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転生者の正体

第5話投稿です。

せっかくなので、キリの良い所までアップしましたー。


「アハハハハー!面白い事言うね。僕は強いから好き勝手して良いに決まってるでしょ!!もしかして本当に僕を止めようとか?トーマ達はそんな馬鹿じゃ無いよね。アハハハハー!」


腹を抱えながら笑うウイルバにカチンときたが、この豹変振りに俺は驚いている。

リリットも眉をしかめながら呆れた様な表情を浮かべている。


俺の知っているウイルバは可愛げのある弟の様な奴だった。

やはりルシエルの言っていた心の欠片の影響だろう。

あの様子から察すると『傲慢』の欠片だろう。


「トーマは世界を救った後でも勇者だな。行く先々でも人々を惹き付けるし、お前は常に希望の中心に居た。お前は俺に無い物を持っている、気に入らないんだよ。消えてしまえばいい。」


誉められているのか?貶されているのか?良く分からないが敵意剥き出しだ。


シグマはクールだが優しい男だ、俺に消えろと言う様な残念なイケメンではなかった。

どう考えても『嫉妬』の欠片の影響だろう。


「トーマよ、力は使ってこその物よ!!対象など何でも良いのだ!それはお前達だろうが、世界だろうが俺には関係ないのだよ!俺はこの新たな力を早く使いたいのだよ!」


アサルトは『暴食』の欠片か・・・兎に角暴れたいだけという訳か。


となれば、ウィンフリーは『強欲』の欠片の持ち主だな。


俺は、彼等の言動から各々の力の特性を分析している。

ルシエルが言った通りなら、彼等は欠片の感情以外が殆ど欠落している筈なので、戦闘における行動も欠片の影響を受ける事を考慮しておけば、有利に戦いを進められる。

戦闘は既に始まっているという訳だ。


だから、彼等の挑発には乗らずに会話に耳を傾けていたのだが、アサルトの新たな力というのが引っ掛かる。

理の力の事だろうが、彼等が欠片の力をコントロールしている様には見えない。

暴走直前の状態を何かが抑えている感じがする。

そこで俺は探りを入れてみる事にした。


「新たな力だと?一体何をしたんだ?」


「私が与えたのよ。彼等の力を強引に引き上げてね。そうしたら力が暴走して暴れるものだから、私の力を埋め込んで私が制御してるのよ。」


俺の問いにウィンフリーが答えた。

そして理解した。


全てはウィンフリーの仕業であると!





「ウィンフリー、お前が転生者だったのか・・・」


「あら?良く判ったわね。ルシエルね。弱いくせに侮れないわね。気が付いたのは最近よ。魔王を倒した後位だったわね。そしてすぐに皆の中に眠っている力を目覚めさせようとしたのだけど、貴方とリリットには効果が無かったの。他は見ての通りよ。」


信じたく無かったが、納得がいく。

ルシエルが俺とリリットを理の力に目覚めさせようとした事や、仲間達の豹変、ウィンフリーの計画、ルシエルが俺達に敵対した理由が。


「何をしようとしている?何故三つの世界を融合させるんだ?」


俺の疑問が無意識のうちに口を突いた。


「凄いわね。そこまで知っているのね。なら、教えてあげるわ。」


ウィンフリーの誕生と、その目的が語られ、俺達はその計画の全てを知る事になる。


そして、ウィンフリーを止めなければ、この世界はいつか消滅する運命なのだという事実を突き付けられたのであった・・・





転生者ウィンフリーは、とある異世界で誕生した。

異世界の創造神が永遠と戦争を繰り返す人々に絶望し、自らの世界を消滅させる為に産み出した存在だったのだ。


彼女は創造神の望み通りに世界を消滅させ、創造神の魂をも取り込み、その力で異世界空間で存在可能な身体と、空間さえをも切り裂く力を得ていく。


そして、創造神の意志・・・『世界の消滅』の対象を『全ての世界の消滅』に変え、実行していった。





彼女がこのルシエル・グランデのある空間へやって来た頃には、数えきれない程の世界が彼女の手によって消滅していた。

しかし、彼女の望みはここで潰えたのだった。


異世界空間でも存在可能な者達の数人が、彼女を倒す為に動き出したのだ。


トーマがルシエルの見せた世界の中で感じた世界を守る意思持つ存在だ。


戦いは壮絶を極め、犠牲者も出たのだが死闘の末、彼女を倒す事に成功したのだ。





身体を失った彼女の魂は空間を漂っていたが、ルシエルが世界を創造した際、集まった理の力を持つ魂の中に彼女も含まれており、以後、ルシエル・グランデの理の中の一部として輪廻転生を繰り返し、長い時を経てウィンフリーが誕生したのであった。


