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第41話 担任代行

 

 翌日。


 俺はリエルたちと学科塔にある教室までやって来ていた。


 これからここで、はじめて魔法の授業を受ける。


 どんな授業なんだろう?

 担任の先生はどんな人かな?


 ちょっとソワソワする。


 中学から高校に上がった時もこんな感じだった。


 美人の先生だといいなー。


「ねぇ、ニーナ。担任って女の人?」

「違うよ。男の先生」


「…………」


 あえて聞かないようにしてたのに、リエルがニーナに聞いちゃった。


 男の先生か。

 誰だろ?


 新魔法研究会メンバーの先生だと良いな。


 もしそうだったら授業は楽しくなりそうだ。



 ガラっと扉が開き、男性が入ってきた。


「あっ、ファリル先生!」


 俺とリエルの入学審査を担当してくれた先生だ。


「あー、そうか。今日からお前らも授業に参加するんだな」


 前に会った時と変わらず、ダルそうにしている。


「そっちのリエルはともかく、お前には何も教えることはないぞ」


「えっ」


 初授業でなんてこと言い出すんですか。


「普通に考えたらそうだろ。150点取れば合格できるような超難関筆記試験で250点取る奴に、何を教えれば良いのか逆に教えてくれ」


「ゆ、ユーマ。君はあの編入試験で250点も取ったのか!?」


 フリストが驚いていた。

 やっぱり難しかったんだ。


「勘があたったんだよ」


「全部記述式なんだから、勘なわけないでしょ」


 リエルさんの指摘が厳しい。


「それにいいか? この学園はな。学生がより上位の魔法が使えるように、魔法攻撃力の向上訓練や、魔力増強訓練なんかもカリキュラムに含まれている。でも魔力測定水晶を割るような魔人級魔力保有者にやらせる訓練なんてねーよ」


「魔力測定水晶を!?」


「あ、あれって確か、もの凄くお高いのでは?」


 アルメリアの発言でファリル先生の表情が暗くなる。


 先生は俺に3つの魔力測定水晶を触らせ、結果その全部を壊してしまった責任を取って半年間減給処分にされているらしい。ちょっとかわいそう。


「それからユーマは新魔法で不倒之的を倒したらしいじゃねーか。教えてくれ、お前は何のために入学したんだよ」


「暇つぶしです」


 正直に答えてみた。

 

 俺がここに来たのはリエルに誘われたから。クラスメイトたちがこのあたりまで戻ってくるであろう日まであと5日。その間、俺は時間をつぶすため魔法学園への入学を希望した。


「……もう、お前が授業するか?」


「教員免許がありません」


「俺の補佐ってことで、担任代行権限をやるよ」


 そう言うファリル先生が俺を手招きしたので、彼のそばに近寄った。


 先生が小声で俺に提案してくる。


「俺は授業するのがめんどくさい。だが授業をしないと、ただでさえ半分に減らされている給料が0になる。お前は暇つぶしがしたいし、新魔法が使える。同級生たちに新魔法を教えてやらねーか? ほら、クラスの面子を見てみろ。美少女だらけだ」


「ひとり美青年がいますけど」


「あれはあれで、ありだろ」


 何が「あり」なのかは聞かないでおく。


「このクラスの教員はたぶん楽しいぞ。あの美少女たちに「先生」って呼ばれて、あれこれ頼られるんだからな」


 そう言うなら自分でやれば良いのに……。


 でも、確かにありだな。

 面白そうではある。


「わかりました。俺、やってみます」


「良く言った! みんな聞け。今日からこのクラスの授業は、新魔法が使えるこのユーマがやってくれることになった」


 ファリル先生は俺に出席名簿と数冊の教科書を渡すと、そのまま教室の隅にあった椅子に座り、読書を始めてしまった。


 やってみると言ったものの、ほんとに俺で良いのだろうか?


 ファリル先生が良くても、生徒になるリエルやフリストたちの意見も聞かないと。


「あの、えっと。お、俺で」


「ユーマ先生! 私、強い魔法使いになりたいです」


 リエルが元気よく手を挙げてそう言ってくれた。


 ユーマ先生、か。

 ちょっと良いねぇ。


「ユーマ先生、僕は新魔法を使えるようになりたいです」


「私もー。先生、よろしくね」


「よろしくお願いしますね。ユーマ先生」


 フリスト、ニーナ、アルメリアも俺が先生で良いらしい。


 よしっ。じゃあ俺が残り5日でみんなを強くしてあげる。俺が考案した新魔法の中から、みんなに最適な魔法を選んで使えるようにしてあげよう。


 そう思うと5日って短いな。


 でも俺にはクラスメイトたちと魔王を倒しに行くって使命がある。


 時間はないが、できる限りのことはやってみよう。



 さーて、頑張りますかー!!

 

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