第4輪 匕ガンバナの味
皆さんは好きなゲームありますか?
しあわせになりたかった。
しあわせに……。
始めて恋を知った。
始めてだった…。
ただ彼といられればよかった。
なのに、
なのに。
どうして?
―――――――――――――――
目の前の女はタバコを吸っている。
彼女の口からでた煙は不気味な形になりやがて散っていった。
タバコの匂い、そういえば久しぶりに嗅ぎました。
「……うふふ♡落ち着いたかしら?」
「…はい。」
目の前の女…名前は確かアリウムさん。
アリウムさんは不気味な見た目をした女性。
片目、片乳がなく、黒いシックなドレスに身を包んでいる。
不気味でありなごらどこか惹かれる、そんな毒のような美しさがある女の人。
「かわいい子…お名前は?」
「…オトメ。」
「オトメちゃん♡」
アリウムさんは手に持っていたタバコを灰皿に押し付けると、足を組み直し私の方に向き直った。
「私はこの娼館のNo.1。そして、貴方の教育係よ。よろしくね。」
ニコぉ…と笑った。目が離れない笑みだった。
「…私の復讐…。手伝ってくれるのですか?」
「ええ、いいわよ。だって貴方…ビックリするくらい可愛いんだもの♡。…なんていうのかしら、見た目だけじゃないのよ。内側から光が漏れ出るみたいなねぇ♡。この国じゃ滅多に見ないタイプの人だし。」
「…そうですか、ありがとうございます。」
確かに私はこの国の人ではない。
でも、私がそんなに魅力的な性格をしているとは思えない。
この容姿だろうか。
私はいったい何者なのだろうか。
元の私はやはり死んだのだろうか。
しかし、今はこんな事を考えている場合ではない。
「私はこれからどうしたらよいのでしょうか…。」
「オトメちゃんはどういう風に復讐したいの♡?」
「私は……あの男の何もかもを奪ってやりたいのです。あの男のしあわせを。」
「ふ~ん♡……じゃあ、この娼館で成り上がりなさい。そして、イチイの信頼を勝ち取りなさい♡。」
娼館で成り上がる…その意味は
『一緒にお風呂入ろうか』
そういう行為をすること。
「うふ♡。覚悟はできるかしら。」
「大丈夫です。‥できます。私できます!!」
「よいこ♡。」
「そういえば…何故アリウムさんは協力してくれるのですか?」
「…貴方の見た目が好き♡ってのもあるし、面白そうっていうのもあるけど。」
アリウムさんは足を組み直して言った。
「……一番はね、娼館に怨みがあるからかしら。」
「……そうなのですか。」
アリウムさんも色々あったのだろう。
きっと私には想像できない事が。
ガチャと音をたててドアが開き男が入ってきた。
「ボスがお呼びだ。」
男は私に近づきまた布袋を頭に被せてきた。
私は男に担がれる形になった。
それにしても、そこまで部屋の内装をみられたくないのだろうか?
それとも違う狙いがあるのだろうか?
例えば、お前は道具というのをわからせるため?
確かに、今のこの状態は酷く惨めな気分になる。
「…着いたぞ。」
そう言うと私は床に落とされ布袋を外された。
「…!。ッイチイ。」
「おー怖。てか、さん付けぇや。」
私はさっきの男に拘束され、身動きが取れなくなった。
イチイ。
その姿をみるだけで目が真っ赤になる。
アリウムさんにイチイの信頼を勝ち取れと言われたばかりなのにこのザマ。
イチイは長身の男で、黒い目に黒いオールバックの髪。顔は整って見える。
全体的に黒い色の男だった。
「娼館でやる事ちゅったらわかるよなぁ。…セックスやセックス。アハハハ!まぁ、他にもあるけどなぁ。」
憎い、ひたすらに憎かった。
始めてだった。こんなに誰かを嫌いになったのは。
「喜べオトメ、お前に始めての仕事や。」
「っ…。……。」
仕事。
頭の中に父との行為がフラッシュバックする。
嫌だ。嫌。嫌。
「…おい、お前ら席外せ。」
イチイがそう言うと私を拘束していた男、他にも部屋にいた男がみな出ていった。
出ていく男達は皆、私に下卑た視線や、哀れみの目を向けた。
額に一筋の汗が落ちる。
嫌な予感がする。
「オトメちゃんなぁ……。まぁ、腰かけぇや。」
私はソファに座った。
イチイと向かい合う状態になった。
イチイはタバコを1本出すとオイルライターに火を点火し、タバコを吸った。
「なぁ、俺あんたの事見たことあるんよ。あまりにも美人さんになっとったから気づかへんかったけど…。
……クレオミちゃん。
あんた、クレオミちゃんやろ。」
「クレオミ…?」
クレオミ…。その名前はきっとこの体の持ち主の名前だろう。
困った、私にはクレオミに関する事はまったく分からない。
ここは記憶喪失という事で何とかできないだろうか?
