会場スタッフの証言
喪主の父のに言いよる女性がやってきた。
やってきただけだったらまだなんとかなったかもしれない。
「ねえ、たかしさん結婚してくれる?」
おい、これから葬式って時になんでそんなことを聞くんだ。まずいと思いつつも新米の自分はどうしたらいいかわからなかったのですぐにマネージャーに相談した。
「うん、私が行ってみるから少し待っていて」
ありがとうございますマネージャー。と思ったのも束の間だった。
「は?あの女来ているんですか?」
なんと喪主に聞かれてしまっていた。急がねば、と思って廊下の隅で相談したのがまずかった。
「不審だと思われる方がいるとのことだったので私が行って対応します」
即座にそう返答するマネージャー、すごい。
「そんな周りくどいこと言わなくて良いですよ。父の恋人が結婚しろって迫っているんでしょ?さっきの会話聞いていましたからわかります」
堂々と盗み聞きしていたことを告白されて驚いたがさらに驚いたのは喪主がそのまま不審者がいるとされるところへ行こうとしていることだった。
「喪主様は控え室に」
「いいですよ、俺が行った方が話がスムーズに進むでしょ」
かえって拗れる気がするのは勝手な憶測だろうか。っていうかこの感じもしかして前から父親に恋人がいたのは知っていたのか?
さらなる修羅場が幕を開けるぞ!!と思っていたら喪主の父に話かけている見知らぬの女性がいた。誰だろう、と思うまもなく喪主様は口を開いた。
「ああ、あなたが自称恋人ですか?」
驚ろきですぐに言葉を発せなかった。
この人は関係ない方です!と急いで叫ばなくてはいけない!!
『これからは二人で生きていくから邪魔しないで』
え?
スタッフ、君は悪くない。