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語られるは、神様の謝罪。或いは驚愕の真実


真実語りパート2です!

またシリアスかな? とも思うけど……そこまでシリアスでもないかも? うん、ちょっと謎だわ(笑)


まぁ、よろしくねっ☆

 







 今、ここにいるのはアニスであってアニスではない。



 ラスティ達はそれを本能的に理解した。



 その上で……今言われた台詞を、頭の中で反芻し……ツッコミを入れた。







『いや、殴り込みのお手伝いって何っっっ⁉︎』


 ラスティ達の鋭い(?)ツッコミに、彼女は『あら、嫌だわ』と口元に手を添える。

 そして、コロコロと笑いながら……説明した。


『ごめんなさいね。いつも言葉足らずだと怒られているのに、つい簡潔に言っちゃったわ。あのね? 魔王陛下……夫をぶん殴りに行きたいから、お手伝いして欲しいの』

『余計に意味が分からないっ‼︎』

「「「「………言葉足らずに夫……⁉︎ まさかっっっ⁉︎」」」」


 困惑するラスティ達と、何かに気づいたような顔をする魔族達。

 双方の反応を見た彼女は魔族達の方を向き……にっこりと微笑んだ。


『久しぶりね。まさか、死んだのにまた会えると思ってもなかったわ』

「「「「魔王妃様っっっ⁉︎」」」」

『魔王妃っっっ⁉︎』


 言葉を失ってぽかんっとする全員。

 だが……一番最初に我に返ったラスティは、慌てて叫んだ。


「ちょ、ちょっと待て‼︎ あんたがさっきの話に出ていた魔王妃だとして‼︎」

『あら。わたくしの話をしてたの? 照れるわね』

「あ、そうですか……じゃなくて‼︎ アニスは今、どうなっている⁉︎」


 アニスの()に何者かがいるのは確かだ。

 ならば、()()()()()はどうなっているのか?

 ラスティの言葉で、やっと我に返ってそれに気づいたブリジット達も顔面蒼白になる。

 しかし……彼女はにっこりと笑って、告げた。


『安心して、アニスさんは無事よ。今回は()()からの支援サポートの下、ちゃーんっと安全に間借りしてるだけだから。わたくしが今、表に出てきているだけで……アニスさんもわたくしの話を聞いていらっしゃるわ』

『…………えぇぇぇぇ……』


 ラスティ達はそれを聞いて、言葉を失う。

 あまりにも急展開すぎた。

 何が起きているのかが理解が追いつかない。

 しかし……ただでさえ今の状況で手一杯だというのに、今度は急にラスティの身体が光り始めて。

 再度周りの人達はギョッとした顔をした。


「うわぁっ⁉︎ なんだこれっ……⁉︎」

『今度は何⁉︎』

「えーっと……あー……あぁぁー……」


 最初は驚いていたラスティだったが、徐々にその顔が困惑に変わり……どこか諦めたからような、呆れたような顔に変わっていく。

 そして……光が収まった頃、彼はもふもふの肉球両手で顔を覆うようにしてうずくまっていた。


「ど、どうした……ラスティ」


 ラフェルは幼馴染の様子を心配して、声をかけるが彼は返事をしない。

 だが、数十秒後……ラスティはゆっくりと顔を上げて、何が起きたかを語り出した。


「えーっと……今の光は、俗に言う……神託? みたいなモノ? うん。今、アニスの中にいる魔王妃様(本物)にちゃんと説明するんですよって言っといたのに……あまりにも説明不足すぎるからって……申し訳なくなった神様が今起こってる状況を分かりやすく説明して(伝えて)くれたと言うか……」

『あらあら。とうとう神様にも言葉足らずだって言われちゃったわ』


 その時、人々は思った。



 ……………………何故だろう。今、なんでか涙目になりながら平謝りする神様の姿が見えた気がするーーと。



「……ごほんっ。取り敢えず、説明始めるぞ‼︎」


 ラスティが場の空気を変えるように宣言する。

 周りの人達はそれに頷き……彼の口から語られる真実(その二)を聞き始めた。


「まず、ここにいるのは正真正銘、魔王の妻である魔王妃だ」

『幽霊みたいなモノよ〜』

「…………えーっと。普通ならば死んだ魂は死後の世界に行き、綺麗に浄化(記憶を消)され、輪廻転生するらしいんだが……暴走した魔王があまりにも強すぎて、殺せなかったし。というか、大切な人を殺されて狂ってしまった彼が哀れすぎて……魔王を止められるのはこの人しかいないと判断したために死者の管理者である《死神》様に特例申請をして、この世界に戻ってきてもらったそうだ」

