1/3
プロローグ
夢をみる
幼い頃の、淡い記憶
その子と一面に花が咲き乱れる場所で遊んでた
綺麗な焦げ茶色の肌
背は同じくらい
わたしは、その子の手を引っ張り駆け出していく
無口なその子とお話はしなかったけど
それでも楽しかった
さいごは、綺麗なお花をくれて……
「……何か、あった気がするのに」
いつもここで目が覚める。
本の上のしおりが目にとまる。
あの時、貰った花は押し花にしてこうして大切に持っている。
あの子は、どうしているかな?
最近、夢を見るようになってそんなことばかり思う。
あれから10 年以上経って世界は随分変わってしまったけれど
また会えたら、仲良くできればいいな。