決着
戦闘の途中でしたので、早めに投稿してみました。
チョットあっさりし過ぎたかも・・・
アドバイス有れば宜しくお願いします。
俺は土煙から飛び出すと同時に上空に飛び上がった。
下を見ればウイルバが俺に杖を向けていた。
俺は首を左右に振りながら、ニヤリと笑みを浮かべ土煙の方を剣で指し示すと、ウイルバは怪訝そうな表情をしながらも土煙の方を振り返った。
「へっ?」
ウイルバの間抜けな声が聞こえた。
ウイルバの目の前でアサルトが『究極奥義』、『審判』を放っていたのだ・・・
「ぎゃぁぁぁぁー!」
ウイルバの断末魔の叫び声が響き渡った・・・
無防備のウイルバである。
アサルトの『審判』が完璧にウイルバへ決まってしまったのだ。
あれでは一溜まりも無いだろう。
やはりアサルトはウイルバの存在など気にしていなかったようで、俺が土煙に飛び込んで一瞬姿が見えなくなっても、躊躇せずに土煙ごと吹き飛ばす勢いで『審判』を放ったのだ。
ウイルバの方も油断していて、俺しか注視していなかったので、その報いを受けてしまった訳だ・・・
もう既に息絶えてしまったのか、ピクリともしていなかった。
そして・・・
今、アサルトは『究極奥義』を放ったばかりで隙だらけという状態にあり、加えて俺は『究極奥義』のチャージも終了していた。
となれば、今度は俺が攻撃に転じる番だ。
俺は右手の剣を高々と真上に掲げ、右手に力を込めていく・・・
俺の全身が金色に輝き、掲げた剣が眩い光を放つ・・・
光の中から無数の金色に光る羽が現れ、俺の周辺でヒラヒラと舞い始めた・・・
俺は右手の剣を振り降ろし、剣先をアサルトの方へと向け、叫んだ。
「行け、『究極奥義』。『天刃千撃斬』。」
俺の叫びと同時に、俺の周辺でヒラヒラと舞っていた無数の金色の羽が金色に耀く剣へと変化して、アサルトの方へ向かって次々と飛び出していく・・・
飛び出した無数の金色に耀く剣は、グングン加速していきアサルトの周辺へと振り注いだ。
「ぐあぁぁぁーっ。」
轟音と激しい光の中からアサルトの絶叫が聞こえた・・・
リリットの方も決着が着く所だったようだ。
アサルトへ『究極奥義』がヒットしたのを確認した俺は、リリット達に視線を向けた。
シグマは俺に『究極奥義』を放とうとチャージをしているようだったが、チャージを既に終えているリリットが、俺に集中し過ぎているシグマに対して『究極奥義』を放とうとしていた。
腰を落とし右手を引き、正拳突きの構えで力を溜めていく・・・
リリットの体が金色に耀き、リリットの右手には白く耀く光が集まっていく・・・
右手の光と金色の光が更に激しく輝いた刹那、飛び出すリリット・・・
「シグマ、相手はアタシだよ。『究極奥義』。『聖撃』。」
シグマはリリットに話し掛けられて、やっとリリットの接近に気が付いたようだが、時既に遅く、リリットの『究極奥義』の一撃目の正拳突きを脇腹に食らう。
「ぐはっ。」
一撃目の衝撃に膝を付くシグマだが、リリットの『究極奥義』は二段攻撃だ。
リリットは既にシグマの頭上へ飛び上がり、先程よりも光が増した右手をシグマに突きだしていた。
光は更に大きな球体となり、リリットの右手からシグマへ向けて飛び出していった・・・
「ぐあぁぁぁーっ。」
シグマに激突した球体はそのまま爆発し、激しい地響きと共に地面に大きなクレーターを形成した。
そして、その中心部にはシグマが倒れていた。
勝負ありだろう。
俺もリリットもほぼ同時に決着がついたのだ。
(終わったな・・・)
その時だった。
「ぐおぉぉぉーっ!」
アサルトが吠えた。
体から黒いオーラを吹き出しながらヨロヨロと立ち上がり俺を睨み付けたのだか、その瞳からはまるで生気を感じないのだ。
だか、邪悪な力が満ちており、欠片の暴走なのかもしれない。
(まずいな。)
今の俺は『究極奥義』を放ったばかりで力が残っていないのだ。
このまま下に降りても暴走状態のアサルトに対抗できるのだろうか?
