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8日目:たんれんすたーと!

まあ聞いてくれるか?普段みんなが憩いの場としてくつろぐ部屋があるだろ、俺の場合は自分の住んでるワンルームなんだけどね


自分の想像を超えるほどの豪邸のトイレに行ったとしよう、そこが自分の部屋以上に大きかったらねみんなはどうおもうかえ?


時は少し遡りユウカ宅前にて

「さあ、2人とも上がってください」

と言われてるがままに大きな扉が自動的に開く

そんなことが気にとまらないうちに広々とした玄関が待ち構えていた…いやどこかのホテルロビーを彷彿とさせた

「やー、久々だねユウカんちー」

スタスタと入っていくミヅキ、ままあ来たことぐらいあるよねそりゃ

「…」

俺は相変わらず絶句したまま立ち尽くしていた

「どうされましたか?橘お嬢様」

「んのぉ!ははははじめまして!」

思わず飛び退く俺、えっえっ何?


「じぃや、お客様をトレーニングルームへ案内してください」

「かしこまりました、ユウカお嬢様」

「おひさー!元気してた?じいや!」

「ほっほっほ、ミヅキお嬢様は元気ですなぁ」


異世界だ異世界、目の前では漫画やアニメドラマの様な光景が広がってる

そしてガチガチな後ろを歩く俺とじいやと話しながら歩くミヅキ、行き先は何やらトレーニングルームらしい、なんでもありだなこりゃ


トレーニングルームに着くと安心したのか尿意が襲ってきた

「あのー、トイレの場所を教えて欲しいのですが」

「かしこまりました、それでは案内させていただきます」

じいやの丁寧な案内によりトイレの前に着いたが扉を開いた瞬間俺は固まった


「こ、ここは?」「お手洗い場でございます」

なんでこんなに広いの?俺の部屋よりでかいだろコレ!


そんなこんなあって提供という形で貰ったトレーニングウェアに2人で着替える、ああ同性の着替えなんて学校で倫理観ぶち壊されましたわよ


先に部屋で待っていたのは袴姿だろうか、ユウカが正座して待っていた

「2人とも着替えたようですね」

目を開けてすっと立ち上がる佇まいに気を引き締められる

「はい!」「あーしはデータ収集だけど気分だけでもーってな感じ」


ミヅキをチラッと見た後に俺を正面から見据えるその目には闘志があるように感じた

「よーし、デバイス展開っと、アヤネっちの身体データと連動させてっと」

「気にしないでください、ミヅキもあれで張り切ってたんですから」


ニコリとして再び真剣な表情で口を開く

「鍛錬をおこなう前に、まずは貴女の現時点をしっかりとさせます」

「これから私はこのまま立っていますので自由に攻撃をしてきてください、遠慮はいりません」

「はいッス!」

俺は動きやすい体勢を取るとユウカに狙い定めた…までは良かったものの


「どうしたのですか?貴女のタイミングでいつでも始めてください」

そういうユウカはその場で立ち尽くしているのだが…まるで隙が"ありすぎる"のだ

俺が撃ちやすいようにしてくれているのはわかるのだが逆にそれが怖い、相手はあのユウカだ


数分経って背中には冷や汗が滲んでいる、意を決して地面を蹴り一気に距離を詰める

そのまま正面に拳を突き立てる…が既にユウカの姿は消えていた

体勢を立て直し周囲を見ると俺が先ほど立っていた場所にいた


構わずに再び距離を詰めるもまた後ろに、フェイントをかけるも同様に避けられていた

少し息が切れかけて、「ハァー」と大きく息を吐いたその瞬間に世界は横になって腕は背中に回され身動きが取れなくなっていた

「はぁはぁ、ンッ」抵抗を試みるもガッチリ極められていて不可能だった


解放された俺はその場にペタンと座り込む

「ふぅ、これが貴女…アヤネの現時点です」

「5割程度の力でも貴女を取り押さえられるの」

「そう、ですよね、この程度じゃ」


するとユウカが近寄って優しく起こしてくれた

「誰だって最初はこんなものなのよ、それどころか最初に何も考えずに攻撃してこなかったでしょ?」

「私はわざと隙を作ったの、それに気づくことができたのはまっさらなら素人なら凄いこと」

「だからね、自信持って強くなりましょう」

ニッコリと笑うユウカに俺は思わず抱きついてしまった、俺は精神まで子供に戻ったらしい

「ありがとうございます」


少し涙声になって言う俺は情けなかったが今は女の子だからしゃーないよね


「一本取られたじゃん」

爆笑してるミヅキもいたんだけど



正座させられてるミヅキを尻目に再度ユウカは俺に説明をしていた

「全くの素人にしてはよく出来ていました、ですが構えも技術もありません」

ズバッと言うユウカに苦笑する


「まずは基礎体力作りの鍛錬は日課として行いたいと思います、それと技術に関しても同時に行います」

「まずは基本的な型に慣れてもらいます」

というユウカはその場で綺麗な型を披露した

先程の棒立ちとは打って変わって一切の隙も見当たらない

「ではアヤネも私と同じ型をしてみてください」


そう言われると俺も見よう見まねで同じ型をとってみた、真似するだけなら簡単だけど

「ふふっ、良い体勢です」

「ではこの体勢を…そうですね1時間同じ体勢を取り続けてください」



15分過ぎた所、既に集中力は乱れて腕もぷるぷると震えているけど歯を食いしばっているアヤネさん

私も模範として同じ体勢でいるけど、始めたばかりの子には少し過酷かもしれないな


一方のミヅキは正座しながらもデバイスを展開してアヤネさんのデータを取り続けている

苦にしてなさそうなところを見ると本当に運動が苦手なのかと不思議に思う


30分に到達したとき私は一時中断することにした

スタートからスパルタすぎると結果的に伸びにくくなる可能性が高い、私と一戦交えたのだから疲労もかなりきていると思われる

「アヤネさん、型を崩してください」


そういうとアヤネさんは大の字になって倒れた、可愛い

「お疲れ様でした、今日は30分でしたが集中も切れて型を保つのも精一杯でした」

「は、はい!」

息も絶え絶えで更に可愛いアヤネ

「継続することが大切ですので、これから意識して取り組みましょう」

「はい!先生!」


これ以上私がおかしくならないうちに早急に鍛錬を終わらせることにした




おまけ〜鍛錬中のミヅキちゃん〜



「はぇ〜、なかなかやるねぇアヤネっち」

今までユウカに憧れて師事してきた連中はことごとくこの試練で心折れてきた

棒立ち=隙があるってのはあたりまえのこと

ユウカが見定めるのはその先、隙だらけの相手を警戒するという警戒心

「まぁ初っ端無理ゲーなんだけどね」

「てかアヤネっち、雰囲気と違ってかなーり警戒心高めだしね」


あーしらに対しては無防備そのものなんだけどね

「そろそろ動きそう、あっ動いた」

デバイスを操作してリアルタイムでアヤネっちのデータを取り続ける


結果はそりゃそーなるわな、ユウカっちの完勝どころか敵としてすら見てないか

完璧に取り押さえた形だが少し違和感が生じていたユウカっちの体に…というか感情の振れ幅が広がっていた

「あちゃー、まーた悪い癖が」

と言いかけた所で少し違いが出てたのだ

喜びと不安を細かく反復横跳びするように揺らめいている?


と不思議に思っていた矢先、拘束を解いて優しくアヤネっちを起こす

良かったと思ってたらアヤネがユウカに抱きついていた、そこで計測くんの数値は喜びに振り抜き計測不能となった


あーしは爆笑しながら言った


「一本取られたじゃん」



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