表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/16

13.婚約発表

 小町さんをご令嬢方から救い出すと、周囲の視線が小町さんに集中していることに気付いた。


 さもありなん。俺がエスコートしただけでも注目の的だったのに、婚約者候補と言われていたご令嬢方をバッサリと切り捨ててまで救い出したからな。


 しかもこの後は重大発表があると周知してあるし、ほぼ全員が小町さんを“そういう目”で見ているのは間違いない。


「居心地悪っ・・・」


 小町さんが隣で心底嫌そうに呟くけど、日根家の嫁になったらこんなのの比じゃないから慣れてもらいたいものだ。


 ん?まだちゃんと承知されてないじゃないかって?確かに今はそんなつもりはないって一蹴されているけれど、オトす自信はあるし、逃がすつもりはない。


「小町さん、助けに行くのが遅くなって済みませんでした」


 とりあえず呟きは聞かなかったことにして、先程のことを謝る。後で謝るより、今謝ってしまった方が小町さんには好印象だろうし。


「いや、まぁ・・・エスコートされた時点で、あるかなーとは思ってたから」


 確かに、彼女達だけではなく、他にも何名か不穏な気配を見せていたご令嬢もいた。ただ、行動に移さなかっただけ、幾分か冷静に物事を考えられる人達だったに違いない。


「俺も、あるかなーとは思っていたんですが。公衆の面前でやるとは」


「ああ、取り囲んでたしねぇ。小声で話せばバックミュージックでかき消されるし、大丈夫だって思ったんじゃないの?」


「その割に、大声出してましたけどね」


「ああ、ワザと怒らせるような態度とったし?」


「ははっ、さすが小町さん」


 全然ビビらないどころか、彼女達で遊んでいたようだ。まぁ、最終的な処分は俺に任せてくれるつもりだったみたいだけど。


「個人的には3倍返しだけど、日根家主催のパーティーだし?一応、遠慮してみたのよ?」


「助かりましたよ、小町さんがドS発動しなくて」


「これでもカロリー学院の教員だからねぇ・・・セレブに関してやっちゃダメなことくらいは理解してるつもりよ」


 面目を潰されたり、プライドを踏みにじられたりしたら、セレブでなくても怒るとは思うが、まぁ、機嫌を損ねたらより面倒なのは確かだ。


 とはいえ、小町さんはセレブの生徒にも平気でドSを発動させているのだが、そこら辺はさじ加減というヤツだろうな。うん。


「ああ、そういう発言からも本当に深山先生はウチの嫁にふさわしい人だと実感するな。あんな小娘どもに負けるわけもない」


 にゅ、と俺と小町さんの間に顔を出して、うんうんと頷く親父。


「――ひ、日根さん?!」


 ギョッとしている小町さんだけれども、結構前(それこそ、小町さんがご令嬢方に絡まれてた時)から近くにいたんだけどなぁ。気付いてなかったか。


 まぁ、気配を消すと言ったらあれだが、存在感を出さないでいるというのを得意としているのだ。この父は。


 時代劇で殿様がおしのびと称して城下町で町人に化けてふらつくかのごとく、一般社員と混じって社員食堂でご飯を食べたり、契約社員と一緒に書類のコピーをしてたりするらしい。


 何やってんだ、社長。とツッコミたい。色々と各方面(特に秘書さんとか)に迷惑だろうが。


 まぁ、それはさておき。親父が来たということは、そろそろパーティーも終わるということだろう。つまり、俺と小町さんの婚約発表の瞬間がついにやって来たのだ。


「じゃあ、小町さん。そろそろ舞台に行きましょうか?」


「うっ・・・い、行かないと、ダメ?」


「ダメに決まってるじゃないですか。逃がしませんよ・・・?」


 さり気なくずっと繋いでいた手にぎゅっと力を込めてみれば、今更ながらに手を繋いでいたことに気付いたようでワタワタと慌てだす。


 ――― だからそれが可愛いんだって!


 つい周りの目を気にすることなく抱きしめたくなったが、とりあえず我慢だ我慢。


「――宴もたけなわではございますが・・・」


 司会の発声があり、大事な発表があることが告げられる。


 壇上に親父があがって、俺達を呼ぶ。


「ほら、行きますよ、小町さん」


「くそぅ・・・ただの女避けと思って、ホイホイついて来た自分が恨めしい」


 まだ納得がいかないらしい小町さんだが、まぁ、こうなればこっちのものである。


 2人揃って壇上にあがれば、好奇や敵意、様々な感情が込められた視線が向けられる。


「このたび、息子の凱が婚約することとなりました。お相手は深山小町さん、カロリー学院で日本史教諭をされている方です」


 さすがに担任とは紹介しないか。小町さんも嫌がるだろうしな。


 というか、カロリー学院の名前を出しただけで、7割の人達が小町さんを見る目が変わった。残り3割は日根家に寄生しようとしていた人達だろう。


「高校卒業と同時に籍を入れる予定で、清く正しい交際をさせて頂いています」


 俺がそう付け加えると、俺の今までの所業を知る人達の集団からクスクスと笑い声が聞こえてくる。


「清く正しいって・・・似合わないこと言うから・・・」


「似合わないって、小町さん、ヒドッ・・・」


 ボソっと隣で呟かれて、思わずマイクを持ったまま反応してしまった俺は悪くないと思うんだ。


「はははっ、坊ちゃんの火遊びまでちゃーんと理解してる、イイ人捕まえたじゃないですかぁ」


 なんて野次まで飛んで来て。


 くそう。今、野次飛ばした奴。俺が社長になったらこき使ってやる。


「そうなんです。俺が今まで遊んでたのも小町さんに出会うためだったんだって、今では思ってるんです。・・・運命の相手ってヤツなので逃がすつもりもありませんし、全力で守るので、そこのところよろしくお願いしますね」


 まぁ、要約すると・・・小町さんに手ェ出したら容赦なくツブす!ってことで。


 一部から生温かい視線が向けられたものの、とりあえず、婚約発表(小町さんは俺のモノ宣言)は無事に終えることができた。


 さぁ、後は小町さんをオトすだけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