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未完成のまま― 最適解に選ばれなかった僕たちへ ―  作者: はるねこ


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第8話 決着は不安定

爆炎と影がぶつかり合う、その中心に――

雷が落ちた。


ハルト「ここまでだ」


ハルトだった。


ハルト「これ以上やれば、犠牲が生まれる」


ラウル「当たり前だ!邪魔ならお前も殺す!」


クロウ「……くそ、面倒なやつが増えた」


雷が静かに走る。

三つ巴の戦いが始まった。



ブランは使い物にならなくなった能力で無理やり1つ選ぶ。


ブラン「近接最適化(オーバードライブ)!!」


だが、その攻撃はゼインには届かない。


ゼイン「――これで終わりだ」


ゼインの声が近い。


ブラン「なら――ゴリ押しだ!!」


歯を食いしばり、全身に力を込める。


ブラン「過剰武装(オーバーアームズ)!!」


鋼の嵐がゼインを包む。

だが、鋼が崩れる。


ブラン「な……っ!?」


ブランの武装が解除され、素の状態にもどる。

ゼインは告げる。


ゼイン「力を入れすぎだ」


刃を構え、ブランの腹部を切り裂いた。

と、思えた。

しかし、ゼインも体力の限界でその傷は浅かった。


ゼイン「はぁ……」


ブラン「……くそ」


ブランは膝をつく。

完全な敗北ではない。

だが、今は動けない。


ブラン「……俺の負けか」


ゼイン「もう……疲れたな」


ゼインは疲れ果て、その場で倒れ込んでしまった。

ブランも立つ気になれず、ゼインを見つめていた。

戦場の奥で、さらに大きな衝突音が響く。



地面が沈み続けていた。

バルクが1歩踏み込むたび、岩盤が悲鳴をあげる。


バルク「……まだ立つか、重力野郎!!」


血を流しながらも、ガルドは笑っていた。


ガルド「当たりめぇだろ!!怪力馬鹿!!」


どちらの筋肉も、異常なまでに隆起する。

バルクはそれ以上だった。


バルク「怪力解放(マッスルオーバー)!!」


骨が軋む音。

限界をとうに超えた肉体強化。

その身体は暴走状態だ。

対するガルドは、冷静になった。


ガルド『この出力、長くは保たん』


退かない。

両足を深く踏み込む。


ガルド「質量構え(ヘヴィスタンス)!!」


重力がさらに濃くなる。


ガルド「来い!!叩き潰してやる!!」


バルクが吼え、飛びかかる。


バルク「流星打撃(リュウセイスマッシュ)!!」


拳が流れ星のように振り下ろされる。


――直撃。


バルク「……止ま……った?」


バルクの拳が途中で動きが止まった。


ガルド「重力偏向(グラビティベンド)!!」


拳の軌道が、地面へと引きずり落とされる。

地面は叩きつけられ、大きな揺れが起きた。


バルク「ちぃっ!!まだまだぁ!!」


バルクは即座に次を繰り出す。


バルク「粉砕連続(ブレイクラッシュ)!!」


左右、正面。

理屈を無視した暴力の連打。

ガルドの身体に、確実に衝撃が伝わる。


ガルド「……ぐっ」


初めて口から息が漏れた。

――効いている。


バルク「どうしたぁ!!さっきまでの余裕はよぉ!!」


バルクが次の攻撃を仕掛けようとした。

だが、


ガルド「まだだぁ!!」


拳を受け止める。

そして、2人の勢いが増す。


バルク「おらぁ!!」


ガルド「はぁ!!」


漢同士の殴り合い。

血が飛び、呼吸も乱れる。

気づけば2人は――能力を使っていなかった。

どちらも退かない。

理由は同じだった。

――自分の素の力で決着をつけたい。


ガルド・ガルド「これで終わりだぁ!!」


最後は同時だった。

拳と拳が、真正面からぶつかる。

そして、同時に倒れ込んだ。

力尽きた二人は、同時に目を閉じる。

漢の戦いは――引き分けという形で、静かに終わった。



雷鳴が継続的に響く。

ケイルの身体は、もはや音をとっくに置き去りにしていた。


ケイル『……不意に近づけない。なら、やっぱり速度で!』


その言葉と同時に、雷が弾ける。


ケイル「雷走展開(ボルトステップ)!!」


地面を蹴る音を置き去りにし、ケイルの姿が消える。

一直線の雷撃が、ユリカを貫こうとする。

だが。


ユリカ「……読めてるわよ」


瞳の奥が、淡く揺れた。


ユリカ「思考侵入(マインドスリップ)


