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プロローグ
至らぬところも多々あると思いますが、楽しんで読んでいただければ幸いです。
「っくしゅ」
北風が冷たい。もう二月の終わりだが、さすがにまだ夜は寒さが残っている。
空気はとてもクリアだ。夜空は凍りついたようになって、細い細い月を天球に張り付かせている。
「こんなに寒いと、また思い出すな…」
もう、あれからどれだけ経つのだろうか。日本中を恐怖に陥れた、あの出来事から。
そして、彼女との別れから。
決して忘れない。忘れさせはしない。脳に焼き付けた記憶を、傷つけぬように、確かめるように、そっと反芻する。
そう、すべては空から始まった────




