いざ、尋常に……
全国的にはどうかは分からないけど、地元ではこれで通ります。
「何が見えたんだ?」
「あっちの方向に建造物が有ったのじゃ!」
「良し! お手柄だぞ、古都魅。」
「ソーマよ。それなら普通に頼み、上空に投げる必要が無いのじゃろう?」
「その方が面白いから。」
「なっ! ソーマふご……」
古都魅が何か文句言いそうだったから、口を開けたタイミングで飴玉を古都魅の口に放り込む。
「まあ、許してやるのじゃ。」
チョロいな。
「それじゃあ、手柄を立てた古都魅が言う場所に向かうか。」
「了解よ。」
「キャン。」
「のじゃ!」
「ニャア。」
目的地に向かう途中で、そこそこな川が有り、大きな橋が有ったが手前には看板が立っていて文章が書かれていて、橋の中盤辺りの真ん中に何か見覚えの有る衣装を着た鬼が1匹立っていた。
【このはし、わたるべからず。】
「ああ。『一休○ん』か。なら、橋の真ん中を渡れば良いな。皆、俺の後に続け。」
「ちょっと待って、ソーマ。」
「どうした、リン?」
「アレ、どうするのよ?」
リンが指差した先には、身軽で横笛を吹く少年に生涯の忠誠を誓うおっさんを連想させる衣装を着た鬼が1匹立っていた。
(注:当時、物語に出て来る様な『大橋』は無かったという説があります。)
「戦えば良いんじゃないか。」
「そうね。この橋を渡らないと負けた気分になるしね。」
俺は武器を「赤角の太刀」に変えた。
俺達は、橋の真ん中を通り、鬼の前に立つ。
「この橋を通りたければ、武器をオレに渡すか、オレに勝つかだ。どっちを選ぶ?」
「戦いを選ぶ。」
「ならば、戦う者を1人選べ。」
一応、リン達を見ると首を縦に振って頷いてくれた。
《イベントボスが現れました。》
《勝利条件は、イベントボスに勝利。》
《敗北条件は、立候補したプレイヤーの敗北。》
「俺が戦う。」
「他の者は下がるが良い。」
鬼の言葉でリン達は下がる。
「オレの名は『千光坊』だ。」
「俺の名はソーマだ。」
「いざ、尋常に……」
「「勝負だ!!」」
俺は物語にリスペクトして、橋の中を飛び回りながら、雷の矢を放ち、ダメージを重ねる。
このまま、テンプレで行こうかと思ったら、くそ運営は此処でも嫌がらせを用意していた。
千光坊の攻撃を避ける度に、橋が破損して壊れていっているのだ。
このまま避け続けると、最悪、橋が渡れなくなる可能性も有る。
「くそ運営がぁーーー!」
妙な所でリアルを追求するんじゃねえ!
……俺はくそ運営の策にハマるのは癪だが接近戦に変えた。
接近戦をしながら、少しでも間があれば雷の矢を放ち、ダメージの蓄積を狙う。
「ふんぬぅ。まだまだぁ!」
「いい加減、くたばれ!」
20分くらい戦い続けてやっと終わりが来た。
「止めだ! 双龍閃!」
「がはぁ!」
《イベントボス『千光坊』に勝利しました。》
「オレの負けだ。コレを受け取るが良い。」
《ソーマに記念硬貨(銀)を2枚贈られました。》
「さあ、共も含め、この橋を渡るが良い。」
そして、何気なく周りを見ると橋は壊れていた所が元通りになっていた。
「くそ運営ーーー!」
俺達は橋を渡り、先を目指した。
「しかし、『武蔵坊弁慶』をこんな所で使うとは思わなかったわ。」
「そうかな?」
「どういう意味?」
「カードゲームでは良く有るけど、デッキ(山札)に同名カードは3枚までってのは良くあるんだけどな。」
「それで?」
「カード名に、『遮那王』と『源義経』と有ったらデッキに3枚ずつ入れる事が出来るんだ。」
「なるほどね。」
「だから、あの鬼が武蔵坊弁慶であったとしても名前が、『武蔵坊弁慶』では無い以上は、別の場所や場面で出す事が出来る訳だ。」
「くそ運営はセコいわね。」
等と話している内に、古都魅が見つけた建造物「村」に到着した。
正直、中立のNPCは居ないかと思ったいただけに良かったよ。
早速、道具屋辺りを廻ってアイテムを補充しないとな。
「いらっしゃい。お一人様、各種3本までだよ。」
「ん?」
「どうした、リン?」
「わざわざ言う上に、あの言い廻しは……」
「……リン?」
俺はリンの指示に従い、必要な回復系のアイテムを買い、一旦店を出て入り直して先程買ったアイテムと同じ物を選ぶと買えた。
「リン。どういう事だ?」
「監視カメラの無い時代、同じ人物と証明出来ない頃の名残で、数量限定品でも、一旦店の外に出て、車の中に買った数量限定品を置いて店に入れば、再び同じ数量限定品を買う事が出来たのよ。」
「そ、そうなんだぁ。」
……と、言っても1人6本も有れば充分なので、3回目は行っていない。
そんな主婦のワンポイントアドバイスみたいな事が有った後、村を回っていると、1人の老人に声を掛けられた。
「少し話を聞いて欲しい。」
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。