ウィンフリーには当然前世の記憶は無く、トーマ達と共に魔王を倒し世界を救った勇者の一人となったが、この時彼女の心に変化が起こる。

魔王の幻覚魔法を受けた時だった。

魔法を受けた者の記憶の中で、一番心に衝撃を受ける者が立ち塞がり相手を怯ませるというものだ。

勇者達の心の強さなら打ち破るのも容易な筈だが、彼女にとっては違っていた。


彼女の前に立ち塞がった者は全く知らない者の筈なのに、彼女の心は恐怖で震え、身体は硬直して動かなくなってしまったのだ。





魔王討伐後もその姿が彼女の脳裏に焼き付き離れなかった。

何者なのだろうと何度も記憶を辿る・・・知りたい、知りたいと彼女は願い続けた・・・そして、その願いが彼女の心の中の『強欲』の欠片の力を目覚めさせた。





突然、得体の知れない力が彼女の心を蝕み意識が薄れていった。

彼女の心は暴走を始めたが『強欲』の力が彼女の魂の深淵に眠っていたあの者の記憶に辿り着いた。


彼女の暴走が止まり、意識が戻った時には、転生前の記憶と力を取り戻し、知りたかったあの者の正体こそ彼女を倒した世界を守る意思持つ存在であると思い出したのだった。

そして、彼等に復讐する事を決意したのだった。


ウィンフリーは転生前に彼等に敗れているので、もっと力を蓄える必要があると考えていた。


この世界を破壊し次の世界に辿り着く前に見つかってしまえば同じ結果になってしまうので、思案した結果、他の世界との融合を考え付く。

幸いな事に、異世界なら幾つか近くに存在しているのを感じ取れていたので、それらを融合させるのだ。


四つ以上の融合は互いの作用が大き過ぎて崩壊してしまうので、三つの異世界融合で発生するエネルギーを吸収する計画だ。


但し、異世界融合は存在次元が違う為に、結合から始めなければならず、安定させる迄に膨大な魔力と時間が掛かり、その後融合となるが、更に大きな魔力と時間が掛かるのだ。


そこで、トーマ達勇者を仲間に取り入れようと考え付くが、今の彼等の力では役に立たないので、彼女の様に欠片の力の解放を試みたのだが、トーマとリリットは心が強いのか解放できなかった。

残りの三人は力の解放は出来たのだが、彼女の時と同じく欠片の力が暴走してしまったので、彼女の力の一部を無理矢理埋め込んで支配下に置き、ついでに寿命の鎖から彼等を解放させた。





ウィンフリーはルシエルよりも遥かに前から存在していたので、異世界融合を実行出来るだけの知識と力を持っている。

だからこそ結合する世界の数や、その方法を考え付いたのだ。


融合を果たした後は、彼女を倒した者達とその仲間達への復讐、次に役目の終わった結合世界の破壊、そして全ての世界の消滅の実行というものだ。


それこそが彼女の誕生した理由であり、目的だったのだ・・・





「これで満足かしら?」


ウィンフリーが俺達に問い掛けた。


今の俺達にどうこう出来る相手ではないのは分かるが、未来の俺達やルシエルでもどうにかなるとは思えない相手だと思い知らされる。

横にいるリリットも向こうからこちらを見ているルシエルも暗い表情をしていた。


それでも俺は未来を信じようと思う。

かつて転生前のウィンフリーを倒した者が居るのなら、未来の俺達にも何か出来る可能性はゼロではないと信じ、希望を託そう。


俺は仲間として、現在の俺としてケジメを付けると決めたのだから・・・


俺の気持ちが伝わったのか、リリットが俺の手をそっと握る・・・そして大きな瞳で俺を見ながら囁いた。


(ずっと一緒だよ。トーマ)


俺はリリットの手を握り返し、呟く。


(約束するさ。これからも一緒だ)


俺達に後悔は無い、結果がどうなろうと・・・






そして・・・





「間違いは止めないとな!仲間としてのケジメだ!」


「そう、残念ね。まずは三人が相手をするわ。私は準備があるから。もし倒せたならお相手するわ。」


そう言って、ウィンフリーは後ろの空間に手を伸ばした。

その前に、アサルト・シグマ・ウイルバの三人が立ち塞がる。


「行くぞ!リリット」


「うん!行こう!」


俺達は三人に対峙し、戦闘体制を取った。


最後までお読み頂き有り難う御座います。


短編もそうですが、なかなか伸びませんねー。

少しずつでも読んで頂けるようにちまちまやっていきますので、評価・感想・ブクマ等、応援宜しくお願いします。

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(グランデール社・異世界帰還者保護事業部創設者)ルシエル・グランデールの祝福

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