セリカが聞くんかい!
ゲームは何時始めるかは本人の自由。
「実は、ね。この子を強くする為に来たの。ほら、挨拶して。」
「は、初めましゅっ、……初めまして。ボクの名前は『レイ』と言います。騎士希望です。」
(噛んだ。)(噛んだよ。)(キャン。)(噛んだのじゃ。)(噛んだわ。)(噛んだわね。)
「初めまして。ソーマだ。」
「初めまして。リンよ。」
「敢えて聞くけどな、中性的な美貌だけど、どっち?」
「……どっち?」
「セリカが聞くんかい!」
「えっと、ご想像にお任せします。」
レイ、極上の営業スマイルで迎撃準備を完了していた。
……まあ、水着回で分かるだろう。
因みに外見は身長160cmくらいで、金髪碧眼の髪の長さはショートヘアよりやや長いくらい。
顔は童顔だ。
胸部装甲の内容は、リアルでもゲームでも禁句だし、真実は男女兼用の鎧で分からん。
レイが男性なら、お姉様方が虎になり。
レイが女性なら、紳士が襟を正す。
騎士希望も、中身が男性なら、「お姫様を守る騎士は格好良い」だし。
中身が女性なら、「王子様を守る女性騎士は凛々しい」となる。
……本当にどっち?
「……それで、どういう経緯で出会ったんだ?」
「それはね……」
内容はありふれたモノだった。
冒険者ギルドに行くと、男性プレイヤー3人に囲まれて勧誘を受けていた所を、「止めなさいよ!」と、セリカが乱入して、セリカが男性プレイヤーを黙らせて、セリカ自身も本人確認もせず、勢いでパーティー加入をした。
ラビの冷たいツッコミでセリカは我に返り、謝罪したら、レイが「これからよろしくお願いします。」と、言ってくれた事でメンバーになった。
親交を深める意味でも、この南の森に来たらしい。
因みに、レイは今日が初のログインで、今日になった理由は、βテスターをやっていた友人から、貰ったのは良いが、諸々(もろもろ)の事情で今日になったらしい。
勿論、その「諸々の事情」は聞いていない。
こういうゲームにプライベートは基本的にはご法度です。
後、その友人も本起動から「諸々の事情」でログインが出来ないらしい。
……本番から参加出来ないとは不憫な奴。
「なるほどな。」
「そういう訳よ。」
「レイに聞くけど、本当にセリカのパーティーで良いのか?」
「はい。セリカさんとラビさんと、同じパーティーに居たいです。」
「もう、レイ。『さん』は要らないって言ったでしょ。」
「私もです。」
「レイ。俺も要らないからな。」
「私もよ。」
「はい。分かりました。セリカ、ラビ、ソーマ、リン。これからよろしくお願いします。」
「まだ固いが、それは追い追いだな。」
「それで、南の森に来たのは良いのだけど、モンスターが居ないので、此処まで来たら……」
「俺達が『無双ゲーム』をしていたという訳か。」
「そういう事よ。」
「もう少しで、新しいモンスターがホップするから、そこからだな。なんなら、手伝おうか?」
「本当!?」
「ああ。リンも良いよな?」
「勿論だよ。」
「ありがとうございます!」
結果だけみれば、レイの成長に手を貸す形になった。
……スパルタで。
たまには、こういう日も「有り」かと思い、レイは広場に待機させ、俺達が「釣り」でモンスターを持って来て、レイに戦わせた。
疲れて来たと思ったら、「回復疲労丸」で強制的に回復して、続行させて、先ずは単独で行ける様にした。
騎士希望という事は、将来は「タンク」希望となるだろうから、本人確認でも首を縦に振った。
レイが単独で行ける様になった後は、「タンク」を目指した戦い方に変更した。
時間一杯に協力した後は解散となり、レイには、笑顔でお礼を言われたけど、本当にどっち?
そうして、イベント開催日前日
リンの都合で俺は紅牙と古都魅だけでいる。
目的もなく、街の中を散策していると、女性プレイヤーらしき人がおろおろしていた。
「どうかされました?」
「え? はい。そのぅ……」
「とりあえず、適当な店に入って落ち着きませんか?」
「はい。分かりました。」
甘味処に入り、お互いにジュースを頼む。
彼女が落ち着いた所で何が有ったのか訪ねてみた。
「何が有ったのですか?」
「はい。実は私としては普通に話していたつもりなのですが、いつの間にか、イベントが発生して、どうして良いか分からなくなったんです。」
「……あの、もしかして?」
「はい?」
「このゲームを始められた日は?」
「はい。今日ですが。」
「何故、今日からなのかは聞きませんが、これも何かの縁という事でお手伝いしますよ。」
「本当ですか! ありがとうございます。」
「そういえば、自己紹介がまだでしたね。俺の名前はソーマと言います。そして、紅牙と古都魅です。」
「キャン。」
「カァー。」
「テイマーの方だったんですか?」
「違いますよ。テイマーやサモナー以外でも、こうやって仲間にする方法が有るんです。」
「そうなのですか。私の名前は『カルラ』です。」
こうして、俺はカルラに協力する事にした。
とりあえず、冒険者ギルドに行って、冒険者登録を済ませ、一時的なパーティーを組む。
イベント内容を聞き出して、移動を始めた。
移動しながら、このゲームの事でリンから教えて貰った事や、俺が知っている事を伝えた。
イベント内容は、あるあるな、「指定薬草の採取」だった。
……うん。所持金を全てを回復魔法水にすればギリギリ行ける難易度だな。
カルラ本人は、運動神経が無いとか言って、職業を魔法使いにして、スキル選びも、かなり時間を掛けたみたいで、メニューを混乱しながら弄っていたら、称号の所に「優柔不断第3位」と「居候時間第2位」と、「準備万端第8位」というのが有ったらしい。
俺は気になって、説明をきちんとして、カルラが理解して貰った上で、スキルや称号を見せて貰った。
「え!?」
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