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未完成のまま― 最適解に選ばれなかった僕たちへ ―  作者: はるねこ


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第4話 裏切りと信頼

長い髪を揺らし、無遠慮に笑う女。

表情の読めない細身の男。

そして、影すら押し潰しそうな大柄な男。


???「はじめまして。私はユリカ。そして、」


???「ゼイン」


???「……バルクだ」


クロウは1歩も引かない。


クロウ「尾行か」


ユリカ「うーん、どっちかって言うと観察、かな」


ユリカが首を傾げる。


ユリカ「あなた、単独では強すぎる。でも――」


その目が傷に向いた。


ユリカ「完璧じゃない」


沈黙。


ゼインが静かに続ける。


ゼイン「5人相手に圧倒。だが、油断をしていた。

次は、軽傷じゃ済まないかもしれない」


クロウの目が細くなる。


クロウ「……何が言いたい」


バルクが1歩前に出た。

その足音だけで、空気が揺れる。


バルク「俺たちがお前の右手となる。裏切るなとは言わない。信用しなくてもいい」


真正面からの言葉だった。


バルク「だが――助け合う価値はある」


ユリカがニヤリと笑う。


ユリカ「この世界で“単独が最強”なんて幻想だよ。

あなたも薄々気づいてるでしょ?」


クロウは沈黙した。

単独。

自由。

だが、それは同時に――“孤立”だ。


クロウ「……条件がある」


3人は黙って聞く。


クロウ「深入りはしない。命令も聞かない。必要な時だけ利用し合う」


ユリカが肩をすくめる。


ユリカ「いいね。じゃ、成立ってことで」


ゼインが小さく頷く。

バルクは、短く笑った。

こうして、“裏切り者たちの同盟”は静かに成立した。


この光景を遠くで。


???「……組んだね」


静かな声が風に溶けた。

高所から戦場を見下ろすミナは、その状況を把握していた。

空間の歪み、熱の流れ、人の配置。正確に捉えていた。


ミナ「あの同盟、4人に増えちゃった」


???「正確には――“固定化”された」


隣で淡く光る文字列を追っていたのはレイだった。

情報可視化(ルミナ・ログ)】が、書き換わったことを見逃さない。


レイ「クロウの行動ログ、だんだんと安定してる」


ミナ「……守る対象ができた証拠だね」


ミナが小さく息を吐く。


レイ「厄介だな。強くなったけど、その分縛りも増えた」


ミナ「私たちも、戦える人を探さなきゃ」


2人はそれ以上踏み込まない。

今は、見るだけでいい。

この戦場で同盟は、武器にもなり、同時に―― “致命的な枷”にもなり得るのだから。


夜が明けハルトたちは歩き始めた。


【参加者数:99】


いつの間にか2桁となっていた。

派手な戦闘音も悲鳴もない。


ソラ「……なぁ、ハルト」


ソラが歩きながら言った。


ソラ「今んとこ強い相手とかいないけど、もし俺らより強いやつが襲ってきたらどうする?」


ハルト「そりゃあ、お前を囮に全力で逃げるよ」


ハルトは即答した。


ソラ「おいおいっ!」


ハルト「ははっ、冗談冗談」


思わず笑ってしまった。

ハルトが笑うところを見るのは初めてだった。


ハルト「まぁ正直なことを言うと、生き残ることだけ考える。それが1番だな。死んだら元も子もないしな」


ソラ「もちろん囮とかはなしだよな?」


ハルト「できるだけ避けたいな」


少し真剣な顔になった。

やはり勝率が少なくなるのはキツイ。

それ以上に仲間を失うことが辛い。

その時だった。


???「右、300メートル。4人、争った形跡あり」


女の声がした。

しっかりした声だったが、敵意はない。

ハルトとソラが同時に足を止める。

少し高い位置。崩れた構造物の上に、二人の影があった。

淡い風をまとい、周囲全体に視線を張る女。

そして、その隣で光の文字列を追うもう一人。

ミナとレイだった。


レイ「……雷と水、いいね」


ハルトたちは驚いた。


ハルト「なぜ、俺たちの属性が分かる!?」


ハルトは鎌に雷を纏わせる。

ソラもそれに応じて体勢を構える。


ミナ「ごめんごめん、争うつもりはないよ!ただ、仲間になりたいと思って……」


ソラは安堵して手を軽くあげる。


ソラ「なんだ。僕たちも揉めたいわけじゃないから大丈夫だ」


ハルト「そうだな。君たちの意見を聞かせてくれ。俺たちを仲間にしたい理由を」


ハルトは冷静に問う。


ミナ「実は、昨夜この近くで新たな同盟が組まれて、その中の1人が私たちだけじゃどうしようもないくらい強いの。だから、その同盟に勝てるような人を探してて君たちが目に入ったの」


