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超新星爆発

作者: アルシオーネM45

宇宙に興味のある人ない人必読!

超新星爆発


 自ら核融合し、それによって光と熱を発する星を「恒星」と呼ぶ。

 地球から一番近い恒星はもちろん太陽。

 恒星の誕生は周囲のガスが集まり、重力によって収縮、その際の圧力で最も軽い元素の水素が核融合を始め輝き始める。

 1987年2月23日、銀河系のすぐ隣りにある小さな銀河、大マゼラン雲でひとつの恒星が超新星爆発を起こし、星としての生涯を終えた。

 この年、初めて観測された超新星なので「SN1987A」と呼ばれることになった。SNはSuper Novaの略。

 この超新星は南半球で肉眼でも観測することができた。人類が可視光で超新星を見たのは実に約400年ぶりとなる。

 生き物と同じように星にも寿命がある。この恒星のように、その最期を大爆発で終えるのが「超新星爆発」だ。

 ある日突然、なんの前触れもなく爆発するわけではなく、観測できる位置にあれば、ある程度は爆発する時期の予測ができるらしい。

が、このSN1987Aは16万光年離れている目立たない場所にあった星で、さらに多くの場合、超新星爆発する直前の星は「赤色超巨星」という段階に達して、星自体が赤く巨大に膨張した姿に変貌している。

 しかしSN1987Aとなる元の星「サンデュリーク-69° 202」は三重連星で、その中のひとつが爆発を起こしたのだが、その星は赤色ではなく「青色超巨星」だった。

 誰も予測していなかった星が超新星爆発を起こしたわけである。


 チリのラス・カンパナス天文台で研究助手として働きながら、空いた時間に天文台で最も小さな望遠鏡を借り、自分の研究対象を観測していて第一発見者となったイアン・シェルトン氏は、毎晩撮影している観測写真と比較して、前日にはなかった場所に強烈な光を発する天体があることに気づいた。

 超新星であると確信したシェルトン氏は夜が明けるのを待って、手順通りIAU:国際天文学連合に報告した。

 爆発による可視光が地球に到達する数時間前、爆発時に放出される素粒子のニュートリノが一足先に日本の岐阜県飛騨市にあるニュートリノ検出装置「カミオカンデ」で11個捉えられた。

 この観測も含め、ニュートリノ研究の成果が認められて物理学者の小柴昌俊博士がのちにノーベル物理学賞を受賞している。

 南半球に居てSN1987Aを実際に自分の目で見ることができた人たちはどんな感慨を持ったことだろう。

 もうすぐ爆発から35年となるいま、SN1987Aがあった周辺は超新星残骸のガスがリング状になって現在も拡がり続けている。


 16万光年彼方の星が爆発しても我々の住む太陽系にはなんの影響もないが、では同じ恒星の太陽の最期はどうなるのか。SN1987Aと同じように大爆発して地球も含め太陽系全体の物質を吹っ飛ばしてしまうのか。

 超新星爆発を起こすような恒星は、太陽質量の8倍以上ある重たい星に限られる。

 恒星が超新星爆発へと進むシステムは、超簡単に書くと自分で自分の重さを支えきれなくなってしまうから。

 恒星は長い期間、内部の水素を燃やして熱を出し、自分自身を支えている。

 水素が燃え尽きると次にヘリウムを燃やし始める。太陽はここまでで恒星としての燃料を使い果たすが、それより重い星はさらに別の原素を燃やしながら外層を膨張させつつ進化していく。

 最終的に鉄が中心核を満たし、それが更に熱せられると鉄が分解し、中心核で全体の重さを支えるものが溶けて重力崩壊が始まる。

 全ての構成物質が中心に向かって落ちていく。と同時に素粒子のニュートリノが爆発的に生成され恒星表面に向かって放出されてゆき、その衝撃波が表面に到達した時、星は外層が吹き飛ばされ超新星爆発を起こす。

 ちなみにSN1987Aは太陽より20倍の質量があった。さらに重たい星は爆発後、重力崩壊が留まらず収縮し続ける。あまりにも重力が大きいため光さえ曲げられたり、中から脱出できなくなる。星はブラックホールへと変貌してしまうのだ。

 太陽は銀河系全体でもそれほど目立つ星ではなく、質量も大したことはないので超新生爆発を起こすまでの進化はしない。

 しかし太陽もほかの星々と同じく寿命があり、その長さは100億年とされている。

 現在50億歳の太陽は働き盛りの時代で、私たちは幸運な時に進化して太陽の恩恵を受けていることになる。

 しかし60億歳を過ぎた頃からぼちぼち太陽の膨張がはじまり、最終的に金星軌道あたりまで膨らんでしまうと言われている。別の理論もありそこまで膨張せず収縮に転ずる可能性もあるそうだ。

 どちらにしろ、太陽が急激な変化を短時日で遂げるなんらかの要因が発生しない前提で、地球も10億年後以降は、太陽の状態の変化により大きな影響を受けることは避けられない。


 長々と素人宇宙物理学者のうんちくを書いてきたが、お茶の席や酒の席で私の宇宙噺を聞いてくれる相手は皆無なのでここで言わせていただきました。


 ここから今回の本題だが、私の夢は生きている間に超新星爆発を自分の目で見ることと、一冊くらいは本屋の書棚に自分の筆名が入った書籍を並ばせること。

 超新星を見る夢は実現の可能性が比較的高い。

 オリオン座の三ツ星を中心とすると、すぐ下に小三ツ星、左上隅が赤色超巨星のベテルギウス、右下隅が青色超巨星のリゲル。この中のベテルギウスが星の最終段階を向かえており、間もなく超新星爆発を起こすだろうと言われている。

 間もなくと言っても宇宙時間スケールでの間もなくだから、一時間後か明日か百年後か百万年後かはわからない。

 しかし仮に爆発すればかなり強烈に輝くことだろう。爆発が夏であったとしても、昼間でも爆発から数日~一か月は見えるのではないか。

 SN1987Aまでの距離は16万光年だが、ベテルギウスはわずか550光年、つまり光の速さで550年かかって到達する近さである。

 これだけ近いと太陽系になんらかの影響があるのではないかと心配されるが、現時点での観測と研究では大丈夫らしい。

 星の死を見るのがそんなに楽しみかと思う方もいらっしゃるかもしれないが、超新星爆発は次の世代の星を生むための物質をまき散らす星の輪廻のイベントでもある。

 もし実際に観測することができたなら、宇宙物理学、素粒子物理学、理論物理学などに計り知れないデータと研究検証の種をもたらすだろう。

 この可能性に比べれば、私の著作が平積みで書店に並ぶ光景など想像することさえ難しい。

挿絵(By みてみん)

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