軌道が、わずかに歪む。


ケイル「ちっ!」


雷撃はユリカのすぐ横を通った。

ケイルは即座に立て直し、次の攻撃を構える。


ケイル「雷力蓄積(ボルトクラウン)!!」


雷が頭上に集束し、限界まで引き上げられた出力が暴れ出す。


ケイル「まとめて――消す!!」


その瞬間。


ケイル「雷断連閃(ライトニングレイン)!!」


無数の雷が、雨のように降り注ぐ。

だが、ユリカは逃げない。


ユリカ「……最っ高!!私をここまで楽しませてくれて!!」


今もユリカは笑っていた。


ユリカ「全干渉領域(フルインターフェア)!!」


精神干渉が拡張され、すべての対象に“遅延”が生まれる。

雷がユリカに近づくにつれ、遅くなる。

だがケイルは、強引に前へ出る。


ケイル「雷奪取(ボルトクラウン)!!」


雷を強制吸収し、自分自身を弾丸にする。

――突進。

しかし、“遅延”により一拍遅れる。


ケイル「……な?」


ユリカ「ふふっ。私の干渉は、あなたにもよく効くのよ」


その一瞬を見逃さない。


ユリカ「精神断裂(マインドブレイク)!」


雷に衝撃が走る。

それを吸収したケイルにも、同様に。

纏っていた雷が霧散する。


ケイル「ぐはっ……」


ケイルの身体が地面に転がる。

雷が、応えない。


ケイル『……動け!動けよ!!』


だが、意識をしても身体が反応しない。

精神側だけ先に壊された。


ユリカ「……これで終わりね」


ユリカの指先に、淡い光が集まる。


ユリカ「今度こそ、トドメをね」


その瞬間だった。


???「やめろ!!」


水音が割り込む。


???「水刃(すいじん)!」


奔流が地面を走り、ユリカとケイルの間に割って入る。

ユリカはとっさに避ける。


ユリカ「……誰?」


ユリカが顔を上げる。

そこに立っていたのは、青い水を纏った少年。


ソラ「ソラだ」


息を切らしながらも、真っ直ぐユリカを見る。


ケイル「……なんで……僕を庇う?」


ソラは答える。


ソラ「あんたをうちのハルト(相棒)に見せたくてな」


ソラは指を指す。

そこには、ラウルとクロウを相手にするハルトの姿が。

同じく、雷の能力だ。


ケイル「……好きにしな」


ユリカ「……甘いわね。この世界で敵を残すのは危険よ」


ソラ「それでも――」


ソラは一瞬言葉に詰まる。


ソラ「僕はあいつと決めたからな」


ハルトの方を静かに見た。


ソラ「この世界を変えたいって」


ユリカ「それが、一番危ないのよ」


ソラ「かもな。でも――」


水がゆっくりと立ち上がる。


ソラ「それに賭ける」


ユリカは沈黙した。

戦場ではありえない、奇妙な間。


ユリカ「……変な人。でも――嫌いじゃないわ」


その言葉にソラは一瞬戸惑った。


ユリカ「今は敵よ。でも……」


振り返り歩きながら、小さく付け足す。


ユリカ「お互い、生き残ったら続きを話しましょ」


水音が静まる。

胸の奥に、説明できない引っかかりを残しながら。

倒れたケイルのかすかな呼吸だけ、続いていた。

遠くでも雷が鳴り響いていた。

To be continued…

第9話 雷鳴が響く先

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