あれ、今日はそっけない?
昼休み。いつものカフェテリア。
美咲は席にトレーを置いて、周囲をきょろきょろ見渡した。
(あれ、翔太くん…いない?)
昨日、ちょっとだけ“過剰なノリ”だったことを思い出して、笑いそうになる。
けど、彼の顔が見えないことに、ほんの少し胸の中がもぞもぞした。
それでも10分後、翔太は現れた。
けれど――今日の翔太は、いつもと違った。
「こんにちは。……隣、いいですか?」
「うん、もちろん。」
何か変だ。視線も会話も、どこか一歩引いている。
昨日までは笑顔で絡んできていたのに、今日は必要最低限のやりとりしかしない。
「…どうしたの?なんか、元気ない?」
「いえ。ちょっと仕事がバタついてて。あと、迷惑だったかなと思って。」
「迷惑?私、そんなこと言ったっけ?」
「いえ。ただ、昨日のがちょっと“わざとらしい”って言われたんで、反省中です。」
そう言って、翔太は穏やかに笑った。いつもの調子。でも、どこか他人行儀。
美咲は言葉に詰まった。
(…あれ、なんでだろ。別に毎日絡んでくれなくてもいいはずなのに。なんか、ちょっと……さみしい?)
翔太は食事を終えると、先に立ち上がった。
「先に戻りますね。じゃあ、お疲れさまです。」
「あっ……お疲れさま。」
美咲は自分でも驚くくらい、反射的に声を出していた。
けれど翔太は、いつものように振り返ってはくれなかった。
その背中を、目で追ってしまっている自分に、ふっと気づく。
(……あれ?私、なにしてんだろ。)