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ほら。やっぱり幼馴染過激派じゃないですか〜


読んでくださりありがとうございます‼︎


明日は諸事情により、更新できないかも?

できたらいいなぁとは思ってます。


まぁ、今後ともよろしくお願いします(・∀・)ノ


 







 翌日ーー朝食を食べ終えた頃。



 レーマン公爵家の玄関口で、アニス達は別れの挨拶をしていた。





「では……行ってきます」


 父親であるアドニスは国王からの招集を受けたため、共に神殿に行くことになっていた。

 しかし、警備上の都合で母と兄はここでの別れになったのだ。

 カティは柔らかく笑いながら、アニスを抱き締める。

 アトラスは僅かに涙目になりながらも……ちゃんと笑顔を浮かべて、妹の頭を撫でた。


「行ってらっしゃい。困ったら、いつでも帰ってきていいのだからね。ここは貴女の帰る場所よ、アニス」

「アニスぅぅぅう‼︎ ラスティ様に嫌なことされたら、直ぐに帰ってくるんだぞぉぉぉぉぉぉおっ‼︎」

「…………うん……我慢できなくなったら、帰ってきます」

「「「‼︎」」」


 アドニス達はアニスの態度はいつもと違うことに目を見開く。

 それは、悪い変化ではなく……良い変化で。

 まだ僅かにぎこちなさを残しながらも、どことなく自然になったアニスに……アドニス達は、満面の笑顔を浮かべた。


「えぇっ、待ってるわ‼︎」

「待ってるぞ、アニス‼︎」


 時間が迫り、馬車に乗り込んだアニスとアドニス。

 しかし、アニスは窓を開けていつまでも手を振り続けてくれる母と兄に手を振り返す。

 向かい側の席に座ったアドニスはそんな光景を見守り続け……やっと姿が見えなくなった頃に、席に着いた娘に声をかけた。


「急に、どうしたんだ?」

「……………何が、ですか?」

「いつもなら、〝大丈夫です〟と返していただろう?」


 いつもの彼女だったなら、確かにそう返していただろう。

 心配をかけさせまいと、問題ないと心配ないと答えていただろう。

 けれど、今のアニスはまだ、完全に甘えきることはできないが……ほんの少しずつ、家族に甘えてもいいのではないかと思うようになっていた。


「……ちょっとだけ、成長したってことにしてください」


 アニスは恥ずかしそうに笑う。

 そんな娘の笑顔に、アドニスは柔らかく笑みを返した。


「……ははっ……そうか。子供の成長は見ていて嬉しいな」

「そんなもんですか?」

「そんなもんなんだよ」


 穏やかな空気が流れ、他愛ない話をしながら馬車に揺られる。

 そして、馬車で走ること数十分後ーーーー。

 神殿に辿り着いたアニス達は……迎え入れた人物を見て、目を丸くした。


「お待ちしておりました、アドニス様。アニス様」


 神殿の入り口で待っていたのは、白を基調とした神官服を纏ったまだ年若い青年と……赤茶色の髪と瞳の、ピシッとした黒を基調とした騎士服を着た青年。

 アニスとアドニスは、騎士服の青年……王太子ラフェルの護衛騎士であるダラス・ファーカーが何故、神官と隣り同士で神殿の入り口でアニス達を待っていたのかと……首を傾げずにいられなかった。


「…………ダラス?」

「はい。王太子の護衛騎士ダラスです」

「…………なんで神官様と並んで、神殿のお出迎えしてるんですか?」


 最もすぎる疑問に、ダラスは若干疲れたような顔で笑う。

 そして、どこか遠い目をしながら答えた。


「あはははっ、確かにそう思いますよねー。わたしも王太子から離れたくなかったんですけど……アニス様のお出迎えして来いって命令されちゃったもんで」

「え? 何かありました?」

「流石アニス様。幼馴染のことをよく分かってらっしゃる」


 ダラスはケラケラと笑いながら、両手を頭の上に持っていく。

 そして、人差し指を突き立てて困ったように告げた。



「王太子、荒ぶっております」



「…………………oh……」


 アニスはそれだけでダラスが伝えようとしたことを察して、額をペチリッと叩く。

 普段は王太子らしい王太子である彼が、感情を表に出すことは少ない。

 しかし、いついかなる時でも感情を表に出さない訳ではなくて。

 ラフェルが荒ぶるほど感情を露わにするは……大体、理由が決まっているのだ。



 主に……()()()()()()()だと。



「という訳で。アドニス様はこのまま此方こちらの神官殿について行って頂いて。アニス様はわたしについて来てもらえます? 一度、殿下にお会いして欲しいんですよね〜」


 ダラスは慣れた口調でそんなことを言う。

 アニスもまたいつもの感じかと心の中で思いながら、素直に頷いた。


「あぁ……はい。ラフェル殿下がブチ切れるようなことがあったから、事情を聞いて、鎮めてこいってことですか?」

「いやぁ……取り敢えず、呼んでこいって言われただけなので〜。それはなんとも? あ、言っときますが……ラスティ様と殿下、ブリジット様は同じ部屋にいらっしゃいますから、密室に男女二人とかにはなりませんのでご安心ください〜」

