人工重力覚書
ちょっと某所でリアリティーのある人工重力に関する話題になったのでちょっとまとめ。
1 必要性
人体は1G環境に適応していますので、長期間にわたり無重力環境にいると色々不都合が出ます。主に筋力の低下、骨量の減少、カルシウム不足等があげられ、さらに頭部への血流過大なども指摘されます。後でリハビリできるなら一年くらいは、という記録もありますが、すぐ地表での活動に移行、とかだとやっぱり重力はあったほうがよさそうです。
2 創作物における人工重力の類例
大きく分けると「原理不明だが重力場を発生できる装置がある」世界と「何らかの加速発生をもって重力に代用にする」事例の二つに分けられます。
2-1 重力発生装置
とにかくそれがある、と設定しちゃう。
利点。これ一つ設定すれば色々と面倒がなく宇宙船内で日常生活ができる。
欠点。重力は現代科学でも難物なのでちょっと原理の説明に困る。またかなりのオーバーテクノロジーとなるので作品世界の技術レベルを押し上げてしまうアイテムになる。比較的近未来の設定だと使いづらい。重力が作れるなら反重力があって然るべき、とか余計なガジェットがもれなくついてきちゃうから。
バリエーション
例えばサイズが大きい装置なので、とかエネルギー馬鹿食いするので、という理由付けで使用制限をかけることはできると思われ。
2-2 加速法
遠心力を含みます。
2-2-1 遠心加速法
円筒、あるいはリングをぶん回して内壁の遠心力を重力の代用にする。昔からポピュラーな手法でわりとわかりやすい。
利点。SFジャンルを選択して読むような方なら仔細説明不要のわかりやすさ。基本ローテクなので時代設定を問わずに投入可。
欠点。何でも100m位回転直径が無いと乗り物酔いを起こす可能性があるとか。宇宙船のサイズによっては積めないか、あるいは乗り物酔いには慣れろ!とキャラに宣告しなければならない。それはそれでエピソードを増やせるから良いといえば良い、かも。
回転モーメントがあるので宇宙船と居住区の質量バランスによっては宇宙船自体が自転を始めちゃう。
2-2-2 加速航法
要するに1G加速の負荷がかかってればいいのだから宇宙船を1Gで加速し続ける。この場合、船首方向が上、船尾方向が下、という事になるだろう。1Gくらいは高性能な自動車で実現できるから、恒星間を往来するようなマシンにとっては大したものではない、ような気がする。
利点。特別な仕掛けなくしかも宇宙船全体に一様に同じ重力が得られる。
欠点。加速をやめると無重力状態に。戦闘機動したりするともっととっ散らかるので持ち物は定位置に固定する癖をつけておかないと戦闘後の自室は混沌の神がダンスしながら通った後みたいになること請け合い。また、惰性で流れていって燃料節約、という慣性航法とは相性が悪いので燃費は酷いと思われます。