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幼馴染ーズの作戦会議


本日2回目の更新‼︎


よろしくどうぞっ‼︎


 








 神殿に転移させられてから一時間ほど後ーーーー。




 ブリジットとラフェルは、神獣の神殿を訪れた。








「アニスっ……‼︎」


 ラスティの身体を枕代わりにしていたアニスは立ち上がり……その可愛らしい顔を涙で汚しながら駆け寄ってくるブリジットを迎える。

 勢いよく抱きつかれ、彼女の涙で服が濡れるが……アニスはそんなのを気にせず彼女の背に手を回し、子をあやすようにポンポンと優しく叩いた。


「ふふふっ、ちゃんと結ばれてよかったよ。おめでとう、ブリジット」

「アニスっ……‼︎ ごめんなさいっ……‼︎ わたくしっ……わたくしっ……‼︎」

「だいじょーぶ。ブリジットとラフェルの気持ち、知ってたよ。だから、そんなに泣かなくていいんだよ?」


 ブリジットはとても真面目な性格だ。

 だからこそ、アニスもラスティも裏切るようなことをしたことに後悔するだろうと……分かっていた。

 ゆえに、アニスは彼女の涙を拭いながら笑う。


「あのね? 私もラスティもブリジットとラフェルが結ばれたらいいなぁ〜って思ってたの。だから、謝らないで。後悔しなくていいよ。罪悪感なんて抱かなくていいよ」

「そうだ。だから、お前も泣きそうな顔をしなくていいんだぞ? ラフェル」


 ブリジットのように涙は見せていないが……彼女の後ろにいた金髪碧眼の青年……王太子ラフェルは、泣きそうな顔でラスティの前に跪き、ゆっくりと頭を下げた。


「すまないっ……ラスティ‼︎」

「おい、こら」


 ペシッ。

 ラスティは肉球で彼の額を叩く。

 そして、呆れたような声で告げた。


「アニスの言葉、聞いてなかったのか? 謝らなくていいって言ってるだろ」

「でもっ……‼︎」

「真面目か。いや、お前も真面目だったな……。はぁ……言っとくが。俺もアニスもお前らが結ばれたことが、本当に嬉しいんだぞ? 謝られる方が悲しいんだが?」


 アニスとラスティの言葉に嘘はない。

 ずっと側で見てきた二人が結ばれたのだ。

 嬉しくないはずがない。


「そうだよ。だから、私達はおめでとうって言葉への感謝が聞きたいよ?」

「ほら。おめでとうって言われたら、返す言葉は一つだけだろ?」


 そこまで言ってやっとブリジット達は涙を拭い、照れたような……嬉しそうな笑顔を浮かべた。



「「ありがとうっ……‼︎」」



 感謝の言葉に満足げな笑みを浮かべるアニスとラスティ。

 だが、次の瞬間には真剣な表情に切り替えていた。


「ほい。では、真面目な話に移りまっす」

「いや、その掛け声からして真面目じゃないぞ? というか、顔が真剣で声が真剣じゃないって、相変わらず器用だな?」

「……アニスの掛け声は真面目な話が真面目っぽく聞こえなくなるわよね……」

「それどころか、いい感じのムードが崩壊する……」


 ラスティ、ブリジット、ラフェルに突っ込まれながらも、アニスはそれをスルーして話を続けた。


「んじゃあ、今後の段取りね」


 元々、ブリジット達がここに来たのは今後の話をするためだろう。

 アニスはそれを理解していたからこそ、先に()()()()()()()()()()を話し始める。


「ぶっちゃけ、二人が婚約関係をぶち壊すような行動をするだろうなぁ〜と思ってました」

「「えっ⁉︎」」

「なので、国王陛下には私とブリジットの立ち位置を交換して、私が直ぐに神殿に入るってことを伝えてあります」

「「はぁっ⁉︎」」


 ブリジット達は驚いた顔をするが、アニスは「幼馴染舐めんなよ?」とニヤリと笑う。

 そして、その話を補うようにラスティも話し始める。


「一応、婚約者を交換する表向きの理由は〝相性の問題〟とする予定だ。そうすれば、性格の相性でも力の相性でも分かりやすく説明できるからな」

「私が早めに神殿入りするのは、早く神殿に入れたいほど、私とラスティは相性が良いって……仲が良いって見せつけるためだよ。そうすれば、今回の件がバレても……二人への風当たりは強くならないよね」

