誰が何と言おうと
もう後戻りはできない
どんなに考えても無理だった
「俺にはアキしかいない」
別に男が好きな訳ではなくて
アキが好きなんだ
こんな感情は間違っている
アキは俺の気持ちを知ったら
きっと離れて行ってしまう
それが一番怖かった
それでも一度知った感情は
隠せないほど強くなる
自分の欲望や願望が
何かの拍子に溢れてしまいそうで
アキに冷たくあったた
誰が何と言おうと
自分の心の奥底から求めているものが
確かになった時に俺は
夢の中でアキを求めては
朝になって消すその繰り返し
そして……
それに終わりが来ないと分かった
だから他の誰かにアキを求めた
家に帰らなくなったのは
高校が決まった後
着替えを取りに帰っても
親父は何も言わなかった
心配している素振りも見せずに
テーブルに金を置いて
書斎に入っていった
今更何かを期待してはいなかった
でもその行動が
此処には俺の居場所が無い事を
物語っている様だった
「ふっ」
俺は笑って家を出た
誰でもよかったんだ
誰かの温もりの中で眠りたかった
運がいいのか悪いのか
見た目に引っかかる大人は沢山いた
女も男もアキだと思って抱いた
最低な奴になりたかった
そうすれば何故だか解らないけど
アキの側にいれると思った
例え手に入らないくてもいい
肩を並べて歩ける毎日が嬉しかった
アキの側にいれば俺は笑っていられる
そう思った
アキが好きだ……
地獄から天国へ
一気に上っている気がしていた
sora