落ちる
クラス替えから数ヶ月経った頃。
ぼっちで運動音痴の私には非常〜に辛い時期がやってきた。
そう、体育祭だ。
私たちの学校ではクラス団体競技の長縄跳び、そして個人競技がある。
個人競技には短距離走や中距離走、障害物競走、4人1組で行うハリケーンというやつがある。
1年と2年の時はハリケーンに出て、可もなく不可もない活躍を見せ、無事に乗り切ったのだが…
今年は大変なやらかしをしてしまった。
なんと、個人競技を決める日に風邪で休んでしまったのだ。
察しのいい方には想像がつくかもしれない。
そう、圧倒的不人気である中距離走に決まっていたのだ。
短距離走なら例え遅くてもすぐ終わる。数秒の我慢だ。
中距離走は、800mを走り切らなければいけない。私なら何分かかるのだろう。
数分間クラスメイトの痛い視線に耐えながら、辛い思いをして走る。想像しただけで胃が痛い。
ひとり絶望の表情で下を向いていると、
海『どした?体育祭嫌い?』
みさき「あ、福田くん…」
隣の席の彼が声をかけてくれた。
みさき「運動苦手で…」
海『そっか〜
俺らみたいな運動部からしたら楽しいけど、苦手な子からしたら嫌だよな!
俺も合唱コンクールとか嫌いだし!笑』
みさき「う、うん。そっか。」
(せっかく優しくしてくれてるのに〜!なんでこんなにそっけない返事しちゃうの!!)
海『ま、個人競技で結果悪くてもみんな気にしないと思うし!そんなに考えすぎなくていいと思うよ!』
みさき「あ、あり、がとう…」
海『うん?どーいたしまして!』
(福田くんは個人競技何出るんだろう)
(短距離走と、クラス対抗リレー?やっぱり運動できるんだろうな…)
福田くんのおかげで、少しだけ気持ちが楽になった。