プロローグ
――助けて
私がこの世界を作ってから、何度この言葉を聞いたことだろうか。
最初は、ただの出来心だった、私以外に自分の意思を持って行動できる物があったらどうなるのだろうと。
結果的にそれは成功した。
いや、成功してしまったと言ったほうがいいのだろうか。
私が作ったものは、争いをしたり、文明を築き上げたり、しかしその文明を壊したりなど、様々なことをしてきた結果、今に至る。
平和でいて、どこか縛られている人間達。それは私から見たら退屈でしかなかった。
そこで私は、ついにアクションを起こそうと決意をする。
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いつも通りの一日が始まる、起きてすぐに仕事へ行き、仕事を終えて、そして寝る。自分でもわかっているぐらいにつまらない毎日だ。
その毎日に、拓馬は嫌気がさした。
顔が悪いわけではない、コミュ障でもないけど、出会いがない。そして、この日々に飽きてしまった笠見拓馬はついに命を絶とうと決意する。
山にある木に縄をぶら下げてそこに首をかけ、足場を崩す。
なんともまた、ありふれた方法だ。
「………これで何か変わるのかな?」
そう言い残し、彼はこの世から消え――ることはなかった。
「おい、そこのお前」
名前を呼ばれて、振り向いてしまう。その声の主はとても綺麗な女の人だった。
その女の人は拓馬に哀れみの声で語りかける。
「死で何かが変わると思っているのなら、それは間違いだ。私は死後の世界まで作っていないし、これからも作るつもりはない。もし変化を望むならば今すぐそのやろうとしてる事をやめるんだな」
拓馬は、彼女の言っていることの意味がわからなかった。
だが、その言葉には不思議と反論を許さない重みがあった。
「もしお前がまだそれを続けるのならば私は見届けてやろう。だが、気が変わったというのなら少し話をしようじゃないか」
元から、人に見つかった時点で拓馬は死ぬ気が失せていた。
――でも
「あなたと話して……何が変わるというんだ」
「変わるさ、いや、変えてみせよう」
この女の人の絶対的な自信はどこから来ているのだろうか。
しかし、変えてくれるというのなら少しの期待を込めてついていくしかない。
僕は家の近くの公園へ場所を変えることにした。ベンチに座り、時計を確認すると気づけば時刻は23時を指していた。
「では、早速だがお前、私と契約しないか?」
「えっ?」
突然出された提案に驚きの声が出てしまう
「そうだな、わかりやすく言うと、私と契約して、神様になってよ!って言ったほうがいいか?」
いやいやいや、何を言っているのかわからない。
わからない――が
「神様?」
「そう、神だ。一人しかいないのも寂しくてな、気まぐれで死にそうな奴を神にしてやろうと思った」
「いや、冗談ですよね?神様なんて存在するはずが――」
言葉を続けようとした瞬間、目の前にいたはずの女の人が消える。
「後ろだよ」
慌てて振り向くと、そこには女の人の姿があった。
突然の出来事に声も出なかった。
「まだ信じられないかい?なら沢山見せてあげよう、神でしか起こせない奇跡ってやつをさ!」
浮遊、分身、天候操作、僕と女の人以外の時を止める、1mはあるであろう巨大な石を出現させてデコピンで割るなど本当にありえない出来事ばかりが現実に起きた。
「さて、もう一度聞こうか。お前、神様にならないか?」
「こんな、僕でも……いいんですか?」
「当然だ、お前に興味が無ければ、私から話しかけてはいない」
「なら……なりたいです!僕、神様に!」
「よし、契約成立だな」
――――今日からお前の名は、エールだ
そうして、僕の神様の生活が始まる。