好きバレって効果ある??
昼休みのカフェテリア。
あれから何度か同じ時間に顔を合わせるようになった翔太と美咲。
彼女は相変わらず、穏やかな笑顔で誰にでもフラットに接する人だった。
「またここで会いましたね。運命だったりして。」
サラダをつつきながら、翔太が冗談めかして言うと、美咲は吹き出した。
「運命って、何人目?今週だけで3人目よ?」
「…そんなに言ってるんですか?」
「うん。モテる女は大変なんです。」
そう言って、にこにこと笑う美咲に、翔太はまたしてもペースを乱される。
この人、本当に天然なのか、全部計算なのか。わからない。でも、惹かれる。
翔太は思い切って言葉を続けた。
「俺、美咲さんのこと、もっと知りたいなって思ってるんですけど…それって変ですか?」
一瞬、美咲の箸が止まった。けれど、すぐにいつもの調子で返してくる。
「変じゃないけど…『もっと知りたい』っていうのは、つまり、そういう意味?」
「…はい。」
翔太はまっすぐに答えた。迷いはなかった。
けれど、美咲はちょっと困ったように笑った。
「そっか。でもね、翔太くん。私、年下の子って“かわいい”って思っちゃうんだよね。」
「…かわいい、だけですか?」
「うん。たとえば、子犬とか。」
「子犬扱い…!」
翔太は心の中で撃沈。けれど、それでも嫌な感じがしなかったのは、美咲の笑顔が柔らかかったからだ。
「でも、かわいいって思うってことは、興味はあるってことなんですよね?」
「うーん、どうかな。私は“好き”になるの、けっこう慎重だから。」
そう言って、美咲は席を立つ。
「また明日、ここで会いましょ?」と軽やかに言い残して――。
翔太は一人残され、天を仰いだ。
「これは…完全に手強いぞ。」
けれど、心のどこかがワクワクしているのも確かだった。