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“合点(がてん)”

~前回までのあらすじ~

 南己を口説き雇用されることが決まった紅彼。紅彼の初仕事は業界の先輩である、燻楽、無太、与志高、そして東京支部長の南己が同伴であった。息が合い過ぎて仲が悪い先輩の三人。彼らは次第に口論となり、心の歪んだ闇がむき出しになってしまう。動揺する紅彼。そこで南己が取った行動は驚きのものだった。


~登場人物~

名井南己みょういみなき

庵藤紅あんどうこがれ

亜駆童燻楽あくどういぶら

鈿無太かんざしむた

尽部与志高つくべよしたか

朱音川梨久あかねがわりく

掛布傑かけふすぐる

・紅彼の連れの女

〇東京・千駄ヶ谷

「シュ―...」

   暗魂化した無太・燻楽・与志高が南己によって祓われる。

無太「ミ...ナキ......サ...」

「ブチュッ!!!」

南己「無限に続く呪いの輪廻

   発起・思惑・左遷の怒り

   全てを悟りて南へと進まん

   祓業(ふつごう)...完了」

紅彼「......おい」

南己「......」

  「ドサッ!!」

南己を殴りにかかる紅彼。

南己「また殴るのか」

紅彼「っ!!

   コノヤ」

南己「苦しみから開放するのが

   〝闇祓い〟じゃないのか」

紅彼「......くっ」

南己「矛盾だな

   やっぱ雇うんじゃなかった

   今日はもう帰れ」

紅彼「......」

南己「......2週間後

  報告会議がある

  今日のままだったら

  世間知らずのおぼっちゃん

  ......本当に生き様を求めてるなら

  腹くくって事務所に来い

  ラストチャンスだ」

T「2週間後」


〇紅彼の部屋

ベッドに横になっっている紅彼。

紅彼「......」

   派遣組3人を南己が祓った場面が

   フラッシュバックしている。

紅彼M「ほんとに仲悪かったらあんな騒がしくねぇっつんだよ」

「デロリンッ!」

携帯の通知。

メッセージ「今から会える?」


〇公園・ブランコ(昼〉

女「ね~え~

  クレープ食べ行こうよ~」

紅彼「あー」

女「いやなの~?」

紅彼「あー」

  「デロリンッ!」

女の携帯に通知。

メッセージ「今から新宿これる?  

      付き合ってくれたら

      好きなものなんでも買ってあげる」

女「っ!

  うっそマジ!

  ごめん予定出来ちゃった!

  紅ちゃんまたね!」

紅彼「いいよー」


〇公園・同外観

男「なぁ頼むやめてくれよ!!」

梨久「何よ

   後ろから押すだけじゃない!」

男「この前それで腕折ってんだぞ!

  久々にブランコ乗ったけどやっぱ無理だ!

  俺たちもう別れよう!!」

    横目で見ている紅彼。

    走って逃げてく男。

梨久「ちょっと!

   んも~だらしないわねぇ

   男なら腕の肋骨の1本や2本折っても平気でしょ~」

紅彼「ふっ」

   ほくそ笑む紅彼。


〇公園・同外観

紅彼「はぁ~」

梨久「はぁ~」

紅彼「今はそっとしといてくれないかな」

梨久「今を楽しめる人は現れないのかしら」


〇公園・ブランコ(夕方)

「ガランガラン...」

ブランコから降りる紅彼。

俯きながら帰路に立つ紅彼。

紅彼「......」


〇東京・千駄ヶ谷 ※回想

南己「......

  2週間後

  報告会議がある

  本当に生き様を求めてるなら

  腹くくって事務所に来い」

     回想終わり。


〇南己の事務所前

「スタ...スタ...」

階段を上がる紅彼。

紅彼M「結局...」

「スタ...スタ...」

紅彼M「結論も出ないまま...

    来ちまった......

    俺がやりたいことって...」

無太「だから貴方がやればいいじゃないですか!!」

燻楽「うるせーな

   年下のお前がやるべきだろ!」

与志高「なっはっは!

    やろうと思えば俺が一番うまくできるぞ!

    頼まれてないのでやらんがな!!」

   ドアの外からでも分かる事務所内のうるささ。

紅彼「っ!!!」

「ガチャッ!!!!」

   二週間前に南己に祓われた派遣組の姿がある。

紅彼「あ...あ......」

燻楽「?

   なんだよ新人か

   早く入れよ」

無太「風邪ひきますよ」

与志高「お~! 確か名前は!