レイ「あなたたちのログを見る限り、なかなかにバランスがいい。私たちのサポートがあれば勝てるかも」


レイは自信ありげに話す。

確かに、2人の言うことは信用できる。

だか、サポートという言葉に引っかかった。


ハルト「ちなみに、君たちの能力は?」


言い忘れていたと言わんばかりに答え始めた。


ミナ「私はミナ。属性は風で、能力は【視覚拡張(エア・タクティクス)】。簡単に説明すると、敵の位置とか地形とか一瞬で把握してそれを仲間の脳内に直接共有できるよって感じかな」


レイ「私はレイ。光の属性。能力は【情報可視化(ルミナ・ログ)】で相手の属性とか能力とか解析出来るからそれをミナに伝えて君たちに共有できる」


とても強い。サポーターとして最強と言っても過言では無い。


ソラ「なんか、僕たちじゃ勿体ないくらいに強いな」


ハルト「そうだな。こんなこと言うのもあれだが、本当に俺たちでいいのか?」


少し冗談交じりで言った。

だが、ミナとレイは真剣だった。


ミナ「私たちいろんな人を遠くから見てきたけど、君たちが1番安全」


レイ「それに、行動ログの回避率と生存率が異常に安定してる」


ソラが肩をすくめる。


ソラ「褒め言葉ってことでいいよな」


レイ「まぁね」


その直後だった。

前方から3人組が現れる。

連携は甘いが、全員武器を持っている。


「チャンスだ!」

「2人は女だぞ!」


数を見て、強気になる。


ソラ「……どうする?」


ソラは聞く。

ハルトはミナとレイを見る。

そして、お互い頷いた。


ハルト「どのくらい戦いやすくなるか、実戦だ」


ミナ「よし!」


レイ「任せて」


先に動いたのは相手だった。

だが、ミナの視覚拡張(エア・タクティクス)が、周囲の視界を一気に整理する。


ミナ「視覚共有(ヴィジョン・リンク)!!」


敵の位置、距離、武器。

その情報がハルトたちの脳内に入り込む。


ソラ「おぉ、いいねぇ!」


ハルト「よし、攻めるか」


死角を気にすることなく、勢いよく飛び出す。


レイ「内在解析(インナー・ログ)


敵の情報や動きを解析する。


レイ「真ん中の1人、逃げ腰。囮にするつもりだ」


ハルトが前に出る。

雷が短く迸る。


ハルト「攻雷断(ショット・スパーク)!!」


一人が距離を詰める前に崩れ、もう一人はソラの水刃で動きを止められた。

残った一人は、逃げる判断をする前に、自分が切られる側だと理解した。


ソラ「水鋒(すいほう)!」


3人組は全滅した。

戦闘は、短かった。


【参加者数:95】


ソラ「すんげぇ戦いやすかった!」


ハルト「無駄なく動けるな」


ミナはニッコリと笑った。


ミナ「よかった〜!役に立てて!」


レイはまだログを見ている。

文字を指でなぞっている。


レイ「この構成、生存率が格段に上がる。どう?組む?」


素直な問いだった。

ハルトは即答した。


ハルト「俺からも頼む。仲間になってくれ。だが、1つ条件がある」


ハルトは指を1つ立てた。


ハルト「俺とソラは、同盟が危うくなったら切ると決めた。それだけは理解してくれるか?」


ミナとレイは頷いた。


ミナ「うん。大丈夫だよ」


レイ「理解した」


同意を得た。

ハルトたちは笑った。


ハルト「それじゃあ、よろしくな」


今、4人の同盟が組まれた。

だが、他の場所で今、同盟が組まれたことを4人は知らない。

To be continued…

第5話 戦いの意味

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