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未完成のまま― 最適解に選ばれなかった僕たちへ ―  作者: はるねこ


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18/21

第18話 最適解

夜がほどけ、世界に朝という名の薄い光が差し込む。

色の抜けた空。静かな風。

ここはもう、優しい朝を許されない場所。

誰も眠気の顔をしていない。

目だけが、研がれた刃みたいに静か。

トアが前に出る。


トア「クリオに教えてもらった話だと、ここからはコア一直線だ。そして、AIプレイヤーも敵対してる。途中で来るやつは全部、止める」


覚悟ははっきりしている。

赤い点が複数、こちらに向かって動いていた。


リン「やっぱり、コアに行かせないために対策してきたか」


目の前に多くのAIプレイヤー。

レイが周囲を見て口を開く。


レイ「ここからは分担しよう。前線と護衛。突破速度を落とさない構成がいい」


皆が頷く。


レイ「守りが崩れたら終わり。役割は固定する」


ハルトは迷わず言う。


ハルト「俺は前に出る」


その声に、ラウルも答える。


ラウル「当然だろ。俺も前線だ」


クロウ「なら俺もだ」


ガルド、バルクもそれに続く。

ユリカは一瞬考え、護衛に立つ。

ソラも静かに並ぶ。

その後も次々と続き、前衛組が決まる。

前衛:ハルト、ソラ、ラウル、クロウ、ケイル、ガルド、バルク、ゼイン、カイ、エルマ

護衛組も決まる。

護衛:ミナ、レイ、ブラン、アイラ、ノア、フィオ、セラ、ユリカ、リン、トア

ノアが両手を広げる。


ノア「皆さん、お願いします!」


淡い光がアイラ、ミナ、レイに流れる。

アイラが息を吸う。


アイラ「回復、任せてください!」


ミナは全員に視覚を共有する。

レイの情報可視化(ルミナ・ログ)でAIプレイヤーの行動情報を得る。

ノアのバフにより、どちらも鮮明に見える。


ミナ「私たちも、役に立ってみせる!」


ミナはハルトの方を見る。

もう甘い空気はない。

あるのは、前に進む意志だけ。

遠くで地面が割れる音。

最初のAIプレイヤーが現れる。

感情のない目、機械的な殺意。


ハルト「相手は人間じゃない」


ハルトが一歩踏み出す。


ラウル「なら遠慮はいらねぇ!」


ラウルは笑う。


クロウ「元から遠慮なんてなかったけどな」


クロウは影を広げる。

AIプレイヤーが突進してくる。

ハルトの身体が消える。

次の瞬間には、AIの胴体が裂ける。


ラウル「おらおら行くぜぇ!」


ラウルは走りながら次々とAIを燃やしていく。


クロウ「ふっ、つまらん」


クロウは影から影に潜り、AIを切り裂く。


バルク「来い、兄弟!」


ガルド「行くぞ、ブラザー!」


ガルドが正面から叩き潰す。

バルクが追撃。


ケイル「僕だって!」


ケイルはハルトの後につづき、加勢する。

雷の速さにAIはついていけない。

そして、気づいたら倒れている。


ゼイン「1人、また1人」


ゼインは次々と短剣で切る。

傷は浅いが、そこから毒は入り込む。

毒を入れこまれたAIは、遅効により動けなくなる。


ソラ「助かるぜ、ゼイン!」


ソラはゼインにより動けなくなったAIを、水刃(スイジン)によりトドメを刺す。


カイ「止まるな!エルマ!」


エルマ「当たり前よ!カイ!」


カイは見えない斬撃によりAIを切り裂く。

エルマは時間を遅延させ、易々とAIを倒していく。


レイ「残りAIプレイヤー数…46…43…38…」


誰も勢いを止めない。

圧倒的な数相手でも、前線は崩れない。

ハルトは地面を踏み込む。

その先には複数のAI。


ハルト「突雷断(アサルトスパーク)!」


一瞬の間に、全て切り裂いた。

AIは倒れ込み、光の粒子が飛び交っていく。


レイ「残り、20。この調子なら大丈夫」


レイは安心した声で言う。

奥からはまたもやAI。

その数はまさに20体。


ハルト「あとはあいつらだけか。よし、行くぞ!」


その時、地面が揺れる。

遠く、AIが光り始める。

1体ではない、全てのAI。

金属と光が流れ、中央へ吸い寄せられる。


ソラ「なんだあれ!?」


ゼイン「これは、止めに行った方がいいか?」


その言葉にハルトは地面を大きく蹴る。

そして、鎌を大きく振りかぶる。

しかし、間に合わなかった。

無数のAIパーツが空中で絡み合う。

腕が何本も生まれ、目が増え、核が重なっていく。

ハルトはその衝撃波により吹き飛ばされる。


ハルト「ぐっ……!」


ブランは吹き飛ばされたハルトを受け止める。


ハルト「助かった。ありがとう」


ブラン「礼はいらねぇ。それより、あれはなんだ?」


やがて、一つの巨大な存在が立つ。

人型だが、人ではない。


ハルト「……恐らく、AI同士を合体させてより強い個体を造るつもりだ」


ラウル「へへっ!雑魚がいくら集まったところで所詮は雑魚だ!そのでけぇ身体、俺が燃やし尽くしてやる!!」


ラウルは巨大な合体AIに突進する。

その時、レイはあることに気づく。


レイ「……!?待て!そいつは……!」


