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23話

読んでいただきありがとうございます!

「暇だ…」


 アリアはこれから、ベッドの上で数日を過ごさなければいけない。脇腹の怪我のせいで、絶対安静でいるしかないのだ。

 が、この部屋に、娯楽と呼べる物は、何もなかった。ゲームやら漫画やらで舌の肥えているアリアには、少しばかり味気ないものだらけだ。

 本を読もうにも、活字アレルギーであるために、数ページ読むだけで手が止まってしまう。

 放り投げはしなかったが、ページを閉じて体の上に置く。


(ふぅー。この世界、うすうす気づいてたけど、技術的に発展してないな。ま、結局、慣れていくから気にしてないけど)


 読んだ数ページで創作する意欲が湧く筈もなく、心でそう呟く事しか出来なかった。いつもなら、勝手に脳が処理を始めて、自分好みのもう一つの物語を作るのに、今回は、それがなかった。

 単に読んだページが少ないとか、脇腹の痛みで気が散ってしまうとか、そう言うことではなかった。

 難しかったのだ。

 あまり使われない表現やカルチャーショック。その他にも、世界的な常識が少しズレていた。

 例えば奴隷だ。普通にそこらへんを歩いているし、何なら街では、奴隷の売買が頻繁に行われている。と言っても、服がボロボロで痣だらけ、なんてそんな見た目はしていない。

 アリアも、意図的に見ないようにしているが、それなりに慣れてきていた。この世界に生を受けたのだから、この世界の常識に合わせる必要があるが、それでも、受け入れ難い事実は、沢山ある。

 目を背けずにはいられない事件や”普通”が溢れていた。

 本を見るだけでも、アリアの許容のコップからは、中身がゴボゴボと溢れてしまう。


(本、読んだだけで憂鬱になるんだけど。簡単に書いてるけど、こんな事が普通に起きて…だけどそれを気にする人は、誰も居ないんだよな)


「はぁ、まぁ、暇だなぁ」


 本で知る残酷な世界に加えて、アリアは今、怪我人だ。どうしようもない痛みは、もう無いが、それでも動く事は、ままならない。

 仮に起き上がれても、部屋の外には、両親が居るだろう。

 運良く会う事なく廊下を歩けても、外に出るには、居間を抜ける必要がある。

 居間は人気で、母も父も頻繁に利用する。だから、もうここでアウトになって部屋へと連行される。


「寝るしか無いか」


 一周回って寝る事にした。寝るのは勿体無いと考えていたが、暇よりはマシだ。

 パチパチと目を閉じたり開けたりしていると、徐々にその動作が緩慢になってきた。まもなくすると睡魔に耐えられなくなり、遂には、目を閉じてしまった。

 一定のリズムで弾む胸が、鼻と口通る空気の流れとが連動し始める。

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