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小説ネタ集  作者: うしろ
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片頭痛

魔法の無いナーロッパ世界


幼い頃から、頭痛がした2~3日後には必ず雨が降っていた。

それを毎回、母に言うと「あら、雨が来るのね、いい子ね」と褒められた。

雨が判る事にこれと言って良い事ではないが、なぜか誇らしかった。

更に、頭痛の強弱によって雨の強さも判った。

頭痛が強い時は雨が強く、頭痛が弱い時は雨は弱かった。


頭痛がすると雨が降る事は、母の主婦網を通じて村に知れ渡る事となった。

村人は事ある度に主人公に雨が降るか聞いては、賭けの対象にしていた。

今の所、全戦全敗である。

そして行商人たちからも雨が降るか聞かれることになった。

移動中に雨が降られる事の厄介さは無い。

その行商人たちによって近隣の村々にその噂が広がっていった。


ある日、朝起きると物凄い頭痛がした。

これまでに経験した事の無い頭痛だ。

これは嵐になるかも知れないと思い、村中を回って嵐が来ることを伝え、農作物の早刈りをする事になった。

二日後、まだ半分も収穫できていないのに、ついに嵐が来た。

石造りの家が吹き飛びそうな勢いの嵐が半日も続いた。

嵐が過ぎ去ると、そこには荒れ果て、農作物が全滅した畑が広がっていた。


絶望する農民たち。

今年一年を過ごすだけの農作物は手元にある。

ただし、税金を払わなければ、だ。

が、税を払ったら何も残らなくなる。

ある農夫がポツリと漏らす

「嵐がくるならもっと早く収穫したのに」


農夫たちは賛同する。

そしてそれは少年への非難に変わる。

「なぜもっと早く知らせなかったのだ」

「お前がもっと早く知らせなかったのが悪いんだ」


やがて「お前が嵐を呼んだんだ」と言い出す。

ついには「お前のせいだ」といって農夫たちは拳を振りかざす。

少年は違うと言っても聞き入れらせず、怒り狂った農夫たちによって殴り殺されてしまった。


その日から10年、この一帯に雨が降る事は無くなってしまった。

川が干上がり、井戸は涸れ、農夫たちは一年も持たずこの地を離れる事となった。

人々は「干ばつの魔女」と呼び、呪いを掛けた少年を忌み嫌う事となる。


◇◇◇   ◇◇◇


後年の研究により、雨と片頭痛の相関係が立証された。

また、少年がいた時代は世界的に異常気象であった事も証明された。

これら研究結果を基に、ある歴史学者による「教会が魔女認定をした冤罪の事例」という論文が発表され、教会は魔女認定の撤回する声明を発表する事となった。


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