一時間目
人生初の投稿作品になります。
ベースは自身の高校生活ですが、特にプロットは考えていません
社会人になってから、仕事の日報以外で久しく長文を書いておらず、とにかく何か書くという事に重きを置いています。
内容は拙く、仕事の合間に書く為、かなりの不定期更新になりますが、読んでくれる人がいると嬉しいです。
四月。季節で言えば桜が咲く頃、現実的には桜が散り始める頃だ。
アニメやドラマなんかでは、花びら舞うきれいな並木道を歩いていくのだろうが、生憎と現実は違う。まぁ中にはそんな景色が見られる場所もあるかも知れないが、少なくとも俺は経験した事がない。
この春に入学したK高校も、正門から校舎まで、生徒と教師によって踏まれた花弁による道のりが拡がっていた。中二病っぽく言うのであれば、無惨な花弁が続く道で「惨花道」と言ったところだろうか?
そんなセンスの無い事を考えつつ、自ら命名した「惨花道」を通り抜け、校舎の中へと入って行った。
下駄箱で靴を履き替え、教室へと向かう。入学して二週間程になるが、自分の物覚えの悪さも手伝って、未だに教室までのルートを間違えそうになる。
ただ言い訳させて貰えるならば、中学時代通っていた校舎は全体で一つだったの対して、この高校は一号館から六号館までを渡り廊下で繋いでいる。正門のある三号館から西に二・四号館、残りは東。
今向かっている教室は五号館の4階だから、方向は間違っていない。‥‥はずだ。
若干の不安になりつつ足を進めて行くと、何とか自分の教室にたどり着く。安堵から、ふぅっと小さく息を吐き、ドアに手をかけ教室へと入る。とそこで違和感に気付いた。
教室の奥、窓際の自分の席に男子生徒が座り、携帯で誰かと話していたのだ。見覚えはあるから、おそらくクラスメイトだとは思う。
まぁ別に席そのものは自分の物では無いし、使っても構わないのだが、俺が登校して来た以上は退いて貰わなくては。
「なあ、ちょっと」
足早に自分の席の横に立ち、男子生徒に話しかける。
「いや~それがさぁ、うん?ちょっと待って、1回切るね‥‥何?」
通話を切って、相手がこちらを向いて返事をする。
「電話の邪魔して悪いけど、ここ俺の席だから退いてくれないか?」
「何故に?」
「いや、荷物置きたいし。てか自分の席あるんだから、そっちに座ればいいだろ」
「確かにな、でもヤダ」
「はぁ?いや、いいからさっさと退いて!」
何を言ってるんだコイツは。イラッときたので少し声を荒げてしまった。しかしこの生徒は全く意に介さず、
「けれども断る♪」
‥‥その後も退け、退かないの押し問答を繰り返し、男子生徒が席を譲ったのはHRの5分前であった。
「クソッ」
悪態をつきながら席に着くと、さっきまで座られていた椅子が生暖かく、余計にイライラしてきた。アイツとは今後絶対に関わらない様にしよう、苛立ちを抑え、そう心に誓った。
これが俺、山本悟志と竹井虎太郎のファーストコンタクトである。この先卒業まで、周囲から見て友人関係と思われる様な長い付き合いになる事を、俺はまだ知る由もなかった。