主に消費税について
最初に断っておきます。
僕のスタンスは、飽くまで『考える為の材料を提供する』のつもりでいます。提案している通貨循環モデルだって、基本的にはそのつもり。ただ、理論という道具を提供しているだけに過ぎない(これに関しては、使用例も提案してはいますが)。あとは、各個人の判断に任せるべきなのじゃないか、と。
完全な正解なんて、有り得ませんしね。
今回は、争点になっている”消費税”を主に語りたいと思います。
消費税は低所得者層に不利な税制だと言われています。つまり、消費税が増税されれば、低所得者がより困る、と(一般的に、低所得者の方が、所得の割合で、消費に回るパーセンテージが大きいからですね)。
しかし、一概にこうとは言い切れません(知っての通り、デンマークなんかの成功例があります)。国に支払われた消費税が、きちんと国民に還元されれば、その分、国民の所得が増える(通貨循環がそこに生まれるってことです)ので、負担にはならない上に、社会保障などのサービスも受け取れるからですね。
ただ、日本の場合、税金が借金の穴埋めに利用されるので、国民に還元されないのじゃないか?って話があります。しかし、これもそうとは限りません。
何故なら、国の借金が穴埋めされれば、その分、金融機関にお金が余るようになるからですね(消費税増税によって、貯金がそれと同額減ればそうはなりませんが、これは大丈夫そうです。企業預金もあるし、タンス貯金分が消費に回りもするので)。その余ったお金が、新しい産業に使用されれば、国民の所得は上がります。
ただ、これらの想定は、国が… というか、官僚や政治家が、きちんと国民に還元されるような使い方をした場合に言える話です。途中で、そのお金を奪われてしまえば、こうはなりません。また、もちろん、新しい産業が興るよう、何かしらの試みをやらなければ、上手くはいかないでしょう。
新しい産業が興る試みは、一応、為されています。
日銀は、新産業に対して、優遇的に資金を回す政策を打ち出しました(政治家本人が分かっているかどうかは、不明ですが、少なくとも裏にいる人はこの必要性に気付いていそう)。もっとも、個人的にはこんな間接的な方法じゃなくて、もっと直接的にやった方が安全で確実だと思っていますが(『通貨循環の視点から』などで、提案している方法ですね)。
これに関連する方法としては、法人税の減税案もあります。
法人税が減税されれば、企業はその分、設備投資等にお金をかけられます。すると、新しい産業も興りやすくなる。そうやって、お金が使われれば、個人にもお金が回り、個人所得が増加もしますね。法人税が減ると、国の収入が減るかも、なんて話がありますが、もしこんな流れができれば、そうとは限らないって点は覚えておいてください(個人の支払う税金が増えるからですが)。
法人税の減税に関しては、別の側面もあります。
今、国際的な潮流として、法人税の減税があります。これは上記のような流れを起こす目的もあるのですが、国同士の企業の奪い合いという意味合いも大きかったりします。
企業がその国に入れば、その国は栄え、逆に出ていけば衰えます。だから、企業活動に有利な環境を用意して、企業を誘い入れる必要性が国にはあるのですね。法人税減税はその一つです。
以上を踏まえると、増税を許すべきかどうかは、「国民に税金が還元されるかどうか(国に無駄遣いをさせない)」「新しい産業を興せるかどうか」の、以上、二点が大きな観点になります。
国の無駄遣いは酷くって、節税しなくちゃならないのは明らかです。増税より、節税の方が今の日本にとってより重要でしょう。ただ、その為には「国民の声」が必要です。政治家や官僚を、国民がしつける。その責任を、国民が全うしなくてはならない。
その「国民の声」を、起こす為には、消費税増税もありかもしれない。と、最近僕は思い始めました。ここで、ちょっとシナリオを列挙してみましょう。
一、税収アップなしで、国の無駄遣いも放っておけば、生活レベルはある程度を維持したまま、ある日突然に、日本は国家破産します。
二、税収アップだけ行い、国の無駄遣いを許せば、生活レベルが低下し続けた上で、いつか国家破産します。
三、税収アップを行い、国の無駄遣いを是正すれば、生活レベルが向上した上で、財政危機は回避されます。
国の無駄遣いの是正に、新産業を興す事も含めましたが、もちろん今の日本をなんとかする道は、三しかありません。日本人を信じるのなら、三を目指すべきでしょうが、日本人を信じないのなら、一を執るべきかもしれません。少なくとも、国家破産するまでの間は、ある程度の生活レベルを維持できますから。
もちろん、シナリオパターンはこれだけじゃありません。小さな政府を目指すシナリオなんかもありますが、長くなり過ぎるので今回は省略しました(個人的には、小さな政府を目指すシナリオが良いと思っています)。
以上、2010年7月に記述しました。