3.始まり
今日は待ちに待った初配信の日。もちろん準備は万全で今か今かと配信を待っている。
私は初配信の順番が最後なので、先に配信する同期の様子を見て待っているところだ。
「やば、もう千城の配信終わるの…!?」
千城の配信が終わるということは私の出番だということ。急いで準備をはじめ待機画面を設定して配信を始める。配信を始めて少し経つと千城の配信がちょうどおわり一気に同接が増え始める。
待機画面のアニメーションが一周したところで私は配信を始めた。
「あー、この声聞こえてるかな、?」
>きこえるー
>聞こえてるぞ
「よかったぁ~!!挨拶するね!」
音量などの問題もなく無事聞こえているようで私が話し出した瞬間、コメント欄が一気に動き出した。
「お初~!!本日!ゆにふぁんよりデビューさせていただきます。雪月花の”月”担当、月瀬瑠奈でーす!!よろしゅうおねがいします~」
>デビューおめでとうございます!!!
>おめでとうございます
「コメントたくさんありがとうございます~!!今日は名前だけでも憶えてってくださいな~」
「早速自己紹介しよかな~!」
自己紹介ボードを引っ張り出してきて自己紹介を始める。
「よいしょ~みえる?」
>みえる!
>見える
「あらためまして、わたくし月瀬瑠奈と申します~職業は学生!身長は157㎝!!これは靴込みです~年齢は15歳。誕生日は2月2日!にゃんにゃんの日で覚えてくださ~い!」
>靴込みなんかww
>同期と並ぶと小さいねぇ
>ミニサイズすぎかわいい
「そうなんですよ、同期二人とも大きいからさぁ、月瀬余計小さく見えるの」
「ええええっと好きなものは料理とゲーム、アニメ、漫画、歌、と甘いもの!!」
>ぽい
>かわいい
「えー、特技!特技は名前覚えること!!配信にたくさん来てくれたりリプくれるとすぐ覚えます!認知型Vなので軽率に!!!推してください~」
初配信で困らないようにと台本を用意したことも忘れて昔と同じように気ままに話し続ける。
何年振りかの感覚に、気分は高揚していた。
「嫌いなもの!!運動、きのこ!!さかな!!!!!が嫌いです!ほんとーーに!きらいなの!」
>しょうがくせい?www
>認知型なの強い
「えええーと目標!目標は~、でっかい箱でライブすること!!です!!」
>漠然としてる!w
>がんばれー!!
>タグは?
時計とタイムスケジュールを確認し、順調に進んでいるかどうかを確かめる。
確認してみると、しっかり自分が予定していた通りに配信出来ているようで安心した。
「タグ!忘れてたwwwwえーと、こんな感じ!」
・ファンネ
つきのたみ
・配信タグ
#るなまほうそう
・ファンアート
#るなーと
・サムネタグ
#つかえよつきせ
・エゴサ
#るな巡回中
「こんな感じ!です!!」
>了解した
>使います
「また後で纏めたものをツイートするので!ぜひぜひ使ってくださ~い」
「えーーっと後はクリエイター様紹介です!!デザイン担当は!我らが優姫大先生です!」
私のデザインを担当してくれた方はこの業界ではとても有名な方で、最大手から個人まで幅広く有名な方たちのデザインを担当している。
>優姫先生!!
>兄達の面影あるよね
「最初の準備モーションは月瀬本人が担当しております!!」
>すご
>多才すぎ
「!時間がたつのは早いね。もう終わりの時間だ~」
>はやい
>お疲れ様
「では!!!おつるな~!!!!」
予定していた配信時間が迫り、惜しくはあるが、配信を終わる。久々の配信で気分が上がりすぎてしまった。あぶなかったな…
配信を閉じ、初配信を見てくれたリスナーへ向けてお礼ツイートをする。
一息ついたところでまたパソコンに向かいエゴサを始める。初配信ということでタグがトレンドにも上がっており、気分は上がる一方だ。
数千件の投稿を確認していくと、数人の同じ事務所の先輩たちの投稿を見つける。新人の配信もチェックしているということに驚いたのと同時に見ていてくれたということに嬉しさがあふれる。
「やっぱり幸せだなー」
ベットに飛び込みながらそうつぶやく。久々の配信につかれていたからか私はそのまま眠りについた。
12/9最終更新