少しずつ動き出す恋愛事情
2話目〜。
ご連絡〜。
急に更新がなかった場合は……。
1)体調不良。この時期は崩しやすいんだ……。
2)予約投稿忘れやら、更新時間のズレの可能性
3)他の連載作品の更新←new
の可能性があります。
今後とも〜よろしくねっ☆
アニスにとって、ラスティはラスティという存在だった。
性別が男であることは理解していたが……それよりも幼馴染という認識が強くて。
その姿がもふもふしていたのも、考えなかった要因だったのかもしれない。
要するに……今までのアニスはラスティの婚約者になったというのに、彼が男であることを意識したことがあまりなかったのだ。
しかし、人型のラスティに抱き締められて。
彼の腕に包まれて。
その指先に触れられて。
いつもと変わらぬように触れ合っているというのに……自分とは全然違うその身体に、体温に、匂いにアニスは実質初めて、ラスティが男性であることを意識した。
神獣の姿に戻っても……彼から与えられた熱は治りそうになく。
逆に、今までの神獣姿のラスティとの触れ合いすらも……実は結構過激だったことに気づいてしまって、余計に混乱するばかりで。
アニスはその感情を、その熱をどうすればいいのかが分からず……思わず涙目になるのだった……。
*****
「……………ラスティって……男のヒトだったんだね……」
朝食の後ーーーー午前中の勉強時間。
ラスティの部屋での朝食を終えたアニスは、神殿から与えられた私室に移動し……神殿の作法やら何やらをハティアから教わっていた。
唐突にぽつりと呟かれた彼女のその一言に、ハティアは恋愛の気配を感じる。
そして、扉の側で控えていた……驚いた顔をしながら、アニスを見つめるオルトとティーダに勢いよく振り返り、アイコンタクト(念話をしてる訳ではないが、地味に意思疎通ができてる)をした。
(ラブコメの波動を感知したなり‼︎)
(いやっ、そんなの伝えなくていいですから‼︎)
(えっ……急にどうしてそんなことを言い出したんだ? ハティア、事情聴取‼︎)
(ラジャー‼︎)
ハティアはピシッと軽く敬礼をする。
そして、アニスに向けて……にっこりと頼りになる笑顔(鼻血、耐えてます)を浮かべた。
「んもぅ、何言ってんのよ。ラスティ様は元々男性でしょ?」
「いや、そうなんだけど……」
アニスは勉強机に膝をつきながら、両手で顔を覆う。
チラリと顔を覗いたハティアは……彼女の顔が真っ赤になっていることに気づき、興奮した様子で目を見開いた。
「ラスティが男のヒトだってのは分かってたんだけど……なんて言うか……ラスティはラスティって分類だったというか。もふもふだし、幼馴染として大切って気持ちが強かったからっ……性別を深く考えてはいなかったというか……‼︎」
ふにゃふにゃと呟くアニスは、若干涙目で。
美少女の赤面涙目という破壊力抜群の姿に、ハティアは慌てて鼻を摘んだ。
「(ふぉぐっ……‼︎ 破壊力っ……‼︎)た、確かに……ラスティ様はもふもふしてらっしゃるものね……‼︎」
「そうなの‼︎ だからね? ラスティはラスティって感じだったから……抱きつくのとかも気にしなくてよかったのにっ……もうこれから抱きつけないじゃんっっっ‼︎」
(((朝食の席で何があったっっっ⁉︎⁉︎⁉︎)))
ハティア達は心の中で叫ぶ。
アニスは今までこんな反応はしなかったし、朝もこんな感じではなかった。
目を離したのは……明らかに変わったのは、朝食からだ。
つまり、その時に何かあったとしか思えない。
何故かハティアの方が緊張しながら……彼女に質問した。
「きゅ、急にどうしてそう思うようになったの……?」
「…………」
「…………アニス様?」
「それは……」
「…………それは……?」
アニスは今だに赤面したまま、上目遣いをしながら口元に指を添える。
そして、小さな声で呟いた。
「……………秘密」
「ふごっっっ(か・わ・い・い)‼︎」
ハティアは美少女の赤面涙目+上目遣い+秘密という言葉に、とうとう我慢できずになり、思いっきり鼻血を噴き出す。
だが、アニスにかかる前にオルトとティーダがハンカチで彼女の鼻を塞ぎ、事なきを得た。
「ま、まぁ……とにかく。詳しくは話せないけど、アニス様は急にラスティ様を男性として意識するようになってしまって動揺してるってことでいいんですね? それを口に出して、ちょっと落ち着きたかったということですか?」
オルトは優しく笑いながら、アニスが言いたかっただろうことを整理する。
そう言われた彼女はコクコクッと頷いた。
「う、うんっ……そうなの……」
「な、なるほどな……まぁ、幼馴染として接しすぎて、急に異性として意識するとかあるあるじゃね? だから、そんなに動揺しなくてもいいと思うぜ?」
「………ってことは、ティーダもそうなったことがあるの?」
「うぐっ……お、おぅ……」
(馬鹿ティーダ……)
オルトは心の中で溜息を零す。
確かにティーダもオルトも、アニスのように幼馴染から異性として意識が変わったことがある。
しかし、絶賛その異性が自分達の想いに気づいていない。
ゆっくりと彼女に気づいていってもらおうとしている中……そんなことを暴露してしまえば、本人に言っているもの同然で。
「えっ⁉︎ そうなのっ⁉︎ アタシ、知らなかったわ‼︎ ちょっと……‼︎ 教えてくれてもいいじゃないの‼︎」
((oh……気・づ・か・な・い‼︎))
しかし、その本人であるハティアにそう言われたことで、オルトとティーダは心の中で絶句した。
泣きたい気分であったが……今は自分達のことは置いておこうと、オルトは気合で笑顔を貼り付ける。
そして、自分達のことは棚に上げ……アニスへとアドバイスの言葉をかけた。
「……まぁ、とにかく。ティーダのことは置いといて。これからゆっくりと気持ちを整理して、落ち着いていけばいいのでは? 最終的にラスティ様と結婚するんですし」
「けっ……結婚っ……‼︎」
「「なんでそこで更に赤面する(んですか)っっっ⁉︎⁉︎」」
「だって……‼︎」
「ねぇ〜‼︎ アタシにも教えてよ〜‼︎」
「「取り敢えずハティアは、黙って(らっしゃい)ろ‼︎」」
「なんでや‼︎」
赤面するアニスと、ギャーギャー騒ぐハティア。
そして、心の中で遠い目をするオルトとティーダ。
中々に混沌とした、午前中の勉強時間であった…………。




