第6話 優しさは続かない
???「初めまして、でいいのかな?」
レイは思わず呟く。
レイ「あなた、何者?」
少し考える仕草。
???「私は――クリオ。あなたたちを観測しに来ただけ」
ハルト「観測?どういうことだ」
観察や偵察なら分かる。
だが、観測という言葉に違和感があった。
クリオ「ちょっと確認したくて」
クリオは、まっすぐハルトの目を見る。
まるで、人を評価する目で。
クリオ「あなたたちが、どれだけ“未完成”なのか」
沈黙。
観測、未完成、何を言っているのか理解が追いつかない。
ミナ「未完成ってどういうこと?」
クリオは即答した。
クリオ「どのくらい強いのか、みたいな?」
その言葉は曖昧だった。
何かを隠しているような言い回し。
クリオ「とりあえず、大体データは集まった。君たちには期待してるよ」
その瞬間、光となりどこかへ消えてしまった。
一瞬の出来事だった。
ソラ「……なんだったんだ、今の」
ハルト「目をつけられたな。はぁ、面倒なことになった」
敵か味方か分からないが、複雑な状況になったのは分かった。
ハルト「まぁいいや、今考えてもしょうがないな。そろそろ行くか」
4人は再び歩き出した。
【参加者数:72】
レイ「少し減るの多くない?さっきまで90くらいじゃなかった?」
ソラも突然の変化に気づいた。
ソラ「確かに、どっかに強いプレイヤーがいるってことか?」
ミナ「有り得るかもね」
この変化の裏には、残酷な惨殺があった。
クリオと別れてから、しばらく。
4人は警戒しながら歩いていた。
またどこかで観測されているのではないか、突然不意打ちをされるかもしない。
ソラ「……なんかさ、」
ソラが口を開く。
ソラ「不気味だよな。今僕たちが見られてるって考えると」
ミナ「怖いよね」
ハルトは何も言わず、周囲を見る。
警戒は続けているが、敵意のない気配がはっきりと混じっている。
レイ「止まって」
レイは告げた。
レイ「前方、ログの反応あり。人数も多め」
ハルトは一瞬考えながらも、歩みを止めない。
ハルト「……行く」
危険なら、すぐに足を止める。
だが、今は違う。
最初に見えたのは緑だった。
地面から伸びた草が足元を覆い、荒れた地面を無理やり“普通”に塗り替えている。
???「あっ、人だ!」
明るい声。
現れたのは4人。レイのログに表示されたのは、
アイラ
・属性:水
・能力:再生潮流
【回復】
フィオ
・属性:自然
・能力:地形再生
【環境操作】
ノア
・属性:音
・能力:共鳴調律
【能力バフ】
セラ
・属性:光
・能力:保護結界
【防御展開】
戦闘というより、サポーターだ。
セラが軽く両手を上げた。
セラ「大丈夫、大丈夫。襲ったりしないよ」
ソラが思わず聞く。
ソラ「警戒しないの?」
フィオ「顔で分かる。この人たちは安全って」
ノア「少し休む?ここにいてもいいよ」
自然と距離が縮まる。
アイラが言う。
アイラ「怪我、してる人いる?」
ミナ「あっ、私さっき少しやけどしちゃって」
その腕には少し腫れた皮膚があった。
ソラ「さっきの炎の攻撃のときか。大丈夫か?」
ミナ「少し痛むけど……」
アイラは近づき、腕の怪我を見る。
アイラ「ちょっと待ってて、今治すから」
その時、アイラの周辺から水が生まれた。
アイラ「水癒」
水が腫れた皮膚を包み込む。
ミナ「きゃっ、冷たい!けど気持ちいい」
水越しに見える怪我が、だんだん小さくなっている。
次第に腫れた皮膚がなくなり、元通りになった。
アイラ「はい、終わり」
ミナ「うわー!すご!治ってる〜!」
ハルト「凄いな。どんな怪我でも治せるのか?」
アイラは少し考えた。
アイラ「まだあんまり試してないから分からないけど、私が治せたのは今のやけどと擦り傷、あと打撲かな。」
ソラ「そんなに治したのか?」
意外にも多く驚いた。
アイラ「うん、今まで私たちは見つけた人を助けてきたから」
レイ「……疲れない?」
フィオは笑った。
フィオ「いろいろと危ない目にあって疲れるよ。でもさ、困ってると助けちゃうんだ。自然に」
この優しさは、確かに本物だ。
セラ「一緒に動く?」
セラが何気なく言った。
ハルトが少し沈黙し、答える。
ハルト「……今回は、やめておく」
きっぱりと。
セラは驚いたが、不満は見せなかった。
ハルト「けど、仲間になりたい。それと……。」
ハルトは心配そうに言う。
ハルト「これ以上君たちを危ない目に遭わせたくないから」
その声は、今までに聞いたことないほど優しかった。
セラは笑顔で答えた。
セラ「ありがとう!じゃあ僕たち、仲間だね!」
同じ方向の道なら離れても一緒。
それだけで十分だった。
別れ際。
ノアが少し不安そうに言う。
ノア「無理しないでね」
ハルト「ありがとう。でも、」
ハルトは答える。
ハルト「君たちも」
ノアが小さく音を鳴らす。
ノア「うん、分かった!」
優しい同盟だった。
その優しさは、この世界では長くもたないかもしれない。それでも。
確かに、人間だった。
その頃、ガルド率いる同盟。
ラウル「おいおい、本当に強ぇやついるのか?もしかして俺たちが最強なんじゃねぇ?」
ラウルは戦ってきたプレイヤーが弱く、退屈していた。
ガルド「まぁ落ち着け。今までが弱すぎただけだ。必ず、楽しめる敵がいるはずだ」
4人は強い相手を探し、歩き続ける。
一方、クロウ率いる同盟。
バルク「まだ雑魚は残ってるな。さっさと終わらせるぞ」
バルクは残りの【参加者数】を見ながら言う。
ユリカ「ねぇ〜、もっと楽しもうよ〜」
ゼイン「呑気なこと言うなよ。油断してると危険だぞ」
クロウは無言で歩く。
その後ろを3人はついて行く。
だが、ガルド率いる同盟とクロウ率いる同盟。
2つの同盟が今、ぶつかろうとしていた。
To be continued…
第7話 正面衝突