「…す〜っ。どこで会ったんやっけ。確か親父の付き添いの時に。…お偉いさんと会ってそん時に…。まぁ、そんな事はええわ。」
「……。」
「なんでオトメって名乗ってるん?自分。」
「覚えていません。」
「…そうかいな。」
わからなかった。
このクレオミという女の子には何か秘密があるのだろうか。
イチイは足を組み直すとサッと私の方に向き直った。
少しその動作がアリウムさんに似ていると思った。
私は身構えた。
今はこの男と二人きり。
しかも、仕事という言葉が出てきたのだ。
「そうそうアンタの初夜を買った男やけどな。」
イチイは立ち上がり、私の隣に腰掛ける。
嫌悪感でおかしくなりそうだ。
「なぁ、誰だかわかるか?」
「…わ、わかりません。」
汗が額を走る。背中がやけに冷たかった。
「…わかっとるんやろ?」
イチイは腕を私の肩に回した。
触るな。私に、触るな。
「‥…。」
イチイは耳元で囁いた。
「もちろん俺やで。」
「ンッ……んぐ!…う!」
突如、私の口の中にナメクジのようなものが入り込んだ。
目の前にはイチイの顔。
私、キスされている?
誰に?
この男に?
イチイに?
全身の血が沸き立つかのように怒りが体中を走った。
「ん~~っ!ッ、ん!ぐ!」
しかし、イチイの体が私を抑え込んでおりまったく体が動かない。
腕は完全に押さえつけられ、股の間にはイチイの足が挟まっており抵抗は難しい。
「んっ!!〜ぐ!」
舌は私の上顎、下顎を舐め、私の舌を絡め取るように動いた。
気持ち悪い。気持ち悪い。
やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ。
キスは長く息をする有余がない。
私は呼吸ができなってきて、だんだんと身体に力が入らなくなってくる。
苦しい!苦しい!苦しい!
私は父親に首を絞められた時の事を思い出した。
やめてやめてやめて。
「‥ぷはッ!」
「ッゲホ!…ゲホッゲホっ!」
やがてイチイの唇は私から離れた。
涎が唇同士を繋いでいる。
ようやく息ができるようになった私はむせつつ、目一杯に息を吸い込む。
「んぁ〜。酸欠で顔真っ赤になっとるなぁ〜。涙目やし。ッハハ。かわええで。」
絶対に絶対に絶対に殺してやる。
そう私は胸に刻んだ。
「なぁ、なんで俺がオトメちゃんの事、こんなに気にいっとるか分かるか?美人やしかわええっていうのももちろんある…。でもな一番はその目や。目。あんた、俺のこと大ッッッ嫌いやろ!」
イチイは面白おかしそうに口を大きく開けて笑った。
私はまだ、酸欠でクラクラする頭を動かしてこの状況を打破する方法を考えた。
やはり…殺すしかないのではないか。
あたりを見回す。
灰皿がある。
この灰皿でこの男の頭を…。
「おっとぉ。そおはさせんで。」
私の腕はイチイが脱いだベルトによって拘束された。
胴体を動かそうにも、上にはイチイが馬乗りになっている。
どうしようどうしようどうしよう。
動かせない。逃げられない。
「‥俺ん事が嫌いな女なんてここじゃわんさかおるし、俺もその女一人一人相手にする程暇やない。…でもなぁアンタは例外なんや。…もしかして、俺なぁ一目惚れしたかもせぇへんなぁ!」
イチイは笑っていた。
それは悪魔の笑みだった。
イチイは首筋にキスをした。
「なぁに、ここで働くならいつかはやる事や。」
手が私の服を掴む。
「大丈夫や。‥痛くわせん、気持ちよくする。なら、始めての相手が俺で幸運やったんやない?」
イチイは私の下着を下ろした。
そこからの事は私はあまり覚えていない。
だが、心身を徹底的に凌辱された事だけは覚えている。
それは絶望だった。
父親に始めてその行為をされた時に勝る絶望。
私は全ての行為が終わったあと意識を失った。
――――――――――――――――――
「あ、ぐぁ……あ。」
僕は目を覚ました。
顔の左側がとてつもない程の痛みを発している。
当たり前だ、だって左目をえぐりだされたのだから。
僕は…アネモネは、今まで起きた事を整理しようとした。
凌辱シーン。
もっと書きたかったんですけどR18になっちゃいます。




