第7話 正面衝突
最初に気づいたのはラウルだった。
前方から全てを覆い被さるような影を感じた。
その影には間違いなく、殺気が混じっている。
ラウル「見つけたぞ!楽しめそうな野郎が!!」
その瞬間、炎が爆ぜた。
ラウル「爆炎放射!!」
ラウルが地面を蹴る。
灼熱が軌跡を引き、一直線に突っ込んでくる。
ユリカ「うわっ、誰か来た!」
クロウ「俺が行く」
影が動いた。
斬られたのは――ラウルだった。
クロウ「……遅い」
クロウの声は、すぐ後ろから聞こえた。
クロウ「影移動」
影がずれ、ラウルの背後に黒い輪郭が浮かび上がる。
ラウル『チッ、あいつの能力、影か。速くて追いつけなかった。なら、』
腕から血が滲み出る。
だが、即座に攻撃体勢へと切り替える。
ラウル「熱駆突進!!」
爆発的な推進力で身体を捻り、至近距離で炎を叩きつける。
ラウル『火力で潰す!』
だが、クロウは踏み込んでいた。
クロウ「無音刃」
影から伸びた刃が、ラウルの肩を深く裂く。
ラウル「ぐっ……!」
血が飛び散る。
だが、次の瞬間には蒸発した。
バルク「俺たちも加勢だ!」
ゼイン「行くぞ!」
ユリカ「おー!」
その前に立ちはだかるのは、
ガルド「お前らの相手は俺たちだ!さぁ来いよ!」
ブラン「すぐ終わらせてやる」
ケイル「はぁ、やるのか」
炎と影が睨み合うその裏で、別の衝突が同時に起こっていた。
地面が沈む。
重圧が空気を潰す。
ガルド「――来い、怪力馬鹿!!」
ガルドが腕を広げる。
ガルド「質量構え!!」
その瞬間、周囲の重力が跳ね上がる。
バルク「おおおおッ!!」
バルクが踏み込む。
バルク「粉砕打撃!!」
拳と拳が、正面衝突。
――轟音。
地面が割れ、衝撃波が戦場を横断する。
バルク「粉砕連撃!!」
連続の打撃。
一層と攻撃が重くなる。
バルク「止まってたまるか!!」
だが、ガルドは退かない。
ガルド「……甘いぞ!重力破砕!!」
重圧が一点に集中し、バルクの膝が地面に叩きつけられる。
だが、
バルク「まだだぁ!!」
バルクは笑っていた。
雷が跳ねる。
ケイル「ちっ……また避けやがる」
ユリカは軽々とした身のこなしで避ける。
ケイル『こいつ、全く攻撃してこない。ならば、速攻で攻める!』
雷が身体に集束する。
ケイル「雷力蓄積!!」
だが、その瞬間。
ユリカ「ふふ……」
ユリカが指を鳴らした。
ユリカ「精神叩扉」
――ノイズ。
ケイルの視界が一瞬歪む。
ケイル「……っ!!」
ユリカ「油断したね、君」
感覚がずれ、雷の軌跡が乱れる。
ケイル『くそっ、なんだ今のは!?いや、遠くからなら!』
ケイルが距離を取る。
ケイル「交差奔流!!」
雷が分岐し、ユリカを包囲する。
ユリカ「おもしろい!」
ユリカは――笑ったままだった。
ユリカ「干渉領域!!」
精神干渉が拡張され、雷の制御が一瞬だけ奪われる。
――雷が、地面を撃つ。
ケイル「なっ……!?」
ケイルの表情が、初めて焦りに染まった。
ゼインは静かに息を吐く。
ブランは無言で武器を組み替える。
ゼイン「……お前、厄介だな」
ブランの腕が変形し、対毒フィルター付きの刃が形成される。
ゼイン『やはりな、あいつ俺の毒に“最適化”させようとしてる。でもな、』
ゼインが口角をわずかに上げた。
ゼイン「遅効侵蝕!」
空間に大量の毒が散布される。
霧ではない。だが、触れた者に感染させる毒だ。
ブラン「甘いぞ!!」
ブランが即対応する。
ブラン「武器変換!!」
刃が変形し、毒耐性を上書き。
ブラン「毒は効かねぇ!」
ゼイン「…… “今は”な」
ゼインの声が低くなる。
ブランは気にせず距離を詰める。
ゼイン「近接最適化!!」
鋼の刃が、正確に切断する角度で迫る。
――だが、
ゼイン「反応遅延」
ブランの踏み込みが、ほんの一瞬だけズレた。
ブラン『……!?毒は適応させたはずだ!』
ゼインはその一拍を逃さない。
指先が、ブランの腕をかすめる。
ブラン「ちっ!」
即座に距離を取る。
ブラン「……毒は、入ってない」
即時診断。
異常なし。
ブラン「やっぱ効かねぇな」
ゼイン「……そう思うだろ?」
ゼインは静かに告げる。
ゼイン「今の毒は、身体じゃなく“判断”を殺す」
ブラン「……?」
その瞬間。
ブランの視界に最適解が複数表示される。
ブラン「……何だ、これは」
武器最適化が暴走する。
「武器A」「武器B」「武器C」
全てが“最適”と表示される。
ゼイン「遅効侵蝕・第二段階!!」
ブラン「くそ……!」
ブランの能力が、使用困難となった。
炎が再び立ち上がる。
ラウル「まだ終わっちゃいねぇ!!」
炎が身体に纏う。
ラウル「爆炎放射!!」
自滅覚悟の出力。
クロウ「……無謀だ」
クロウの影が広がる。
クロウ「皆既留影」
影が2人を覆う。
炎と影が、再び激突――
戦場の空気が変わった。
雷が落ちる。
To be continued…
第8話 決着は不安定




