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演技初心者

大変申し訳ございませんが

話が進まなくなりました。

ストーリィーを進めるために資料探しをしていますが

上手く進みません。

一旦ここで止めることにします。

更新が滞り申し訳ございませんでした。

 空気が水槽の水のように重く自由に動き回っていた観賞魚はその泳ぎをぴたりと止める。新たに水槽に解き放たれた古参の魚が水の性質を一変させるのだった。


「なに、その顔は。もう一度変化するところから」

仕掛けが切り替わり果心居士が女性に変身する場面で何度もだめ出しを食らう。まりんは自分がどんな表情をしたらいいのか見当もつかなかった。


「おひさしゅうございます」

まりんは疲れている。もうすでに何度も同じ場面を繰り返しているが先輩方の返事はどれも色が良くない。彼女たちにしかわからない解答を追い続けるのは演劇経験のないまりんにとっては重荷だった。


「あのさ、久秀の前に何年かぶりに現れるとするよね。かって奥方で今は妖気の類。懐かしさと無念さがあるじゃない。あとはわかるよね」

朱鞠の檄が飛ぶ。意図しようとしてることはわかるのだが果たしてどんな表情でその場に出ればいいのかがまったく見当もつかなかった。


「しばらく休憩します」

別の上級生の助け舟でしばし休息をとる。まりんは全身の力が抜けてその場に横座りになった。教室の床がゆるくきしんだ。


「大丈夫かい」

和馬がまりんの顔を覗き込む。うっすらと香る髪の油の匂いがまりんの心をささめきだした。男性の清涼な色香にひたりつつも精神はうつつなまま気をさまよわせる。


「大丈夫だけど。何をすればいいのか」

「何か昔の映画とか見た方がいい。俺もそこから盗んでいる」

「あ、ありがとうございます」

その日のけいこは終わった。まりんは居並ぶ三人の先輩方に深々と頭を下げて教室から出ていった。後ろから彼女らの評価がかすめていく。その言葉を振り払うかのように彼女は足早に走り去っていった。


「ああ、こんなに演技が難しいとは」

「研究すれば何とかなるわよ」

みのりと二人でいつもの喫茶店でしばしの羽根をのばす。現実問題は演技+生霊飛ばしなので精神的な負担は半端なかった。


「こんな時にあいつが来たらダメージ二倍」

「噂をすると本当に来るわよ」

だが残念なことに市来希沙はやってきた。小さな体を大きく見せる様なゆったりとした足取りで店内を一周してわざわざまりんたちの隣に座る。


「ゆうれいちゃん元気?」

「こんにちは」

「その表情だとなれない演技で精魂尽き果てているようね」

「い・い・え!大丈夫です」

まりんは繁みから出た鹿のように体勢を立て直して胸を張った。こんなチビスケには負けていられないとばかりに。


「なんか噂に聞いたけどこじんまりとした出し物じゃない。大丈夫なのおたくら」

希沙は小ばかにしたような顔でまりんをしげしげと見つめて言葉を続ける。

「和馬にしては微妙な役どころよねぇ」

「新境地と言ってもらいたいです」

「うちは目新しくて大きな話をぶつけるから。ま勝負にならないでしょうけど、和馬の歴史に泥を塗らないように頑張ってね」

言うだけ言うと希沙は何も頼まずに帰っていった。まりんは突っ張った姿勢をゆるめると背もたれにもたれかかる。


「あーなんだろうねあの子。腹立つ」

「気にしないでベストを尽くしましょう」

と言われたもののあちらさんの出し物もきになってしまうまりんだった。

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