第13話 理想と現実
ハルトとユリカ、2人の目はカイとエルマに。
リン「頼んだわよ」
リンの能力:短距離転移により、その場にいた4人は戦場へワープした。
ハルトとカイは廃墟された高速道路。
何層にも重なる道路に、所々壊れているガードレール、直線もあればカーブもある。
ハルト「こんなとこ用意してたのか、リン」
カイ「……おい、お前が俺の相手か。残念だが無駄な足掻きだ。さっさと死んでくれ」
カイは軽く首を鳴らす。
ハルト「そうか?俺は勝つからここにいる。そして、みんなで帰るんだ」
ハルトは鎌を握りしめる。
その鎌には、雷が纏う。
カイ「ふん、この世界は“死に損ない”の集まりだ。全員救うなんて幻想、ただの自己満足だぞ」
ハルト「違う」
ハルトは視線をそらさない。
一歩前に歩く。
ハルト「救うかどうかじゃない。俺は、守る側に立つって決めただけだ!」
カイの表情が変わる。
カイ「甘いな。お前なんかに守れるわけねぇだろ!」
ハルトの雷が強く光る。
ハルト「それでもやる。置いて帰るくらいなら、倒れて進めない方がマシだ!」
一瞬、風が止む。
カイの目が僅かに真剣になる。
カイ「いいだろう!その馬鹿げた理想、俺の手で全て切り裂いてやる!!」
空間に緊張が走る。
戦闘開始。
一方、ユリカとエルマ。
ワープした場所は、閉鎖された病院の廊下。
薄暗く、照明も最低限。
心電図のモニターだけが音を立てる。
ピッ……ピッ……。
エルマ「あなたが私の相手ね。てっきりあの男の方かと思ったわ」
ユリカ「私じゃダメだったかな?」
ユリカは微笑む。
エルマ「だって、私の相手になるの?今のうちなら降参して許してあげるけど。まぁ、そうしてもあなたたちを置いていくけどね」
エルマはポケットから何やら取り出した。
白い手袋。
それを手にはめながら続ける。
エルマ「怖くないの?戦うことが」
ユリカは少し考える。
ユリカ「……今はね。この世界に来て分かったのよ。戦いの意味を」
一拍あけて答える。
ユリカ「私は、楽しいから戦ってるんじゃない。守られてるから戦う」
ユリカの脳裏には、微かに水色の髪の男が。
エルマ「守られてるから、か。そんなこと気にしたことなかったわ。まぁ、いいわ。お話は終わり」
エルマの手には小さな刃物。
お互い、目が鋭くなる。
エルマ「私と戦ったこと、後悔させてあげる」
今でも心電図の音は鳴り響く。
戦闘開始。
静かに風が高架の隙間を吹き抜ける。
割れた標識が微かに揺れる。
ハルトの足元で雷が弾けた。
向こうの道路の橋。
カイは片手をポケットに入れたまま立っている。
カイ「雷かぁ。速いのは嫌いじゃない」
次の瞬間。
目の前にカイが現れた。
ハルトはそれに反応し、打撃を受け流す。
ハルト『速ぇ!?だが、攻撃は耐え……』
突然、ハルトの肩に切り傷。
血が滲み出す。
ハルト「何!?確かに避けたはず!」
確かに打撃だけだった。
カイは笑みを浮かべる。
カイ「まだだぁ!!」
またもや視界から消える。
次の瞬間には目の前にカイはいる。
またもや打撃。
ハルトは即座に雷を地面へ流す。
ハルト「瞬避!」
身体が横へ跳ぶ。
間一髪避けた。
だが、
ハルト『ぐっ……』
左腕にも切り傷。
さっきよりも深く、複数箇所。
ハルト『どういうことだ!?なぜ切られる!?』
風が強く吹く。
カイはそれに応じて攻める。
次は蹴り。
ハルトは鎌で受け、雷を散らす。
その瞬間、雷が弾かれ空気に波紋が広がる。
今、何かが見えた。
ハルト「斬撃か!」
カイの口角はまた上がる。
カイ「気づいたか」
足元に風が集まる。
カイ「特別に教えてやる。俺の能力:高速移動は速いだけじゃない。打撃の軌道に沿って圧縮した風を乗せることで斬撃となる」
カイはトンネルの中に入る。
風がカイの周りを囲う。
カイ「だから、こんなこともできる」
次の瞬間、無数の斬撃がハルトに向かう。
先程よりもデカく、鋭い斬撃。
ハルトは姿勢を低くする。
ハルト「見えないなら、賭けで何とかすればいい。あいつならそう言うんだろうな」
ハルトの頭には、ソラの姿。
周囲に雷が増す。
ハルト「雷波斬!」
大きな一太刀。
雷の波動が無数の斬撃を弾く。
カイ「流石に少し舐めていたな」
カイは地面を踏み込む。
カイ「こっからはスピード勝負といこう!」
白いタイルの上、エルマは足音を鳴らして近づく。
その手には小さな刃物、メスを持っている。
先に動いたのはユリカだった。
ユリカ「思考侵入」
意識の奥へ入り込み、思考を濁らせる。
エルマの姿が、僅かにブレた。
次の瞬間。
エルマ「もう遅い」
ユリカの首に浅い切り傷。
突然の出来事に目が見開く。
ユリカ『嘘、そんなはずは……』
距離はあった。
踏み込みも見えなかった。
再び能力を使う。
意識を乱し、判断を狂わせる。
だが、エルマはその前に動き終わっている。
足払い。
転倒。
首元にメス。
ユリカ『攻撃が……間に合ってない?』
ユリカの呼吸は荒れる。
エルマ「あなたの“それ”、無駄よ」
メスがユリカを襲う。
ユリカは回転して避ける。
頬が裂け、血が床に落ちる。
精神妨害を重ねるが、全部“空振り”。
ユリカ『ここままじゃ……触れられない』
エルマは感情を見せない。
エルマ「あなたの能力、強いじゃない。でも、“遅い”わ。」
メスが光を反射する。
ユリカはエルマの能力の正体を知らない。
そして気づかない。
“自分の能力が逆に読まれている”ことに。
To be continued…
第14話 託された言葉




