青い色が見えた。


ブルースターが咲いたような…そんな笑顔。


僕はやっぱりオトメが好きだ。


出会ってそんな年月は経っていない。


出会ったきっかけだって大した物じゃない。


でも、やっぱり僕はオトメが好きだ。



僕はオトメの手を握りしめ、再び走り始めようとした。


その時だった…。


服部に強い衝撃がして、僕は立ってられなくなった。


なんだ?


何が起こったんだ?


手でその部位に触れる。


ぬめってして手のひらを見ると血がついていた。


赤い、赤い血が。


「‥‥ッ‥オト」

ガンッ!と擬音がつくような衝撃が頭に走った。


僕は手を離してしまった。


オトメ‥…。


オトメ‥。






気がつくと僕は暗い場所にいた。

どこだ?ここは。


そんな事よりオトメはどうなったんだ。


「んぅ〜〜っ!!」


声を出そうにも口に布を噛まされていて喋れない。腕と足が拘束されていて動けない。


何ていう事だ。


だんだん暗闇に目が慣れてきた。


統一性のない物がたくさん雑においてある。しかも、煙っぽい。


おそらく倉庫が何かだろう。


頭がジンジンと痛んだ。



カツカツと足音が聞こえた。


誰か来る!


僕は息を潜め、身構えた。


やがてドアが開き、細長く黒い服を着た何者かが入ってきた。

暗闇に目が慣れ始めてきたところだったので眩しく、よく見えないが髪が長く三つ編みをしているのは分かった。


「オッス!生きてるっすか?」


声的に男というのが分かった。

男は僕の前までくるとしゃがみ込み視線を合わせて話し始めた。


「いやぁ〜。災難っすね。恋人と駆け落ちってやつッすか?。…っつても、それじゃ話せねぇっすよね。今、外してあげるっす。」


男はゴツゴツとした手で僕の口元で固定されていた布を外した。


僕は男を睨みつけた。


「そんな睨まないでくださいっすよ。ボスの指示なんで。」


「…ここは何処で、お前は何者で、オト…もう一人いた女の子はどうした。」


「そんないっぺんに質問しないで欲しいっす。」


男は困った顔をし、やがて咳払いをして答え始めた。


「ここは娼館の地下倉庫ッす。んで、俺の名前はハナズオウ。ここで働いてます!…もう一人の女の子は…。」


ハナズオウはそこで一息置いた。

心臓がドクドクと脈打ち返事を急かしている。


「ここで娼婦として働く事になったっす!」


娼婦。


そんな、僕たちはオトメが娼婦にならないよう。離れないよう脱走を決意したのに。


何の意味もなかったのか?


「じゃ、じゃあ僕もここで働かせてくれ!」


「はい?」


「僕は自分の容姿には自信がある!…それに僕の歳なら男娼として価値があるはずだ!…だから、一緒に…。」


「ん~~、お兄さん。そういう訳にはいかないんすよ。確かにお兄さんとっても美少年。でもね、駄目なんすよ。」


「どうしてだ。」


「ボスはね、彼女には何万何億の価値があると踏んでるんすよ。ボスはとにかく()が欲しいんす。その為には、オトメちゃんにやる気になってもらわないといけない。じゃあ、その為にはどうするか…。そう!諦めて貰うすかないんすよ。


アンタとの幸せな未来ってやつを。」


「……な、何を。」


「死んだように見えるなら好きにしろって言われてるんすけど、殺すなって言われてるんすよね。…なんで、()()を貰ってくっすね。」


ハナズオウは僕の顔に手を伸ばす。

やがて指は僕の目と鼻の先まで伸び、僕の目に触れた。


「ッ!!や、やめ」


指はそのまま押し込まれた。


「あッ!!あ〜〜!!!っが!」


抉られる、抜き取られる。


僕は頭の芯のあたりがこれでもかと熱くなった。やがて抉るような痛みが僕を支配した。


「あがッ!‥…あ、あ〜!」


あまりの痛みに、衝撃に僕は意識を失いそうになった。


目が、僕の目が取られたりのだ。


「アンタ綺麗な目っすよね。赤い色と、青い色。…これは貰ってくっすね。」


「あッ!うぁ…。はぁはぁ…。ハナ‥ズオウ。」


「たしか…アネモネ君っすよね。あんたはこれから死んだ方がいいと思う場所に出荷されるっす。…でも、俺の勘が入ってるんすけど。あんたと俺またどっかで会うことになりそうっす。って事でバイバイっす!」


