はじまり
中学3年の冬。
私は高校デビューを決意した。
事の始まりは中3の4月。
新学期初日のクラス替えの後、皆が期待と緊張の入り混じった顔で慣れない教室に足を踏み入れていた。
私、"斉藤 みさき"もその中の1人だった。
とはいえ私は人間関係を構築することがあまり得意ではない。
友達の人数は片手に余裕で収まる。
生まれてこの方人気者になったことはないため、これからの人生も同じように過ごしていくのだろうと半ば諦めと安堵の気持ちで自分の席についた。
しばらくして全員が席に座り、担任の先生が今日の流れを説明している。
終始騒がしいこのクラスには、学年でも有名な陽キャラさんたちが大勢揃っていた。
サッカー部や野球部の運動神経抜群な男の子たち、バスケ部の活発な性格の女の子たち、髪を明るく染めているヤンチャそうな子たち…
人見知りの私には馴染めそうにないクラスメイトの顔ぶれに、少し憂鬱な気分になった。
新学期初日がなんとか終わり、帰ろうと立ち上がった。
その時、友達とふざけて合っていた隣の席の男の子にぶつかってしまった。
みさき「いたっ」
?『あっ、ごめん!大丈夫?』
みさき「あ、う、うん…だだ、大丈夫。…ごめんね」
?『俺こそよそ見しててごめんな、気をつける。』
彼は確か"福田 海"くん。野球部だ。
野球部らしい坊主頭とまだ4月なのにこんがりと日焼けした肌。
美容院に行くのが億劫でずっとロングヘア、年中引きこもっていて青白い肌の私とは正反対だった。
(普通に優しいんだな…)
野球部やサッカー部といった運動部の男子に偏見を持っていた私は、帰り道で1人そんなことを思った。