ソーマは鬼なのじゃ。
ソーマ達に待ち受ける運命とは!?
「ソーマ。始まったね。」
「そうだな。先ずは、この城跡地から探索だ。」
「うん。」
俺の予想通りに「銀」の記念硬貨が有った。
しかも、2つも!
これはラッキーだな。
まあ、1つは有ると確信していたけどな。
リンから聞いたが、こういうゲームはプレイヤーの人口=ゲームの寿命らしい。
だから、運営は人口を増やす努力が必要だという事だ。
だから、こういうイベントで避けるべきは、努力が実らない事。
そうなると、最初の1枚はスタート地点の近くに有ると読んだが見事に当たりだったな。
「さあ。最低目標は1人10枚だ!」
「おー!」
「キャン。」
「おーなのじゃ。」
俺達は、城跡地からのんびりと周辺の森を適当に歩いている。
たまに、モンスターが襲ってくるが倒すと自動でドロップアイテムが旅袋に収納される事を利用して、リンと会話しながらモンスターを魔法で仕留めている。
魔法攻撃に耐えたモンスターも、制空圏で場所が分かる為に、場合に因っては見ないで刀の錆びにしている。
「正に、ソーマは鬼なのじゃ。」
「……痛いのじゃあ。足の裏を爪楊枝の丸い方で、グリグリされたら、痛いのじゃあ。」
「なあ、リン。」
「何かな、ソーマ。」
「このゲームに有名人が居る?」
「有名人がゲームをしているからと、プレイヤーとして凄いから有名人のどっち?」
「プレイヤーとして有名人。」
「そうね。」
そう言って上がった有名人(2つ名付き)が……
光の騎士タケル(男)
理由は、イケメン完璧超人。強き者を求め、弱き者を助ける。
言葉使いは丁寧で礼儀を重んじ、勤勉で強欲を持たず、男女平等でカリスマ性を持つらしい。
感想は、そんな人間が存在するの?
疾風のカゲツ(男)
理由は、速さこそ至上、速さこそ命。会話は若干上から目線だが、きちんと対応はしてくるらしい。
感想は、まあ、基本的には放置だな。
双剣のタクト(男)
理由は、2つの剣を器用にこなす。外見と性格は普通。しかし、コミュ力は高い為、気が付けば、集団の中心人物になっているらしい。
感想は、仲良くなっておいた方が良さそうだな。
爆炎のイリア(女)
理由は、高威力の範囲魔法を使える。外見は美人で性格は温和だが、好き嫌いが若干有り、嫌いな人や事には、結構な塩対応になるらしい。
感想は、敵に廻さない方が良さそうだな。
他にも居るらしいが、本人達未公認で四天王的な扱いをしているらしい。
後、名前も本名では無いらしい。
「しかし、良く集めたな。こういう情報。」
「まあ。そこら辺は、β時代の繋がりで、ね。」
「それが有ったな。本起動からのスタート組は、βテスターと繋がりを持てば、有利だもんな。」
「そう言う事ね。」
「それなら、リンはどうなんだ?」
「私は、βテスターの時に、はしゃいだから……」
そう言ったリンに、器用に二本足立ちした紅牙が、ポンとリンの肩に前足を乗せた。
「紅牙? 何処で、その芸を身に付けたのかなぁ?」
「キャン。」
紅牙の視線は、古都魅に注がれた。
「古~都~魅~。」
「な、なんじゃ?」
「面白い事を紅牙に教えたのね。」
「な、なんじゃ? 笑顔なのに怖いと感じるのじゃが……」
「古都魅。ちょっとあっちで『お話』をしようか。」
「い、嫌じゃ。嫌なのじゃ~!」
暫く、古都魅とリンの追い駆けっこが続き、捕まえた古都魅を連れて、リンがちょっと奥に移動した。
約20分後に帰って来た2人は、リンは何かをやり遂げた様な顔をしていて、古都魅は、夏休みを補習で半分埋まった事を先生に告げられた生徒の様な顔をしていた。
……まあ、スルーしよう。
暫く歩いていると、小さな広場が有り、中心に少し立派な木が立っている。
本当に、何気無く本当に、何と無く、その木を蹴ったら、「チャリーン!」と上から落ちてきた。
確かめると、「記念硬貨(銀)」だった。
「くそ運営ーーー!」
何故か、根拠も理由も無い怒りが込み上げた。
そして、紅牙に古都魅にリンに、肩をポンと叩かれた。
「「「ドンマイ(キャン)」」」
また暫く歩いていると、やっと森を抜けると、目の前には左右に続く道が。
「どっちに行く?」
「私は左よ。」
「妾は右じゃ。」
「古都魅。分かっているわよね?」
「……はい。ソーマ。妾も左を勧めるのじゃ。」
「どっちを選んでも同じだから、左にしようか。」
「賛成。」
「キャン。」
「……賛成なのじゃ。」
「キャン!?」
「覚悟ー!」
何か、森から戦士系の2人組が、俺達に襲い掛かって来た。
とりあえず、俺達はあっさりと、首狩りで仕留める。
戦士系の2人は消え、残ったのは記念硬貨(銀)1つだった。
……そういや。ルールの中に「PK」も有りだったな。
ドロップするのは記念硬貨だけみたいだけど。
負けた方のペナルティは、特設エリアでのゲーム時間で2時間の待機で、時間が来るとイベントのスタート地点からになるだったかな。
後、特設エリアでは、運営が独自に選んだプレイヤーが映し出されるモニターが複数設置されているらしい。
「まあ、何処に有るか分からない記念硬貨を探すよりも、持っているかもしれないプレイヤーから手に入れる方が楽かもしれないからな。」
「そうね。そう言う意味では、私達はラッキーだったわ。」
「そうだな。」
これで2人で記念硬貨(銀)が4枚。
幸先、良いよな。
選んだ左のみを進むと、道が終着点を迎えたが、その先には、洞窟の入口がある。
俺達は入る事にした。
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