ハナズオウは僕の首に触れると圧迫し始めた。


意識が遠のいていく…


僕の意識は暗闇へと沈んでいった。










そして、僕は今ここにいる。


明かりのない暗闇でジメジメとしている。奴隷市場で僕たちがいたところと少し似ていた。


拘束はされていなく、自分の身体を調べてみたところ。腹、頭に包帯がぐるぐると巻かれていた。


腹には、傷があり縫われていた。

きっと、あの時…僕は撃たれたのだろう。


頭にも縫ってあった。


目は、怖くて触れられなかったがないのだろう。僕は左目を失ってしまったのか。

「…オトメ。」


僕の呟きは暗闇に吸い込まれていった。

――――――――――――――――――――

「不思議なんだけどね‥僕は君のそばにいるととても落ち着くんだ。」


ここは奴隷市場のあの檻の中。

アネモネと一緒にいた場所。


アネモネ…?


アネモネ!


私は叫んだ。

しかし、声が出ない。


「両親は僕には興味なんか無かったくせに、勉強には口を出してきてね。…色んなお稽古をしたよ。」


アネモネ!

私は歩いた。アネモネノところに向かって。

でも、全然近くならない。


「だからね…こんなにゆっくりしてるのは始めてなんだ。ははっ。奴隷になって経験するなんて変な話だね。」


アネモネ、アネモネ、アネモネ。


その時、場所が変わった。

ここはあの場所だ。


アネモネが倒れた場所。


私たちが離れた場所。


「…特にねオトメの近くだと、とても落ち着くんだ。」


ばんっ。

アネモネが目の前で倒れている。


また、場所が変わった。


「オトメちゃあん。しあわせになりたい!しあわせになりたい言うてるけど。自分が変わらなきゃ意味ないやろ。なぁ?」


イチイがいた。


「アネモネ君が死んだのもあんたが馬鹿なせいなんとちゃう?」


その言葉は私の胸に溶けていった。


私のせい…。


「強くなりなさい♡」


アリウムさんがいた。


「アネモネ君のためにも、あなたは復讐すべきよ。」


復讐…。


「いい?今。()()()()()()()()()()()()()


死んだ?


「そう、今までのあなたは死んじゃったの♡だから、生まれ変わりなさい。」


生まれ変わる……。 


……。  


…。





「早く起きてよ!!!!」


突然の大声に飛び起きた。


「あ、う…。」


腰が、身体中が痛かった。

何だ。イチイとの行為は夢じゃなかったんだ。


「いつまで寝てるの!迷惑!迷惑!迷惑!」


目の前には全身の薔薇の入れ墨が入れてある女の子がいた。

歳は私と同じくらいで赤いドレスを着た綺麗な女の子だった。


「ここは何処ですか?」


「あなた何も聞いてないの!教えてあげる。…ここは私の部屋。あなたはね今日から一緒に住むことになったの!」


部屋を見渡す。

ベッドが二つあるだけの狭い部屋だった。

けど、女の子が腰掛けてるベッドの方には物が散乱していた。


「あなたなお名前は何と言うのですか?」


「自分から名乗るのが礼儀でしょ!失礼!失礼!失礼!」


「ご、ごめんなさい。私オトメって言います。」


「変な名前。よく聞いて!この超絶美少年の名前を!!」


美少年…? 


「ストック!ストックなの!良い名前でしょ!」














東京ゴッドファーザーズも観た。

今敏さんって明るい作品も作れるんだ。

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