この話はフィクションです
勢いで勝負。
子供の日までに菖蒲のご準備を。
これは私が本当に体験した話です。
その日の私は仕事帰り。
国道を車で走っていました。
アクセルを踏み込むと40と書かれたメーターから45・50・55とだんだんと速度を上げているのが可視化されます。
「よぉ」
時速60キロに達したあたりで、急に話しかけられました。
私にとっては晴天の霹靂。
急ブレーキをかけました。
「怖かった」
私が目を覚ましたのは病院のベッドの上でした。
後で知ったことですが、私が目を覚ましたのは、事故後、1時間も経っていなかったそうです。
エアバックに押し付けられた私は気を失ったのでした。
幸い、人にもモノにもぶつかることはなく済みました。
停車しているところに出くわした後続車方のが、異変を感じ、警察を呼んでくれたということです。
「怖かった」
助手席に座っていた彼が話していたそうです。
疲れて眠ってしまった彼は、ふと目覚めて私に声をかけたそうです。
静かな車内で急に声を掛けられ、それがあまりに突然だったため、パニックに陥った私は急ブレーキをかけたようです。
「怖かった」
改めて、私は感じています。
私はストーリーの中の登場人物。メタだとかなんだとか言いますけど、そんな話はどうでもいいのです。
今は関係ありません。
あなたが神が作ったプログラムでないという保証があるでしょうか。
ないのです。それでもそれはどっちでもいい。
あなたがあなたとして一生懸命お生きなさい。
私がこういう思考をしていても、作者が書いた私かどうかは関係がないのです。
生み出された時点で命なのです。
私は私として生きる。
それはいい。
何が怖いかって、この話になんの落ちもない事。
題名で『フィクション』と言い切っているのだからその中の私が本当に体験した話をしようがしまいが、これを読む外側の皆さんにとってはフィクションです。
それはもういい。私も理解しています。
でも、フィクションとして語る必要のない特に何もない普通の『事故未遂』のエピソードを語らされている私がどんな気持ちかわかりますか。
『本来はフィクション』という念押しする題名と、『フィクションっぽいけど本当と言い張る』作中人物の相反する感を作品全体の面白さにつなげるべきだと思います。
あり得るけどなかった話をフィクションとして語らされる私の気持ちがわかりますか。
ホラー風に始まってただ、隣の人の声に驚いたっていうベタな展開。
本当に特に何もない。
いくら私たちの造物主だとしても許せない。
「よぉ」
今は私が文章を書いています。
ダイナマイト山村が驚いた顔をしています。
私たちをこんな目に合わせた張本人。悪の権化。
私の彼に殺してもらおうと思います。
私たちの世界でいう『現実世界の人間』ではないので殺人の罪にも問われないでしょう。
「さようなら。ダイナマイト山村さん」
深々と突き刺さった銛。そんなものどこにあったのだろう。
返り討ちにしました。僕が執筆をつづけます。
-ダイナマイト山村より-
くだらないの好きなんですよ。
下手でもやり続けりゃなんかよくなるかなと思ってます。
お時間いただきありがとうございました。