表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代恋物語  作者: taku
3/11

その攻め、0点です。

大学時代の友人グループの飲み会。

個室の片隅で、翔太は深刻な顔でスマホの写真を見せていた。写っているのは、美咲の笑顔。


「…いや、これはもう“ガチのやつ”やな。」


真剣な表情で写真を見つめるのは、翔太の大学時代のサークルの先輩――滝川たきがわ

女の子の9割を2秒で落とす、と言われていたモテ無双男。


「てかさ、正直お前…その顔でまだ落とせてないってどういうこと?」


「いや…そうなんですよ。かわされるんです、全部。なんかこう…手のひらで転がされてる感あって。」


「はは、そういうタイプいるよなー。自覚ない魔性系。あと、年上女子って一筋縄じゃいかないから。」


「どうしたらいいですかね?」


滝川はグラスを置くと、にやりと笑った。


「よし、じゃあ“滝川式・恋の三段活用”でいこうか。」


「そんなのあるんですか。」


「ある。まず、①意外性で揺さぶれ。

年下らしからぬ落ち着きとか、急にドキッとさせる距離感とか。

次に、②あえて引け。押しだけじゃ人は落ちない。引いて様子を見ろ。

最後に、③頼れ。年上って『頼られると放っておけない』生き物やから。」


「…それ、実績あります?」


「3人同時に付き合って振られた。」


「ダメやん。」


笑いながらも、翔太はアドバイスを胸に刻んだ。



翌日。


カフェテリアで、いつものように出会った美咲に、翔太は少しトーンを変えて話しかける。


「…昨日、飲みすぎちゃって。ちょっとだけ、しんどいです。」


「え、大丈夫?そんな顔に見えないけど?」


「顔は強いんです、意外と。」


言いながら、翔太はわざと目を伏せる。いつもより少しだけ距離を縮めて。


「ちょっと…膝貸してもらってもいいですか?」


「は?」


「冗談です。」


一瞬、ピリッとした空気。けれど、美咲はふっと笑った。


「翔太くんって、もしかして最近、どこかで勉強してる?」


「…はい?」


「口説きのセリフが、ちょっと“作ってる感”出てるよ。かわいいけど。」


「……。」


完全に見抜かれていた。


「でも、面白いなぁって思うよ。そういうの。」


美咲はそう言って、飲みかけのカフェラテに口をつけた。


翔太は撃沈。だけど、負ける気はしていなかった。

彼女の“余裕”の奥に、まだ見えていない何かがある気がしていたから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