喧嘩
m(_ _)m 2015年9月1日、二人の会話を長崎弁に修正しました。
「みなみ~、どがんすう(どうしよう)……」
と、みなみの親友、浅田遙からみなみに泣きそうな声で電話があった。
二人とも長崎出身のため、同郷同士になると時々長崎弁が出るようだ。
みなみと遙がカラオケ屋で、お互いにパートナーとの関係をより良いものにしようと相談して、それぞれに目標を決めたあの日から、1ヶ月ほどの月日が経っていた。
--みなみの目標--
寅之助に、”手をつなぎたい” と、言ってみる。
--遙の目標--
旦那(浅田君)に、”サッカーばっかりされたら、寂しい”と、言ってみる
電話の向こうで、いつも強気な遙が気弱になっているのを、その声色で感じ取り、みなみは心配になった。
「どがんしたと(どうしたの)遙? なんかあった?」
と、みなみが優しく聞いた。
「旦那とケンカしてめちゃめちゃ怒らせちゃってさ、仮面夫婦状態に突入しちゃったよ。家にいても、ほとんど口も利いてくれなくってさ……
精神的に、すごう(すごく)つらい……」
と、遙が半泣きで言った。
「浅田君、なしてそんげんはらかいとるの(どうしてそんなに怒ってるの)?
もしかして、前に私と話しとった事となんか関係ある?」
と、みなみがますます心配して聞いた。
「そうなんばいよ(そうなんだよ)。
私の言い方も悪かったとばってん(悪かったんだけど)、
“バカんごと(みたいに)、サッカーにばっかり夢中になってんで(ないで)、
まっと(もっと)、家族と過ごしてよ!” って、言ったらさ、
“サッカーについて、制限さるなら(されるなら)、離婚も考ゆっ(える)!”
って、すごう(すごく)怒っちゃってさ……」
と、遙が電話の向こうで泣き出した。
「えっ? なして(どうして)遙、そがん(そんな)言い方したの?
そりゃあ、浅田君もカチンとくるよ。前、私と話し合った時は、
“サッカーばっかりされたら、寂しい” って言ってみる予定だったよね?
あの時みたいに、素直に可愛く言わなきゃ、かえって怒らせるだけだよ」
と、みなみが驚いて言った。
「うん、そうばいね(そうだよね)。本当に私ってバカだね……
何であがん(あんな)言い方しかできんやったとろう(なかったんだろう)。
自分で自分が嫌になってくるよ。
なんか旦那の顔、見とったら無性に腹が立ってさ。
気付いたら、ひどい言い方しとった……」
と、遙が更に泣きながら言った。
「う~ん、そうかぁ……
遙もなんか(長い)間、ほったらかしにされとぉ(た)うらみが積もって、そう簡単には素直になれんかぁ……
どがんしたらよかとろう(どうしたらいいんだろう)?」
と、みなみも考え込んでしまい、遙が泣いている声を黙って聞いていた。
しばらく泣いて少し落ち着いた遙が、ふと思い出したようにみなみに聞いた。
「そういえば、みなみの方はどうや(だ)ったの? 手、つなげた?」
「うん、つなげたよ。3分間だけね……」
と、みなみが寅之助との接触を思い出して、照れながら言った。
「ハハッ! 何それ? 3分って……ウルトラマンか、カップめん?」
と、遙が少し笑って聞いた。
「ヘヘッ! なんか男の事情みたいで……
今回の事で寅之助さんの誠実さに、どんどん尊敬が深まっちゃったよ」
と、のろけるみなみ。
「いいね、みなみは……そんなに尊敬できて……
あっ、そうだ! 私のこの問題について、みなみの彼氏に男性の視点からアドバイスしてもらえん(ない)かなぁ?
もうお手上げ状態で、ホントにどがんしたらよかかわからなかけんさ
(本当にどうしたらいいのかわからないからさ)」
と、遙が突然ひらめいたアイデアを、みなみに打診した。
「よかよ(いいよ)! わかった。今度、聞いてみる。
それか、遙も一緒に寅之助さんと3人で話した方がよか(いい)かな?」
と、みなみが遙の案に賛成して聞いた。
「いや、よかよ(いいよ)……
私、みなみの彼氏の前だと多分、緊張しちゃって普通に話せんからさ。
みなみから聞いておいてよ。ごめんね。わがまま言って」
と、遙が気弱に言った。
「そんなの、全然よかよ(いいよ)!
遙と浅田君が仲直りでくっごと(できるように)祈っとるから!
まぁだ、あきらめたり、離婚したりしたら絶対にダメだよ!」
と、遙を励ますみなみ。
「ありがとぉ……そいじゃあまた、こん(この)件電話して教えてくれる?
本当にごめんね……」
と、また泣き出しそうな遙。
「うん、わかった! なるべく近いうちに報告すっ(る)から……」
と、みなみは今回の浅田夫妻の問題に関して、寅之助のアドバイスをもらう事を約束して電話を切った。
今回の遙達の夫婦喧嘩には第3者の手助けが必要に感じたみなみであった。
長崎弁が不自然だったら、お許し下さい。