    忘れた!!! なっはっは!!」

紅彼「お前たち~!!」

   3人を愛でる紅彼。

無太「ちょっと!

   年上だからってやめてください!!」

燻楽「なんだよ...いきなり

アツ苦しいぜ全く...」

与志高「なっはっは!

    四つを組むのは嫌いじゃないぞ!

    俺が一番強いがな!!!」

紅彼「ほんとに...ほんとによかった!!

   ア~~~~!!!」

    泣きながら喜ぶ紅彼。

  「ガチャ...」

    ドアが開く。

    4人が振り返る。

紅彼「......南己」

南己「あ......」

無太「南己さん?」

南己「ウウンッ...

   みんな集まってるな」

    咳ばらいをして動揺を隠そうとする南己。

    後ろから梨久が入って来る。

梨久「......!

   あ!」

紅彼「んー...

   あー!!」

南己「なんだ知り合いか?」

紅彼「知りません!」

梨久「知りません!」


〇南己事務所

南己「よし

   それじゃ早速

   報告会議を始める」

    全員真剣な眼差し。

南己「二週間前あった千駄ヶの一件だが

   “バディーズ”

   黎明の世代の3人

   ご苦労だった

   沈静後

   暗魂の一体が暴走

   3人は頭を強打

   紺縄で捕縛下とは言え祓業詞(ふつごうし)の詠唱は欠かさずに

   初めて欠点が出たな

   これから同時招集がかかった時は気を付けるように」

無太「はい」

燻楽「はい」

与志高「はい」

紅彼M「ん?

    違くないか?」

紅彼「おい南己

   それ違っ」

南己「発言者以外口を慎め」

紅彼「は~い」

   ションボリする紅彼。

南己「とは言うものの

   3人とも無事でよかった」

紅彼「うん!

   えがったえがった!!」

南己「口を慎め」

紅彼「はーい」

南己「...燻楽」

燻楽「はい?」

南己「紅彼の同伴.....お前もついて来い

燻楽「〝は?〟」

南己「て事で

   紅彼だけ残れ

   他は解散

   お疲れさま」

燻楽「チッ...」

   紅彼以外事務所から出ていく。


〇南己事務所

「ガチャ...」

紅彼「おい南己!

あれどういう事だ!!」

南己「見たんだよ

   ちゃんとこの目でな」

紅彼「は?

   何をだよ!

   3人は喧嘩して互いに暗魂になったじゃな」

南己「『無い物ねだり』

    これがお前の〝超力〟だ」

紅彼「?」

南己「(おの)が願ったモノ

   それを引き寄せる能力

   初めて会った時は

   満足するまで止まらないわがまま野郎だと思ってたんだがな

   それが〝超力〟となって現れたらしい」

紅彼「そんなのどうしてわかるだよ!」

南己「〝発現者〟は個人に由来する能力と

   常人離れした身体能力を手に入れる

  ふ頭でのお前を見る限り人のそれを超えてた

  後は......()()()に賭けた」

紅彼「ミライ...」

南己「俺の〝超力〟は...『千里眼(せんりがん)

   遠方、未来、感情を見通すことが出来る

   あの日、あの場所の出来事、そして暗魂(マター)になった

   3人が生きている未来を見た

   『怖かった』というのが本音だが...紅彼

信じてよかった」

紅彼「南己~!」

   抱きつこうとする紅彼。

南己「ああちょっと」

紅彼「なんだよ?

   ハグしないのか?」

南己「しばらく...

   しばらく 1 人にさせてくれないか?」

     何かを察する紅彼。

紅彼「おう...分かった

   今日は帰るよ」

「ガチャ」

外に出る紅彼。

南己「......

   み”ん”な”ァ...

   い”き”て”て”よ”か”った”ァ!!!

   あ”~~~~~~~!!!」

     部屋に一人になりホッとして泣きじゃくる南己。

     ドアにもたれかかってそれを聞いてる紅彼。


〇新宿・高層ビル

掛布「......」

    高層ビルから人ごみを見る。

掛布「人がゴミのようだ...

   というか...ゴミなんだけどね」

   言い終わった後に携帯をいじる。

掛布「もしもし」

    誰かと電話してる様子。

掛布「うん...うん

   今から電車?

   そっかじゃあ

   気分的にちょっと我慢できそうにないから

   今回はお預けだ」

    紅彼が公園で一緒にいた女と電話中。

掛布「大丈夫

   好きなものは

   なんでも買うよ」

掛布M「ちゅどんッ」

    指パッチンを瞬間に新宿にいる人々が爆発する。


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