「ちょ、ちょっと待て‼︎ つまり、ラスティとアニスはわたし達がこうなることを見越してっ……今後の予定を立てていたということかっ⁉︎」

「「そうだよ(が)?」」


 呆然とするブリジット達を見ながら、アニスとラスティはニヤニヤ笑う。

 いつもは話を進める側であるブリジットとラフェルが、話の主導権を握られている姿はとても面白かった。

 だが、ブリジットはハッとしたように叫ぶ。


「で、でもっ……‼︎ アニスとラスティはそれで大丈夫なのっ⁉︎」


 その質問は、アニス達の心は大丈夫なのかという質問だった。

 ブリジットとラフェルはきちんと想い合って結ばれたが……アニスとラスティはそうだとは限らない。

 自分達だけ幸せになることはできないと、彼女の瑠璃色の瞳が物語っていて。

 しかし……ブリジットの心配は杞憂だった。


「? お前も話を聞いてなかったのか?」

「え?」

「俺とアニスは相性が良いって言ったぞ?」


 ラスティの言葉に、ブリジットとラフェルは固まる。


「……え? 婚約者を変える言い訳じゃなくて?」


 ラフェルは思わず聞いてしまう。

 だが、それを聞かれたラスティはますます呆れたような溜息を零した。


()()()()()とは言ったが、()()()とは言ってないだろ。俺とアニスは実際に一緒にいて楽だし……俺の力を譲渡できるぐらい、力の相性もいいんだぞ?」

「「何それっっ⁉︎ 聞いてないわよ(ぞ)⁉︎」」


 十七年間共にいたというのに、初めて聞かされる新事実にブリジットとラフェルは絶句する。

 アニスに至ってはワザとらしく「話してないからねっ☆」とウィンクしているぐらいだった。


「いやさ〜? ラスティの婚約者はブリジットだったから、言ったら拗れそうだと思って……話さなくていいか〜って判断したと言いますか?」

「そうそう。別に面倒になった訳じゃないぞ?」

「それに、まだ恋心かどうかは分からないけど……ラフェルよよりはラスティの方が好きだしね?」

「まぁ、俺はお前を()()()()とは思うけど」

「「「えっ」」」


 アニス、ブリジット、ラフェルがその発言にギョッとする。

 流石のアニスもまさかの爆弾発言に、動揺を隠せない。

 彼が自分を襲いたいと思っていること自体、初耳なのだ。

 動揺する彼女を見ながら、ラスティは色気を帯びた低い声で告げる。


「俺の力を譲渡できるぐらい相性が良いってのは……それだけアニスが俺にとって最上のご馳走ってことだからな?」

「あれぇっ⁉︎ 私、物理的に食べられるっ⁉︎」

「性的には食べる予定だけど。相性が良いからなのか……お前って良い匂いがするんだよなぁ……困ったことに」

「全然、困ってないよねぇっ⁉︎」

「あはははっ。ちゃんとお子ちゃまアニスが喰われる覚悟ができるまでは待ってやるよ」


 アニスは慌ててブリジットの背後に隠れる。

 ジトッ……とした幼馴染の視線を晒されても、その爆弾発言をした本人は飄々としていて。

 ラフェルは大きな溜息を零しながら……代表して質問した。


「つまり、ラスティはアニスが好きだということでいいのか?」

「襲いたい程度には好きだぞ?」

「「「いや、襲いたい程度に好きと言うのはなんか変だと思う(わよ)(ぞ)」」」






 ラスティの言葉に幼馴染三人は真顔でツッコミを入れていた。









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