第2話 同盟の条件
少年「仲間、探してるんでしょ」
ハルト「……仲間」
ハルトは少し悩んだ。
少年「災難だったよね、さっきの人に同盟組もうとしたのに。でも君、さっきの凄かったよ!一気に切りつけるとこ、かっこよかった!だから、君と一緒なら何とかなりそうだと思って」
少年はそっと近づいた。
ハルト「……なんで、組もうと思ったんだろう……」
予想外の言葉に少年は驚いた。
少年「え?」
ハルト「俺、昔から仲間は作らないタイプだったから。よく考えたらそうだったなって。それと……」
ハルトはそっと話した。
ハルト「あんた、なんでそんなに警戒してないんだ?あんな戦いの後、急に切りつけるかもしれないのに。それに、不意打ちなら俺を殺れた」
空気が重く感じた。
だか少年は違う。手元のコインを見ながら言った。
少年「まぁ、『賭け』かな。リスクはあるが当たったらデカイ。そんなもんだな……」
こちらも予想外だった。
今この状況で『賭け』をすること自体に。
ハルト「……なるほど。じゃあ敵対する気持ちはないってことでいいな」
少年「まぁね。じゃあ、交渉成立ってことでいいかな?」
またしてもハルトは悩んだ。本当にこれでいいのか。
仲間を作ってしまってもいいのか。
少し間を置いて言った。
ハルト「条件がある。それでもいいなら同盟を組む」
少年「いいね。条件は?」
ハルトは指を1本立てた。
ハルト「1つ目、無茶はしない」
少年「はいはい」
ハルト「2つ目、相手の判断に過度に口を出さない」
少年「それはありがたい」
ハルト「そして3つ目、」
ハルトはそこで1拍置いた。
ハルト「切るときは、切る」
少年の表情がわずかに変わる。
少年「……なるほど」
ハルト「命が危険なら、同盟は破棄する。それを恨まない」
その声は冷静だった。
同盟とは、情で縛られるものではないという前提。
少年はしばらく黙っていた。それから、ぽつりと言う。
少年「……わかった。でも、ここまで言われたら嫌でも考えちゃうけど……」
少年は苦笑しながら言った。
少年「それでも一緒にいてくれるのか、って……」
少しの沈黙。少年は肩をすくめていた。
ハルト「いいよ」
少年「……本当に?なんで?」
ハルト「得だから。俺は得のあることしかやらん」
即答だった。
少年は笑った。
少年「少なくとも今、君の判断は信用できる。僕の賭け勘とも合ってる」
ハルト「じゃあ、同盟を組もう。……名前、聞いてなかったな。俺はハルトだ。あんたは?」
少年「ソラだ。よろしくな!」
今同盟が組まれた瞬間だ。
上空にまたUIが浮かぶ。
【参加者数:121】
明らかに減りが早い。
ソラ「……なぁ」
ソラが視線を逸らしたまま言う。
ソラ「さっき言った条件さ。3つ目」
ハルト「あぁ」
ソラは続ける。
ソラ「もし切られる側が"生きて欲しい"って言ったら?」
すぐには答えられなかった。
この世界でその言葉は重すぎる。
ハルト「……その時は、」
ハルトはゆっくりと答えた。
ハルト「その気持ちが本当かで判断する」
ソラ「なかなか厳しいな」
ハルト「重いからな」
ソラ「そっか」
空を見上げる2人。
ソラ「なら、まだ大丈夫だな」
ハルト「なにが」
ソラ「ううん、なんでもない。それじゃあ行こっか。ここにずっといるのもあれだし」
ハルト「あぁ」
歩き出す。足音が2つ、静かに鳴る。
だが違和感がある。静かすぎる。
人が多すぎるはずなのに、気配が全くない。
ハルト「あんだけ人数がいて静かすぎると、相当マップは広いようだな。どこか見渡しのいい所があればいいが。あっ」
何か見つけた。地形が変わっているのだ。
岩と土が入り混じるエリア。その境界は不自然になっている。
ソラ「ちょっと見渡し悪いな。どうする?」
ハルト「後退してもしょうがない。進もう」
ハルトは歩みを止めなかった。
だか、少し奥へ進むと嫌な空気を感じとった。
ハルト「……ここは止まるな」
ソラ「待ち伏せ?」
ソラは何か察した。
ハルト「多分な。目をつけられているかも……」
言い終わるより早く、風の切る音が走った。
斬撃。
反射的に2人は近くの岩陰に隠れた。
岩に衝突する金属音が鋭く響いた。
ハルト「……3人、いや4人くらいはいるか?」
気配が複数。
囲むように距離を保っている。
ソラ「どうする?」
少し焦りながら問う。
ハルトの手に一瞬雷が纏った。だが、雷を使う算段を捨てた。
ハルト「戦わない」
その言葉にソラの表情が揺らぐ。
ハルト「無駄だ!」
ハルトは声を張る。
ハルト「ここでやり合えば、誰かが犠牲となる。奪うより、減らさない方が得だ」
沈黙の後。
???「お前たちを信用しろって?」
どこかで低い声がした。
ハルト「しろとは言ってない。疑ったままでいい。その方が、生き残れる」
数秒。
???「ふん、お前ら行くぞ」
足音が1つ遠ざかる。
次に2つ。最後の1つは、少し迷ってから消えた。
完全に去ったわけではない。
だが、衝突は回避された。
ハルト「……ふぅ」
ハルトは息を吐く。
ソラ「今の、戦闘ゼロで突破?」
ハルト「回避だな。今戦ったら確実に俺らが死ぬ、あるいは傷を負う。ここではその傷も命取りだ。」
ソラ「意外と慎重なんだね」
ハルト「癖だ」
岩陰から出てきてハルトは足を止めた。
違和感。
さっき斬撃を受けたはずの岩壁。そこに傷がない。
ハルト「……おかしくないか」
ソラも振り返り、目を細めた。
ソラ「言われてみれば。直った……って感じじゃないな」
ハルト「最初から壊れてなかった。そう見える」
壊れても戻る物。
減っても補充されない人。
ハルトはこの場所が"戦場"というより、管理されている空間だと感じ始めていた。
To be continued...
第3話 仲間とは




