透き通る肌のあの子たち
しいなここみ様『500文字小説企画』参加作品です!
『この透き通る肌、たまんねぇ……ちっちゃくて、すべすべで、ツヤツヤで、くっそエッロ……』
1人が呟いた。
『おいおい、こっちも見てみろよ! 暴力的に豊満な曲線美だぜ? 宇宙のようなバブみを感じる……。ああ、この膨らみに包まれたい!』
もう1人が叫んだ。
透き通るショーケースの中を漂う妖精。
小さな姿はまるで人形のようだが、なめらかな動きからは同じ命を持つ者の艶めかしさが滴る。
劣情を焚き付けられた2人は、ショーケースに顔を寄せると、その冷たい触感を楽しむように擦り付けた。
『ふひょお……たまんねぇ……』
『キレイだよぉ……エッチだよぉ……』
2人は熱い息を漏らした。
彼女達は知性も理性も持たない、ただ愛玩されるだけの存在だ。この暗いショーケースの中で、ケバケバしい光を浴びながら、ひたすらに踊り狂っている。
哀れで、儚く、触れれば砕けてしまう存在。
しかし、だからこそ美しい存在なのだ。
* * *
その夜、山形県鶴岡市に飛来したUFOは、クラゲで有名な加茂水族館の上空でしばらく停止した後、夜空の彼方へと消えていった。
光と共にUFOへ吸い込まれていく多脚タイプの宇宙人(火星人?)の目撃証言があったが、真偽の程は定かではない。
クラゲみたいな形をした足がいっぱいタイプの宇宙人にとって、透明で美しいクラゲ達は『デフォルメ二次元美少女キャラ』的な存在に見えるのかもしれないよね。