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闘いって何

調子が出ないので短くなりました。

「舐められてる」

 マリンは瞬時に判断した。うちの生徒が伝え聞いた話では、敵はロシアのフェミニストを題材にするという。


「なんかすごくマイナーだし、そんなものを選ぶって市来のバランス感覚は相当変よね」

みのりは素直な感想を述べた。常識的に考えて勝ちに行くならわりと誰もが知っている話を選ぶはず、とここまで考えてまりんは我が身を振り返る。そして気づく。


 まりんの演じる話もかなりマニアックだった。どうやら奴さんはこちらの出し物に合わせて個人的な趣味をぶつけてきたとも感じられた。心の芯が蒸気を当てられたように熱くなった。市来はあきらかに私を甘く見てる。悔しさが発芽し柔らかい土を持ち上げる。心の蓋がこじ開けられた。


「私が暴走したから舐められてしまったのかも……」

 もしまりんが中核に出ようとしなかったら、もっと普遍的な出し物になっていたはずなのだ。ここにきて初めて彼女は自分の置かれている立場とその背景に気づいた。自分だけが焦って中心軸をつかみ取った。でもそれは勝負のカギを意味していた。


「朱鞠さんがOKを出した以上後には引けない。でも、これはお互いの趣味的な部分が競うことになる」

 皆が知っているような話ではないのなら、個人の能力で差をつけられる。まりんの潜在的な力を引き出さないと、この勝負負ける。


 といってもまりんには演技の裏付けがなかった。特段演劇に思い入れがある人生を歩んでいるのではない。ほぼ帰宅部として学生生活を終えていたのだ。和馬に対する意地で希沙に対抗意識を燃やしていたに過ぎなかった。


 上級生のお姉さま方は、この闘いで勝ちを目指しているのだろうか、それとも……。



 競技かるた部では右京が順調な仕上がりを見せている。ただ相手側の能力は未知数である。なぜなら予選で顔を合わせたことがないからだ。みのりとしても、相手の力量がわからない以上、あまり冒険することは避けたかった。まりんのことを考えると、自分たちが確実に一勝をあげなくてはいけない。彼女の頭の中では無数の組み合わせがシミュレーションされていた。


 



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