「分かってます〜。では、行きましょうか」

「えぇっ⁉︎」


 隣にいた神官の男性は、ダラスの言葉とアニスの返事を聞いて困ったような顔をする。

 彼も彼で上の者からアニス達を案内するように言われてきたのだろう。

 哀れなほどに慌てる神官に……アニスはにっこりと微笑んだ。


「申し訳ありません。ですが、私は幼馴染のことが心配なのです。貴方はお父様だけ案内してくださいますか?」


 美しい笑みを真っ向から受けた神官の青年は、その美しさに魅了されて……顔を赤くしながらこくりっと頷く。

 アニスは父に軽く「では、少しだけ失礼しますね」と挨拶をすると……ダラスの案内で、神殿の中へと入って行った。


「顔で黙らせましたね〜」

「《顔だけ令嬢》ですし?」

「あはははっ、うーけーるー。それに頷いたら、わたし、ブリジット様にボコされますよね〜」

「えぇ……優しいブリジットがボコすとかしませんよ」

「いやいや。貴女方四人は、幼馴染過激派ですから」


 普通であれば貴族令嬢と騎士がこんな軽い口調で会話をすることは許されない。

 しかし、ダラスはラフェルの護衛騎士であるだけあって……そこそこ長い付き合いになっている。

 そのため、彼はブリジットとラフェルのことを知っている者でもあったし……アニス達の味方とも言える存在だった。


「んで? 何があった感じですか?」

「まぁ、見りゃ分かりますよ。ここじゃあ誰の目があるか分かりませんから」


 ダラスはアニスの質問にそうとだけ答えて、神殿の表区画……部外者が出歩くことが許されている区画にある、神獣専用の応接室の前に案内する。

 そして、「覚悟してくださいね」と告げながら……扉を開け、アニスを中に促す。

 彼女はごくりっと喉を鳴らしながら、応接室の中に足を踏み入れ……そして…………。



 そこにいたラスティ達の姿……正確には、ブリジットの頬に貼られた大きなガーゼを見て、顔面蒼白になりながら悲鳴をあげた。



「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ‼︎ ブリジットの可愛い顔にガーゼぇぇぇぇぇ‼︎」

「アニスっ‼︎ 待てっ‼︎ 飛びつこうとするな‼︎ 身体も怪我してるっぽいからっ‼︎」


 ソファに座ってオロオロとしていたブリジットに抱きつこうとしたアニスは、ラスティからそう言われてピタリっと動きを止める。

 そして、据わった目でブリジットと反対側のソファに座っている王太子……正確には膝をラスティの手で押し付けて、立ち上がれなくなっているラフェルに視線を向けた。


「何が起きたの」

「何が起きた? ブリジットの父君が、ブリジットを殴ったんだが?」

「はぁっ⁉︎ 何してんのっ、あのいけすかないクソ親父がっっっ‼︎」

「いや、あの……ラフェル様? アニス……? 一応はわたくしの父君ですからね……?」

「「ブリジットを傷つける奴を庇う必要はないよ‼︎」」


 ブリジットは、アワアワと慌てる。

 ラスティはそんな三人を見て、疲れたように溜息を零した。


「取り敢えず、落ち着け。こうやってアニスまで呼んだのは、ブリジットの身の安全を確保するための会議をするためなんだから」

「何々⁉︎ 私は何をすればいい⁉︎ ブリジットのためなら、なんでも協力するよ⁉︎」


 それを聞いたアニスはソファの間に置かれていたテーブルにバンッ‼︎ と両手をつき、身体を前に乗り出しながら聞く。

 そんな彼女を見てハッとしたラフェルも、ラスティの肩辺りをガシッと掴み、ぐわんぐわんっと揺らしながら叫んだ。


「勿論、わたしもだっっっ‼︎ 王太子の権限でもなんでも使ってやる‼︎」

「だぁぁぁぁ‼︎ 落ち着けっっ‼︎ 揺らすな‼︎ 止・め・ろ‼︎ ブリジットが心配なのは俺も同じだけど、いくら騒いだってブリジットの身の安全には繋がらないだろっ‼︎ やるなら、徹底的にっっ、だっ‼︎」

「「あぁ(うん)っ‼︎」」

「あの……わたくしは大丈夫だからっ……‼︎ 無理しないで頂だーーーー」

「「「ブリジットは黙って(ろ)(て)‼︎」」」

「あぅ……」


 三人の気迫に負け、しょんぼりと落ち込むブリジット。

 そんな四人の姿を部屋の隅で見ていたダラスは…………。




(ほら。やっぱり幼馴染過激派じゃないですか〜)




 と、呆れたように肩を竦めるのだった…………。









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