ラウルは気にせずに攻撃を仕掛ける。


ラウル「業炎爆砕(ヘルバースト)!!」


圧縮された火球が一直線に伸び、合体AIにぶつかる。

大量の煙が舞う。


ラウル「ははっ!やっぱり雑魚だぜ!!」


しかし、その煙から出てきたのは無傷の合体AI。

一同は驚く。


ラウル「は!?確かに当たったはずだぞ!いくら硬くても無傷じゃ済まねぇ!!」


その瞬間、合体AIの巨大な腕がラウルを襲う。

その勢いは、速く、重い。


ラウル「ぐはっ……!」


一撃でラウルは吹き飛ばされる。

アイラはすぐさま回復する。


アイラ「大丈夫!?」


ラウルは立ち上がり、腹を押さえる。


ラウル「くそっ!なんだよあいつ!さっきのやつらよりも明らかに別格だぞ!」


まるで攻撃が無かったかのように、合体AIは動き出す。


レイ「……あの個体は、今までのAIとは違う。恐らく……」


バルク「よし、俺たちが行くぞ!兄弟!」


ガルド「俺たちの連携だ!ブラザー!」


バルクとガルドはレイが話終わるよりも先に走り出す。


レイ「ちょ、最後まで人の話を聞いて!」


2人は右足に狙いを定める。

拳が同時に振りかぶる。


ガルド「重力偏向(グラビティベンド)!!」


バルク「流星打撃(リュウセイスマッシュ)!!」


二つの拳が同時にぶつかる。

火花が散り、衝撃波が生まれる。

今度は効いた。

だが次の瞬間、砕けた部分が液体のように再構成。

構造が変わる。


ガルド「なんだと!?」


バルク「俺たちの攻撃が!?」


合体AIが2人目掛けて大きく蹴る。


ガルド・バルク「がっ……!」


ブランは2人を受け止めるが、勢いが強く受け止めきれない。


ブラン「くっ……なんて勢いだ!」


ブランの能力:武器最適化(ウェポン・アダプト)により、鋼の足裏から炎を噴射し勢いをつける。

なんとかブランは2人を抑えきれた。


ブラン「おい、大丈夫か!?」


ガルド「……あぁ、問題ない」


バルク「……俺も、無事だ」


身体はボロボロだが、立ちあがる。


レイ「もう、説明するからよく聞いて。あの個体は……」


エルマ「物理攻撃がダメなら……!ユリカ、行くよ!」


ユリカ「分かった!エルマちゃん!」


またもやAIに攻撃を仕掛ける。


レイ「だからぁ!人の話を……!!」


エルマ「時間擦過(タイムスクラッチ)!」


エルマは時間を遅延させ、動きを鈍らせる。

合体AIは何か察知し、避ける体勢をとる。


ユリカ「思考侵入(マインドスリップ)!」


ユリカは思考を妨害し、混乱させる。

能力自体は、効いている。

そして、エルマの放った斬撃が合体AIの腕部分に当たる。


エルマ「よし、当たった!」


ユリカ「ちゃんと効いてるよ!」


しかし次の瞬間、その傷は消える。


エルマ「えっ!?」


ユリカ「また!?」


合体AIはまたもや動き出す。

距離がどんどん近づいていく。


レイ「もう!ちゃんと説明するから聞いてよ!」


ようやく皆はレイの言葉に気づく。


ユリカ「あっ、レイちゃん。ごめんね」


エルマ「あら、気づかなかったわ」


レイ「……。」


レイはしょんぼりする。


レイ「まぁいいや。とにかく、私が言いたいのはあの個体は複数回の攻撃じゃダメ。一発で仕留めないと」


ラウル「一発で?」


レイは頷く。


レイ「そう。あの個体、一言で言うと攻撃を受けた瞬間に分析して、無効化してる」


ラウル「なんだと!?俺のあの一撃でもダメなのかよ!!」


レイは少し考る。


レイ「多分、煙でよく見えなかったけど、その間に再生したと思う。だから、それ以上の火力が必要」


攻撃は効かなかったんじゃない。

効いていたが、その後に無効化されていたのだ。


クロウ「まて、俺が考えるに、こん中で一番最大火力を出せるのはラウルだ。おいお前、もう1回やってこい」


クロウはラウルに視線を向ける。


ラウル「お前、誰に指図してんだよ!」


レイ「ダメ、ラウルの攻撃はもう効かない」


レイもラウルの方を見る。


ラウル「は?なんでだよ」


ラウルは少しキレている。


レイ「だってラウル、あのAIに攻撃したでしょ。もうその時点であなたの攻撃は無効化されてるから、いくら攻撃しようと効かないよ。あの個体、ラウルの最大火力でギリ倒せるくらい硬いのに。だから私の話を聞いてれば……」


ラウル「ギクッ」


クロウ「何やってんだよお前」


ラウルは申し訳なさそうに下を向く。

合体AIはもうすぐそこにいた。

合体AIの腕が変形。

砲身が形成される。


クロウ「まずいっ!」


光線が放たれる。

直線ではなく、曲がり、追尾する。


リン「危ない!」


リンが転移を発動する。

ギリギリのところで回避できた。


レイ「……っ!助かった」


だが余裕はない。

ハルトは拳を握る。


ハルト「じゃあどうすればいいんだ。俺が行ったところで無駄足だし……」


その瞬間、ハルトの脳内に一つの雷が落ちる。

可能性は低い。


ハルト「……いや、もうこれしかない」


ハルトは後ろを振り向く。

そこには、ケイルの姿。

To be continued…

第19話 信頼

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