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オールドサーガ・ファンタジー・オンライン  作者: あまのやぎ
第4章~イベント「宝探し」~
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罠だな。罠よね。罠じゃ。

ゲームだから、出来る事。

 さて、くそ運営のお陰で記念硬貨を1枚ゲット出来た訳だが、予定にしていたルートから外れたから、この後はどうしようかな?


「さて、何処に行く?」

紅牙(こうが)なら、何処に行く?」

「キャン!?」


 紅牙の最初は勢いの有った尻尾が次第に振らなくなり、終いには腹の下に避難し、その状態でうろうろし始め、最後は俺の所に来て腹を出し、「クゥ~ン、クゥ~ン。」と、泣きに入った。


「大丈夫だ、紅牙。そこまで悩む必要は無いからな。」

「そうよ。」

「元を正せば、リンが悪いのじゃ。」

「キャン!」


 リンのちょっとした冗談混じりの悪戯(いたずら)が、紅牙をかなり追い込んだが、俺達のフォローで何とか持ち直した。


「まあ、別に良いんじゃないか。このまま前方の森を進むのも。」

「それもそうね。」

「キャン。」

「行き当たりばったりじゃな。」

「それじゃ、決定な。」

「ええ。」

「キャン。」

「分かったのじゃ。」


 こうして、俺達は無計画で森の中を進むのだが、記念硬貨を探すという「宝探し」が目的のイベントの為か、モンスターはあまり出現しなかった。

 通常の1割以下かな。

 俺達はリアルでもゲームであっても、自殺願望者の様に見える進行速度で森の中をずんずんと進むと、開けた所に出た。

 中央には、不自然な小さい「(やしろ)」が建っていた。


「罠だな。」

「罠よね。」

「罠じゃ。」

「だが、踏み込む。」

「賛成。」

「当然じゃ。」

「キャン?」

「森の中は、何も無くて暇だったしな。」

「悪魔でさえ。暇で死ぬのよ。」

「神も『怠惰』を禁じておるのじゃ。」

「古都魅は、別の『本』出身だろ。」

「そうだったのじゃ。」


 古都魅がオチを出した所で、「社」に近付いてみると、記念硬貨(銀)が有った。


「皆。罠が有るのは確定したから、念の為に集まってくれ。」

「分かったわ。」

「キャン。」

「分かったのじゃ。」


 皆が集まった所で、記念硬貨(銀)を取ると、メッセージが出た。


 《イベント『献上品強奪』が発生しました。》

 《勝利条件は、敵モンスターの全滅です。》

 《敗北条件は、プレイヤーの全滅です。》


 俺達を囲む様に、ゴブリンやコボルト、オークが出現した。

 ゴブリン21、コボルト6、オーク3って所だな。


「さあて、リン。『謝肉祭(カーニバル)』だ!」

「ストレス発散よ!」

「キャン!」

「妾は避難しているのじゃ。」

「「ヒャッハー!!」」


 あまりの暇と、くそ運営の策略でテンションが違う方向に飛んでいた俺達は、7分後に謝肉祭(カーニバル)が終了した。


 《イベント『献上品強奪』が達成されました。》

 《イベント報酬が贈られました。》


「良し! 報酬を確認しよう。」

「おーけい。」


 俺の報酬は、「神々の福引券」だった。


「ソーマのは、何か怪しいわね。」

「リンのは?」

「私のは、『幻獣の卵』だって。」


 鑑定すると、名称はまんまの「幻獣の卵」で、種族不明で、孵る時期も不明で、所持者の魔力次第だと。

 とりあえず、旅袋に入れっぱなしでも問題無いみたいだな。

 報酬の中身が違うのは、俺には紅牙が既に居るからだろうと思う。

 俺達は再び森の中を突き進む。







 一方、セリカ達side


「セリカ、意外と見つかんないね。」

「そうだね、ラビ。」

「直ぐに見つかりますよ。」

「ありがとう、レイ。」

「ボクも頑張りますから。」

「そもそも、スタート地点が既にくそ運営の悪意を感じたよね。」

「そうよね。運良くパーティーメンバーは一緒だったとはいえ。」

「ダンジョンの中からのスタートですからね。」

「そうなのよ。期待して、マッピングしながら、隅から隅まで、きちんと探したのに、記念硬貨が1枚も無かったのは、心が折れたわ。」



 運営side

「いや。セリカちゃん。きちんと設置しているから。」

「そうそう。」

「きちんと隠し部屋に有る宝箱の中に、記念硬貨(銀)を3枚を設置していますぅ。」

「きちんと設置しているのに、『くそ運営』と言われるのは釈然としないな。」

「ならば、どうする?」

「ソーマにメッセージを送れ。」

「それは、内容に関わらず『違反』じゃないか?」

「大丈夫だ。他のゲームなら我等の減給対象だが、このゲームは、異世界転生系だ。異世界の神々がお気に入りに忖度(そんたく)するのは、テンプレに含まれる。」

「なるほど。今の我々の立場は、異世界転生系に於いての神々の立場。だから、お気に入りや使徒系に忖度するのはブラックには当たらないという訳だな。」

「その通りだ。メッセージの内容は、『重箱の隅を探せ!』だ。これなら、忖度だが、直接的なヒントにはならん。」

「了解。」




 セリカside


「あ! 何かソーマからメッセージが来た。」

「セリカ、内容は?」

「え~と、ね。『重箱の隅を探せ!』って、どういう意味だろうね。」

「ソーマに聞いてみれば?」

「そうする。」


 5分後


「どうでしたか?」

「レイ。あのね。どうやら、神々からの神託で、私達の探し方に不備が有ると指摘を受けたんだって。」

「つまりは、ダンジョンには記念硬貨が有るという事ですか?」

「そうみたいよ。私達に直接伝えるのは違反だから、繋がりの有るソーマにメッセージが送られたみたいよ。」

「……そうですか。それなら、もう少し探してみますか?」

「そうだね。」

「ボクも頑張ります。」


 その後、3時間後に、セリカ達は隠し部屋を発見するのだった。


暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。

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