1日目:やくび
人々の生活はとても便利なものになっている
俺は住み始めて5年にはなるワンルームの部屋でぼーっとしていた
目の前にあるエアーパネルをタッチすると自動でホットコーヒーが淹れられる、俺の日常的なルーティンでもある
AIの音声で今日の予定をチェックすると…今日は昼から深夜までのバイトが入っている
俺はパネルを閉じると身支度を整える、それが終わると丁度良い温度のコーヒーが卓上に既に用意されていた
それを時間をかけて飲みながら考えていた
「金がねぇなぁ…」
きっとこの悩みはこれまでの歴史の中で共通の悩みなのだろうと勝手に妄想している俺
さてと、今日も生きるために働きますかっと思いながら家を出る…この後余計なことに巻き込まれると知らずに。
俺は家を出ると近辺の転送駅に歩みを進めていたが何やら騒々しいことが起きていた
駅の壁に大きなクレーターができていて近くには保安機関員が何やら慌ただしく動いている
近くの人に話を聞いてみると最近問題になっている能力者の暴走があったらしいとのこと
「へぇ、そんなことがあったんですね」
「にいちゃんも気をつけなよ、最近活発的に起こってるみたいだからよ」
おっちゃんとの話が終わると転送駅に向かってバイト先に向かった
今日もバイトが終わり重い足取りで帰り道を歩いていると、何やら騒ぎみたいなことが近くであった
どうせ酔っ払い同士の喧嘩だろうと野次馬根性で見にいくことにした
この行動が後悔することになるとは微塵とも思わなかったんだ
その場所に行ってみるとボコボコになっている人を見下すように立っている人がいた…明らかに普通じゃない様子で
「…通報して逃げるか」
そりゃあ当たり前の行動だと思う、誰しもこんな光景目の当たりにしたらビビるっての
サブパネルを呼び出し緊急要請を発信しようとしたらその普通じゃない人間と目があった
あーあ、終わったと思った矢先に体をこちらに巻き直してニヤリとすると走り出した
右?左ストレートが飛んでくると俺はもろに吹き飛んだ、壁に背中から激突すると意識が飛びそうになるぐらいの激痛が走る
「…ツゥ」
絶体絶命…文字通りの意味が頭の中をよぎる
あーあ、せめて死ぬ前に可愛い女の子に囲まれてモテるぐらいの経験したかったなって
そう最後まで阿呆らしい考えを最後に意識は途絶えた。
つもりだったが、なぜか目の前に相手が怯んでこちらを見ている光景があった
一方でこちらは平然と立っている…?
やたら目線が低いような気がするが、なぜか今なら勝てそうな感じがする、なんとなくだけど
すると相手が忽然と消えたかと思うと俺の目の前に現れてまたストレートをお見舞いされる
咄嗟に腕で防御するが…痛くも痒くもない
手加減か?と思うとまたすぐに姿を消した、後ろで気配を感じて振り向きなおす
こういうことが繰り返し起きて、しばらくした後に
「くそっ!なぜ何も効かない!?」
ニヤケ男は何故か1人で焦っている、さっきから遊んでるかのような行動をとっているが、何したいんだ?
ふと考えた、こいつは話題の「能力者」なのではないか?
一定の場所からいきなり現れて消えることからおそらく姿を消せる能力か瞬間移動の可能性がデカい
ならば行動パターン的に予測するなら「視覚外からの攻撃」を選択するはず!
俺は腰を落として相手と対峙した、今までとは違う雰囲気を感じ取ったニヤケ男はまた俺の目の前から消えた
それと同時に後ろに振り向き構える
そうしたら案の定ニヤケ男が真正面に現れた
「ご苦労さん」
そういうと俺は真正面に拳を突き出すように放った
鳩尾に拳がめり込む感触を感じると同時に相手はかなりの勢いで吹き飛んだ
俺が叩きつけられた所であろうコンクリート壁に再び叩きつけられ衝撃に耐えられなかった壁は崩落した
一息つくと遠くから警報の音が近づいてくる
こんな光景を見られるとまずいので俺は即座にその場から走り去った
結局家の付近まで走ってしまったがなぜか疲れは一切なかった、まあ明日筋肉痛と全身打撲は覚悟してそのままベッドに倒れるように眠った。
〜その後事件現場にて〜
「被害状況は?」
「ハッ!重傷者は2名で内1名からは能力者の反応が検出されました!」
「ん?それじゃあもう1人は一般人だというのか?」
「もう1名からは反応は検出されませんでしたが体を特殊ナノマシンにより強化されており何とか一命は無事でありました!」
「ひっでぇな…なんで能力者の方が重傷なんだよ」
1人の機関員は胸元からタバコを取り出して火をつける
「こりゃあ、別の「能力者」にぶちのめされたと考えるべきだな」
男が吐き出したタバコの煙は夜空に消えた




