力の歴史
ママとの別れの悲しみが癒えてきた頃、私は中学の卒業の時期になっていた。
私の村は小さいので、高校は他県に行くしかなかった。でも私は、、、
私にはもう肉親はいない。高校に行けるお金なんてどこにもない。就職して自立しなきゃって。
そんなある日、おじいちゃんが、
「巫女や、高校はイザナギ学園にいきなさい。」
「え?」
その高校は日本でもトップクラスの有名私立高校、お金持ちしか入れない超VIPハイスクールで、私には無縁の高校。
「そんなの無理に決まってるでしょおじいちゃん。私は隣町で就職するの。」
「いいんじゃよ、巫女や、わしは巫女のママとの約束を守りたいんじゃ、お金のことなら心配いらん。以外と金は持ってるんじゃぞい。ふぉっふぉっふぉっ。」
「おじいちゃん。」
「巫女や、巫女今まで悲しい寂しい思いを沢山してきたね。でもこれからは楽しい嬉しい思いを沢山してもらいたい。わしは巫女は本当の孫にしか見れない。こんな小さいときからずっと一緒だったんだから。」
「おじいちゃん、ありがとう。でも何でイザナギ学園?普通の高校でもいいのに。」
「あそこの理事長はじいちゃんの息子じゃよ。」
「あ、イザナギって、おじいちゃんもイザナギ。マジでぇ、、、。」
「それに覚えているかのぉ、守も高校にはいるぞい。」
守君は小さい頃よく遊んでた男の子、小学生になる頃から合わなくなっていた。
「守君、覚えてるよ!懐かしいなぁ〜、大きくなってるかなぁ?」
「巫女の学力なら入れない高校ではないはずじゃから、頑張ってイザナギ学園に行きなさい。」
「おじいちゃん、ありがとう。でもおじいちゃんは、、」
「巫女はやさしい子じゃ、でもおじいちゃんはまだまだピンピンしとるぞい、まぁ暇あればここに帰ってくればよい。守も連れてな。
ここは巫女の実家じゃ。ただいまって遊びに来ればよい。」
私はおじいちゃんに甘えて高校を受験することにした。そして見事合格した。
合格発表からしばらくして、おじいちゃんから、
「巫女や、向こうに行く前に少し話しておくことがあるんじゃ。」
「なぁにおじいちゃん。」
「黄泉送りのことじゃ。」
私はあの事は夢の中だったかのようにぼんやりと覚えているだけだった。ママの言葉も。
「そろそろキチンと話をしておこうかと思ってな、巫女も立派な送り人の力を持った者として。」
そう、私は不思議な力があったんだ。あれ以来何もなかったから、ただ普通に生活してきたけど。
「黄泉送りとはあの世とこの世の橋渡し、この世を全うした魂をやすらかに黄泉の世界へ送り届ける人のことじゃ。天国と地獄ってあるじゃろ?天国とは黄泉の世界、地獄は黄泉にたどり着くまでに通る道なのじゃよ。その暗く長い道を安心して通すことができるのが送り人じゃ。その昔天使と悪魔の戦いがあった時、流した天使の涙が下界に落ちて結晶になったのがそのペンダントの石じゃと言われている。それから代々その石を持つ一族は天使の使いとされ、重要な役割を持っていたんじゃ。」
「私、そんなこと言われても、、、」
「まぁまぁ、昔は全国、いや全世界に送り人はおったんじゃ、じゃがな、時代の流れとは恐ろしいもので、ある国では歌えば死ぬと恐れられ、魔女狩りなどというおぞましい事をするようになったりして、いつの日か天使の使い達は身を潜めて生きるようになっていったんじゃ。そして現代、ほとんどその存在は忘れさられてしまっておる。」
「よくわからないけど、そうなんだ。」
「じゃから巫女や、その力は今や必要ないのかもしれない、そんな時代なのかもしれん。」
「でも送り人がいないと、みんなが安らかに天国にいけないんじゃ?」
「そうなんじゃよ。死に行く人の魂に安らぎをあたえて、残された者に言葉を残すことで魂は安心して旅立てるのに、それが無いとなると、ちゃんと黄泉に辿り着いているのかはわしにはわからん、それがどういうことになるのか。」
なんか少し怖くなってきたと同時にすごい役目を背負っているようなきがしてきた。
「もう少し話すぞい。送り人は女性の役目、そして天使の涙をもった男が守り人となるのじゃ。」
「守り人?」
「そう、全国各地にこの世とあの世を繋ぐ道は沢山あるんじゃ、その道を見張り、道という地獄から魔のものが来ないように封印するのが守り人。」
「え?魔の者?なにそれ、こわい、、」
「まぁ、そんなものわしも見たことないんじゃがね。そういう言い伝えじゃからな。」
「え?じゃあおじいちゃん、」
「そうワシは守り人じゃ。神社の裏の山に大きな祀っている岩があるじゃろ、それを桃の木で囲んだところ。」
「うん、いつも桃を取ってくるところでしょ?」
「そこがあの世とこの世を繋ぐ道の入り口なんじゃよ。」
「え、うそでしょ、いつも遊んでいた場所だよ?そんなすごいとこなの?てかあぶないでしょ。」
「まぁ、言い伝えじゃからな。その岩を動かせるわけでもなし、今まで何も起きてないし、大丈夫じゃろて。魂は岩をすり抜けて通るらしいし。」
おじいちゃんの話は私には未知の話で、言い伝えっていうのもよくわからないし、でも不思議な力は確かに持っているわけだし、頭で整理するのはとっても時間がかかった。
「まぁ、そんなに悩まんでも、その力は使うときがくれば使うことになるじゅろて。亡くなる人全てに使えるわけじゃなく、巫女の思いが何かのきっかけで天使の涙に宿ったとき。力は生まれる。もしかすると、今の世の中じゃ使うことはもう無いかもしれん。まぁ運命が導いてくれるじゃろて。」
「そうなんだ。」
私は人とは違う何かの使命があるのかと少し思っていたけど、そうではなく、普通に生活できるんだってホッとしていた。
「ちなみに天使の涙は天使の涙と引き合うのじゃよ。」
うん、ママが言ってた。
「今は守が天使の涙を持っておるのぅ、」
「守君が、ってことは守君と私が?」
「ふぉっふぉっふぉっ。ということなのかのぅ、」
「そぅなのぅ?まじで??」