幕間・その女性神官は美少女好き
今日は幕間も‼︎ よろしくね‼︎
ハティアは、大神官バルトラスを祖父に持つ女性神官だ。
彼女が幼い頃に神獣ラスティが誕生した。
そのため、微妙に年齢が離れてはいたが……(一応?)同年代ということで、あの四人幼馴染〜ズとの関わりが多かった人物の一人(他には、オルトやティーダなど)になった。
特に関わり合いがあったのは、神殿で暮らす神獣ラスティと……神獣の婚約者としての教育を受けに来ていたブリジット。
しかし、三人はブリジットに傾倒することなく。
あの四人が下手に媚び諂うことを好んでいなかったのを知っていたため、公的な場以外では普通にアニス、ラスティ、ブリジットとラフェルと接していた。
……………………訂正しよう。
ハティアだけはあの四人に普通に接してるフリをしていた。
実際には、それはもう……ちょっとドン引きするぐらいにアニスとブリジットを依怙贔屓していたのだ。
何故なら…………。
ハティアという女性は…………〝美少女好き〟だったから。
アニスのスレンダーな美女な容姿に反して、抱擁力抜群の性格に鼻血を出し。
ブリジットの真面目な性格で神秘的な雰囲気を纏う美少女でありながら、ロリ巨乳というギャップに悶絶し。
壁に張り付き、美少女達がキャキャしてるのを鼻血を出しながら「はぁはぁ……」しながら、観察するのが何よりも好きだった。
だが、あくまでもハティアにとって美少女は愛でるもの。
怖がらせることはせぬと言わんばかりに、アニスとブリジットの前では頼りになるお姉ちゃんを演じきっていた(…………時々、ボロが出ていたが)。
そんな訳で。
ハティアの美少女好きを知っていた男性陣(こちらには隠す気がない)は、ラスティのもふもふボディに寝惚けながら埋もれていたアニスを見て鼻血を出したハティアに、いつものことかと呆れを隠せなかった。
*****
ラスティの私室を後にし、アニスの部屋に向かって歩き出した(アニスは先に転移で部屋に戻っている)オルトとティーダは……呆れた視線を今だに鼻を押さえるハティアに向けていた。
「……ハティア……頼れるお姉さんでいたいなら、ボロ出さない方がいいですよ」
「そーそー。いや……美少女ともふもふは、ハティアのツボだったのかもだけど。鼻血出しながら、はぁはぁするのは変質者だって」
「分かってるわよ‼︎ だが、あの寝惚けたアニス様のふにゃ〜って笑顔withもふもふよ⁉︎ 鼻血出るわよね‼︎」
オルトとティーダは溜息を零す。
だが、いつものことだと諦めたように顔を前に向けた。
「でも、ハティアの鼻血程度(?)で済んで良かったですね。朝っぱらからアウト〜な場面だったら、危なかったです」
「それな」
「そーね」
オルトの言葉に、ティーダとハティアは頷く。
朝、挨拶やら身支度やら何やらのためにアニスの部屋を訪れたが……その部屋の主人がいなくて三人は慌てた。
それはそうだろう。
バルトラスから、アニスが神獣の力を使えるため……身の安全を確保するために神殿暮らしをすることになったと聞いていたのだ。
まさか神殿暮らし初日に行方不明かと動揺したが……神獣と相性が良いということを思い出し、下手に騒ぎを起こす前にラスティが彼女を見つけられるかもしれないと、ラスティの部屋に急いで向かった。
そして、入った瞬間に目に飛び込んできたのはーーーー。
神獣の身体に横たわって幸せそうに眠るアニスと、それを嬉しそうにしながらも我慢してそうな複雑な顔で見つめるラスティの姿。
動揺していて何も考えずにラスティの部屋を訪れたが……後々考えると、〝健全な夜更かしじゃなかったら、危なかったな……〟と今更ながらに三人は思ったのだった。
「…………なんか、ラスティ様。すっげー思春期みたいな険しい顔してたよな」
「………ティーダ、そういうのは思っても言わない。というか、実際に思春期でしょう」
「取り敢えず、アタシ達は二人がイチャついてんのを邪魔しないように気をつけるようにしましょ」
「その本音は?」
「美少女ともふもふは正義よね‼︎」
「「………………はぁ……」」
親指をグッとサムズアップするハティアに……オルトとティーダは呆れたような溜息を零すのだった……。