『死神様がたった一人でたくさん魂を管理してるらしいから……偶然にもまだ、わたくしは輪廻転生してなかったの。運が良かったわね』

「…………ちなみに、魔王が封印された時点で特例申請を出していたらしいんだが……死神様が仕事で手一杯すぎて、今になったらしい」


 ……………どうやら、神はずっと最初からこの件をどうにかしようと動いてらしい。

 だが、手続きの都合で数百年単位の遅れが出てしまったようだ。

 しかし、その神こそが魔王の封印術式……神獣とその伴侶を生贄にするシステムを構築した本人でもある。

 ブリジット達は神が慈悲深い存在なのか、残酷な存在なのかが分からなくて……思わず顔を歪めた。


「…………ちなみに。封印術式の生贄に関してなんだが」

『っっっ⁉︎』

「……代々の神獣達は確かに封印術式の魔力源となってきたが……だが、役目を終えた神獣とその伴侶は……」


 ラスティがそこで言葉を遮る。

 言いにくそうに口を開閉させて……そして、覚悟を決めたように、ぽつりと呟いた。




「……神が用意した豪邸で優雅に暮らして、普通に天寿を全うして死んでるらしい」




『……………………はい?』


 ヒョォォォォ……。

 皆の頭の上にはてなマークが浮かんでいた。

 だが、一番にそれを理解したジルドレットが「ちょ……ちょっと待て⁉︎」と声を荒げた。


「神獣とその伴侶は、封印術式の魔力源となっているのだろうっ⁉︎ 生贄同然なんじゃっ……⁉︎」

「確かに魔力源となっているが……別に死ぬ訳じゃないらしい。封印術式の中で眠って……自動的に魔力を注ぎ、次の神獣に引き継ぎを終えて、目が覚めたら役目が終わっている。ただ、封印術式に取り込まれている間(個体差あり)は一切、歳を取らないし……魔力を全て封印術式に注ぐから今後、魔法が一切使えなくなる。だから、神が用意した豪邸で暮らすアフターケア付きなんだとか」

「そんなの先代の国王から聞いてないんだがっっ⁉︎」

「…………あれじゃないか? 失伝?」

「…………なんだ、それ……」


 ジルドレットは思わず脱力する。

 確かに、何百年も経っていれば失伝しているかもしれないが……神獣の交代を担当した国王がそれを知って、後々の王達に再度伝えていく可能性だってある。

 しかし、結局……役目を終えた神獣達のその後のことは伝わっていなかったのだ。

 この件は考えるだけ無駄、なのだろう。

 まぁ、とにかく……神獣と伴侶の命を犠牲にこの国の平和が成り立っていると思っていた国王は……実は神獣達が死んでなかったことに安堵やら何やらと複雑な気分になった。


「……………つまり……ラスティのご両親は今だに封印術式の中で生きているってことか……⁉︎」


 ラフェルの呟きに、ラスティは頷く。

 全員の顔が何度目か分からない驚愕に染まる中……ブリジットは疑問を口にした。


「でも、どうして神が用意した豪邸で暮らす必要が……?」

「魔法が使えなくなるだけじゃなくて、何百年と経ってるから生活様式が様変わりしている場合もあるし。それに……一応は神獣と伴侶だからな。また、規律の厳しい神殿に囲われることになるのをいとうヤツもいるとか」

「「なるほど……」」

「後、神が用意した豪邸は……本当は神が解決するべきなんだろうけど世界の維持という役割があってそれができなくて。自分の代わりをしてもらって、尚且つ神獣と伴侶に迷惑をかけるから……お詫びを兼ねて、至れり尽くせりになってるらしい」

「「絶対、最後の理由の人が多いだろう(ですわね)⁉︎」」


 思わずブリジットとラフェルがツッコミを入れる。

 魔力源となる所為で何百年も時間が経ってしまうため……神獣と伴侶には親しい人達を失っているのには変わらないのだが。

 他の人達の、この国も、神獣達の命までは失っていない。

 ある意味は比較的マシな選択を、神は選んでいたということだった。


「本当は神である自分が解決するべきなのですが……まだ未熟者で、力が足らずこういった選択を選ぶしかありませんでした。皆さんには本当に迷惑をかけて、申し訳ありませんby神」

『………無駄に腰が低いな(わね)(ですわね)っ……⁉︎』

「という訳で……魔王の暴走が止まれば、魔王も魔族の人達も以前のように暮らせるし……封印術式も必要なくなるらしいので、魔王妃に魔王を止めてもらいたい……だってさ」

『えぇ、勿論。わたくしの所為で、夫がご迷惑をかけてるんだもの。殴ってでも止めるわ』

「それで殴り込みなのね……」


 王妃ラナンがぽつりと呟く。

 それに魔王妃はにっこりと笑った。


『ちなみにアニスさんは〝今から殴り込みに行くの〜?〟って聞いてるんだけど、行って良いかしら? あんまり、アニスさんの身体を借りてるのも悪気がするのよね』

「…………無駄に行動力あるな、魔王妃……。まぁ……さっきの神託で封印術式の中に行く方法を教えてもらったけど……えっ? マジでもう行く感じか?」

『なら行きましょう。夫の目を覚まさせなきゃいけないもの。アニスさんも〝なんかもういっそ楽しむことにしたよ‼︎〟って言ってるわ‼︎』

「なんかアニスまで乗り気になってるっ⁉︎」




 とまぁ……そんな調子で。




 まさかまさかの、最終決戦クライマックス(?)の幕が上がったのだった………。







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