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未完成のまま― 最適解に選ばれなかった僕たちへ ―  作者: はるねこ


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10/23

第10話 120%のぶつかり合い

クリオ『潜在制御:解除

    ――対象:120%』


次の瞬間、世界のバランスが崩れる。

クリオは告げた後、どこかへ消えてしまった。


ラウル「――っ!!」


最初に変化したのは、ラウルだった。

炎の色が色を失う。

赤でも橙でもない、白に近い熱。


ラウル「……ははっ」


ラウルが笑う。


ラウル「最高だ……身体が……熱を求めている!!」


踏み込む度、地面を蒸発させる。

爆風が全てを包む。


続いて、影が動く。

クロウの足元から伸びる影が、もはや“影”ではなかった。

立体化し、刃が空間そのものを切る。


クロウ「……ふっ」


クロウは明らかに笑っていた。

今まで見せなかった、クロウの笑った顔。


雷が、暴れる。

ハルトの一歩が地面に触れた瞬間、空間が“遅れて”割れる。

踏み込んだ感触がない。

足裏が地面を捉える前に、すでに次の位置にいる。


ハルト「速すぎる……!!」


身体が思考を置き去りにして動く。

その力は、他にも影響していた。


ミナ「……だめ……情報を……」


ミナは視野とレイのログをハルトに共有していた。

しかし、


ミナ「……情報を送れない!!」


レイ「……ハルトたちの力が強すぎて、伝達が遮断されている」


アイラ「あれが……ハルト?」


遠くで見たいたソラたちもその力に驚かされている。


ソラ「なんだあの力!?あいつ、大丈夫なのか!?」


ユリカ「なにあれ!?すご〜い!!」


ブラン「ラウル、やっぱすげぇよ」


三つ巴の戦いは、2ラウンド目に突入した。


ラウル「白焔解放(ブレイズオーバード)!!」


ラウルが腕を振り下ろした。

炎が爆発しながら燃え広がり、全てを押し潰す。


ミナ「ハルト!!」


ミナの叫びが届くより早く、雷となって跳んだ。


ハルト「瞬避(フラッシュドッジ)!!」


雷が弾けた瞬間、ハルトは――笑っていた。


ハルト「……あはっ」


自分でも驚くほど軽い声。


ハルト『やべぇ……止まれねぇ』


今までずっと戦いを、


「終わらせる側」だった。

「抑える側」だった。

「誰かが死なないように」立っていた。


でも今は違う。

世界が、速い。

敵が、強い。

そして――楽しい。


ハルト「雷装解放(テンペストドライブ)!!」


雷が再び弾ける。

だがさっきよりも雑で、荒い。


ラウル「いい顔になったじゃねぇか!!」


ラウルが吼えた。

炎が、もはや制御されていない。

白焔が身体の周囲で暴れている。


クロウ「お前ら……」


影が割り込む。

クロウの声は、どこか楽しそうだった。


クロウ「置いていくなよ」


影が、三次元的に跳ねる。

地面から、壁から、空間そのものから。


クロウ「影界侵食(シャドウドミネイト)!!」


影が、炎と雷を包むほどに広がる。

その影は、空間を切り裂く。


ハルト「っ、来た!!」


雷が跳ぶ。

ラウルも炎で押し返す。

クロウの影が、ギリギリで2人をかすめる。

3人とも同時に思った。


同じだ。

強さが、全部同じラインにいる。


ハルト・ラウル・クロウ『最高だ!!』


3人は歯を剥き出しにして叫ぶ。


ハルト・ラウル・クロウ「試したい!!俺の……全てを!!」


正義とか、理想とか、犠牲とか、すべて関係ない。

今は、自分の強さを出し切りたい。

ハルトは鎌を振り回しながら叫ぶ。


ハルト「今なら――」


雷が、完全に感情と同期する。


ハルト「今なら全部ぶつけられる!!」


3人が同時に踏み込む。


雷。

炎。

影。


全ての出力が上がる。

これは――存在同士のぶつかり合い。


ハルト「天雷終焉(テンライエンド)!!」


雷が解き放たれる。

鎌を振り抜いた瞬間、雷は刃となり、意志となり、一直線に世界を断ち切りにいく。


迷いはない。

止める理由もない。

ただ――ぶつける。


ラウル「獄焔壊界(インフェルノブレイク)!!」


白焔が爆ぜる。

熱量そのものが塊となり、飲み込もうと膨張する。


迎え撃つ。

世界を炎で塗り替える。

そして――ぶつける。


クロウ「無明断罪(ノクスジャッジメント)!!」


影が地面から、空間から、存在の裏側から伸びる。

斬るでもなく、飲み込むでもなく。

すべてを消す。


進路を断つ。

余地を奪う。

また――ぶつける。


衝突。


3つの力が完全に同一点で噛み合った。

轟音。

爆発。

そして、音が消えた。


止まった。

誰もがそう思った瞬間。

――世界が、押し返した。

衝撃波が、全方向へ解き放たれる。

3人の身体が、同時に弾かれた。


ハルトは、地面を転がり膝をつく。

雷が、消えかけている。

だが倒れない。


ハルト「……っは」


息を吐き、笑う。


ハルト「……決まらねぇか」


ラウルも、数メートル先で立ち上がる。

炎は揺らぎ、肩で息をしながら歯を剥く。


ラウル「全部ぶつけて、まだ足りねぇなんてな!!」


クロウは、影の中から姿を現す。

影は薄れ、呼吸は荒い。

それでも、立っている。


ミナ「……互角」


淡々と、そう告げた。


レイ「出力、威力、到達点、全部……同じだ」


3人の間に、ゆっくりと距離が生まれる。

誰も倒れていない。

誰も優位に立っていない。

全員は、確信していた。

もう一度やれば、耐えれない。


雷が、微かに鳴る。

炎が、燻る。

影が、揺れる。


3人は、互いを見据えたまま。

次の一歩を――踏み出す。

次で終わる。

120%の力は、まだ残っている。

削り切った先の“最後の火種”。

ハルトは鎌を構え、静かに息を吸った。


ハルト「これで……決める」


雷が無理やり引き出される。

さっきより遅く、

さっきより重い。

それでも――確実に殺せる一撃。


ラウル「……はっ」


短く笑う。

ラウルの炎も、明らかに様子が違った。

燃え盛るのではなく、凝縮されている。


ラウル「いいな、最後にふさわしい!」


炎が、心臓の鼓動に合わせて脈打つ。


クロウ「……はぁ」


クロウも動く。

だが、影を広げなかった。

代わりに、影を一点に集中させる。

刃でも、拘束でもない、“最後の影”。


クロウ『もう、どれが来ても……運次第だ』


それでも、構えを解かない。

三人が、同時に踏み出す。


雷が走る。

炎が吼える。

影が裂ける。


――その瞬間。


???「――やめろ」


空間が、止まる。


ハルト「……なに?」


ハルトが戸惑いを見せる。

ラウルとクロウも理解が出来なかった。


クロウ『……誰だ』


戦場の中央に、空間が折り畳まれるようにして、人影が現れる。

2人。


???「これ以上、続けてはならない」


To be continued…

第11話 世界の真実

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