表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

一時間目

人生初の投稿作品になります。

ベースは自身の高校生活ですが、特にプロットは考えていません

社会人になってから、仕事の日報以外で久しく長文を書いておらず、とにかく何か書くという事に重きを置いています。

内容は拙く、仕事の合間に書く為、かなりの不定期更新になりますが、読んでくれる人がいると嬉しいです。


 四月。季節で言えば桜が咲く頃、現実的には桜が散り始める頃だ。


  アニメやドラマなんかでは、花びら舞うきれいな並木道を歩いていくのだろうが、生憎と現実は違う。まぁ中にはそんな景色が見られる場所もあるかも知れないが、少なくとも俺は経験した事がない。


  この春に入学したK高校も、正門から校舎まで、生徒と教師によって踏まれた花弁による道のりが拡がっていた。中二病っぽく言うのであれば、無惨な花弁が続く道で「惨花道(ざんげロード)」と言ったところだろうか?

 

  そんなセンスの無い事を考えつつ、自ら命名した「惨花道(ざんげロード)」を通り抜け、校舎の中へと入って行った。


  下駄箱で靴を履き替え、教室へと向かう。入学して二週間程になるが、自分の物覚えの悪さも手伝って、未だに教室までのルートを間違えそうになる。

 

  ただ言い訳させて貰えるならば、中学時代通っていた校舎は全体で一つだったの対して、この高校は一号館から六号館までを渡り廊下で繋いでいる。正門のある三号館から西に二・四号館、残りは東。

 

  今向かっている教室は五号館の4階だから、方向は間違っていない。‥‥はずだ。

  若干の不安になりつつ足を進めて行くと、何とか自分の教室にたどり着く。安堵から、ふぅっと小さく息を吐き、ドアに手をかけ教室へと入る。とそこで違和感に気付いた。


  教室の奥、窓際の自分の席に男子生徒が座り、携帯で誰かと話していたのだ。見覚えはあるから、おそらくクラスメイトだとは思う。

 まぁ別に席そのものは自分の物では無いし、使っても構わないのだが、俺が登校して来た以上は退いて貰わなくては。


「なあ、ちょっと」


 足早に自分の席の横に立ち、男子生徒に話しかける。


「いや~それがさぁ、うん?ちょっと待って、1回切るね‥‥何?」


 通話を切って、相手がこちらを向いて返事をする。


「電話の邪魔して悪いけど、ここ俺の席だから退いてくれないか?」

「何故に?」

「いや、荷物置きたいし。てか自分の席あるんだから、そっちに座ればいいだろ」

「確かにな、でもヤダ」

「はぁ?いや、いいからさっさと退いて!」


 何を言ってるんだコイツは。イラッときたので少し声を荒げてしまった。しかしこの生徒は全く意に介さず、


「けれども断る♪」


  ‥‥その後も退け、退かないの押し問答を繰り返し、男子生徒が席を譲ったのはHRの5分前であった。


「クソッ」


  悪態をつきながら席に着くと、さっきまで座られていた椅子が生暖かく、余計にイライラしてきた。アイツとは今後絶対に関わらない様にしよう、苛立ちを抑え、そう心に誓った。

 

  これが俺、山本悟志(やまもとさとし)竹井虎太郎(たけいこたろう)のファーストコンタクトである。この先卒業まで、周囲から見て友人関係と思われる様な長い付き合いになる事を、俺はまだ知る由もなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