答えは否だ。
(くそっ。打つ手無しかよ。)
俺が諦めかけた時だった。
「ト、トーマ・・・その赤い光って・・・」
リリットが俺を見ていた。
「赤い光?一体何を?・・・!」
気が付いたら俺は左手の剣を真上に掲げ、『天刃千撃斬』の構えをしており、体が赤く光り、周辺ではヒラヒラと赤い羽が舞っていた・・・
そして、無意識の内に叫んだ。
「『天刃千撃斬』ツヴァイ。」
俺は左手の剣をアサルトに向けた。
先程とは違い、金色ではなく、無数の赤く光る剣がアサルトに振り注いだ。
赤く光る剣はアサルトに次々と刺さると、エネルギーを放出するかのように爆発していく・・・
「うぐおぉぉぉぉー。ぐあぁぁぁーっ。」
不気味な声を上げながら、アサルトが倒れていった。
黒いオーラはいつの間にか消えていた・・・
(やった・・・)
俺は地面に降り立つが、力を使い過ぎたせいか、上手く立てず、その場でしゃがみこんでしまった・・・
「大丈夫?トーマ?」
リリットが俺の方に歩いてきた。
「ああ、少し力を使い過ぎたみたいだ。」
「あれって何だったの?」
リリットが先程の赤い光の事を聞いてきた。
「俺にも判らないんだ。理の力が関係してる気はするんだが。」
「じゃあ、アタシも使えるかもね。」
「だといいな。」
俺はそう言いながらリリットの頭を撫でた。
リリットも耳をクルクルと丸めながら微笑んでいた・・・
「トォーーマァーー!」
今度はアサルトのように黒いオーラを纏ったシグマがこちらを見ていた。
しかも、『究極奥義』の構えをしている。
「離れろっ!リリット。」
俺はリリットに警告した。
リリットもシグマに気付いたが、離れるどころかシグマに向かって行ってしまった。
「リリットーーー!」
「トーマはアタシが守るんだからー。」
リリットが叫ぶとリリットの体が俺の時と同じように赤く輝きだした・・・
もしかして・・・?
「えっ?何これ?」
リリットの周りを青、黒、白、黄、赤の球体の様な物が回っていた。
そして、赤い球体がリリットへ向かっていき、リリットに吸い込まれるようにして消えていった。
リリットの体から出ていた赤い光が更に吹き出していく・・・
「四聖降臨。『神撃不死鳥』。」
俺と同じだろう。
いつの間にか技の名前が頭に浮かび、無意識の内に口走ってしまうのだ。
あの時は俺の体も勝手に動いていた。
リリットが離れた位置からシグマに正拳突きを撃つ様な動きをした。
すると、右手から炎と共に不死鳥が飛び出していった。
不死鳥はシグマへ真っ直ぐ向かっていき、浄化の炎をシグマに浴びせた。
「ぎやぁぁぁぁー。」
シグマの叫び声が響き渡り、シグマには倒れた。
辺りを確認する。
アサルト、ウイルバ、シグマが倒れていた。
「よし、今度こそ大丈夫そうだな。本当に助かったよ。」
「えへへ。役に立てて嬉しいなー。」
俺とリリットはハイタッチをした。
「まさか、本当に倒してしまうなんて驚きだわ。」
俺とリリットが振り返ると、そこにはいつの間にかウィンフリーが笑みを浮かべて立っていたのだった・・・
次回はいよいよ、ウィンフリーとの対決かな?
お楽しみに。
次回更新までは、短編シリーズを読みながら気長にお待ち下さい。
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